花が咲く

@mikado_ryo

第1話

待ち合わせの渋谷駅で彼が言う。

「どこか行きたいとこあるの?」


急にそんなこと言われて、涼子は焦ってしまった。

いつだって、行き先は彼氏が決めていたし、涼子は行きたいところなんてなかった。


しばらく黙っている涼子をみて、彼は目を細めた。

「えーっと、君は僕といて楽しいの?どうなの?」


涼子は、真っ白な頭で考えていた。答えにくい質問しないで欲しい。意地悪しないでよ、と。


彼は、不機嫌そうな涼子の顔をみた。どうしていつも不機嫌なんだろう。

「僕と居たいの?居たくないの?」


また意地悪してくる。涼子は家に帰りたかった。

「そんなの居たくないよ!うちに帰りたいよ」


「じゃ。そうなんだね。僕は行く。別れるってことで。」

そう言って、彼は踵を返して歩いた。


涼子の頭の中は真っ白を通り過ぎて、ドロドロと流れ落ちた。

どうしてそうなるの?と、考えた途端に、空が青いことに気づいた。

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