価値を見出す
別件とは、倉庫に荷物を運ぶ仕事だった。そこに行く間、桃山さんに、なんで、異動になったかを聞いみることにした。
「なんで、私、異動になったですかね?」
「私は、何も聞いてないよ。」
「そうですよね。」
「まあ、事務系の仕事ができる人を工場勤務の人間からほしいって話があって、それで選ばれたんじゃない。ごめん、私も詳しいこと知らないのよ。」
「私、事務苦手ですよ」
「三上さん自身が苦手と感じても、他の人からしたらできると思う人もいるのよ。もう、決まったことだし、仕事を向き合ったほうがいいわよ。」
「はい…」
そうだとは分かっていても、何かを聞かないと、どこか府に落ちなかったのだ。最近、工場勤務で、アルバイトや派遣が増えていたことは気になっていたのも確かだ。
「あと、指導員以外はアルバイトや派遣で運営していきたいってことも、関連してるんじゃない。」
「はぁ…ただ、私が異動はなんでこの時期なんですかね?」
「ああ、10月は工場も忙しかったからじゃない。」
「そういうもんですか。」
「そういうものよ。」
コロナで、忙しいとうより、アルバイトも派遣もあまり雇えなかったのだろう。現在、生産を減らして、少ない人数で、作業を行っている。
荷物を倉庫に置いて、総務課へと戻ってくると、
「ももちゃん、ゆずちゃん、お帰り。来週の社会科見学の件なんだけどね」
「どうしたんですか?」
「コロナの時期だから、すべてキャンセルになったのよ。」
「そんなですか?」
「少し、感染者数も増えて来たら、減らしるみたい」
部長はため息をつきながら、作業スペースに戻って行った。なにかと今は大変だ。クッキーなど、今の現状の中で、絶対必要なものではないからだ。それでも、生産をしていかないといえけない。
「今日、エステに行こう」
「エステですか?」
「そうよ。」
なんで、社会科見学がなくなったら、エステに行こうとなるのだろう。
「何か上手くいかない時、何かを得たくなるのよね。でも、それで爆食とか、パチンコなどの賭け事をする人もいるけど、それは浪費になるのよ。私は、自己投資になることをしたいから、ヨガとか、エステとかに行くことにしてるのよ。」
「ヨガとエステも浪費になりません」
「三上さんの考えも分かるけど、私はヨガは汗をかいたり、エステで心をほぐしてくれることは精神的にも、お金にもいいと思うのよ。けど、爆食をして、急に多くの食べ物を身体に入れてしまうと体調を悪くする危険性もあるし、パチンコや賭け事は精神的にも、お金にもよくない結果を生み出すことが多いでしょう。お金が減って、時間を減らしていく。ストレス発散のためにはやめた方がいいと思うのよね」
「そういうものなんですか」
「そうよ。それに、ストレスを感じたときに、『お金がないから何もしません』って言うのもダメよ」
「はい」
何か心を読まれた気がした。
「お金がないは、どこか自分の言い訳に過ぎないと思うの。それを言い訳に、お金を使わないと、世の中に置いて行かれる。何かを知るチャンスを減らすことになる。お金を節約するのが好きな人、趣味になっている人はいいと思うのよ。その情報を発信して、利益を生んでいる人もいるから。でも、そうではなく、お金を減らすのが嫌だって人は、本当にお金や時間をかけた方がいいのよ。」
桃山さんはどこかしみじみと話していた。今の私には何となくしか分からないけど、お金を使うことが、少し怖くなくなった気がした。
得れるモノの価値とは 一色 サラ @Saku89make
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます