第4話 別れと出会い

―まほら湖 入口―


空には暗雲が立ち込め、あたりは完全に静まり返っている。生物の本能というものなのだろうか、あたりを見回してみても小鳥一匹見当たらない。

世界の滅亡の前触れのようだ。


まほら湖の入り口付近からどす黒い怨念があふれ出ている。龍はなぜ世界を滅ぼそうとしているのか、考えても答えは出ない。今はあの龍をどうやって封印すのかを考えるのが先決だ。


「つ、つきました。こ、こんなことを言うのはなんなのですが、皆さん覚悟はいいですか?」


そんな問いにアルド達は微笑んだ。


「当たり前だろ?前も言ったけど最後まで付き合うよ」


「そうでござる」


「フフ、そうでした。では皆さん、行きますよ」


「おう!」


アルド達は気合を入れ龍のもとへと進む。


―龍のもとへ到着するアルド達―


龍は”来るなら来い”と言わんばかりに堂々と空を泳いでいる。

風がなびき、肌がぴりつく。


「ほう?せっかくの拾った命、捨てに来たのか?」


龍は呆れたように問いかける。


「いいえ、貴方をもう一度封印します」


覚悟を決めたコトハは今までとは違い、凛としている。


「我に二度も同じことが通用すると思っているのか?」


「え!?」


「我に二度も同じ術式は通用せん」


「ならば、貴方をここで倒すだけです!」


コトハは姉から受け取ったブレスレットを左腕につける。


「ほお?威勢がいいな。ならば行くぞ、我を倒してみよ出来損ない」


龍はアルド達を見据えると口を大きく開ける。


「皆さん!来ます!」


一斉に武器を構えるアルド達。


「おう!」


龍に向かい走り出す。


グオオオオオ!

龍の咆哮に吹き飛ばされるアルド達だったがすぐに立ち上がる。


「これしき!聞かぬでござる!」


龍の1つの口に光が集まっていく。


ボオオオオオオ!

口から高密度の炎が放たれた。


「今度こそ!私に任せてください!」


コトハがアルド達の前にでる。


(お姉ちゃん、みんな、傍にいてね)


「混沌、穢れ、禍を打ち砕きし我が盾よ、守りし者を救わんがため、我が眼前に姿を現せ!」


杖がエメラルドの如く発光し、アルド達の前に巨大な盾が出現した。


「コ、コトハ!?」


炎が盾にぶつかる。

盾はごうごうと包み込まれた。


「その程度での実力で我に向かってくるとは、愚かだな」


龍は完全に消し飛ばしたと思い油断していた。


「はああああ!」


アルドが龍にとびかかり龍の一番左の首に剣を突き刺す。

続いてサイラス、ギルドナも首へと切りかかる。


「せや!!」


「ふん!」


エイミはとリィカは腹部に一撃を入れる。


「えい!」


一斉に龍に攻撃を打ち込むが龍はよろけるどころか、傷一つついていない。


「終わりか?」


龍はアルド、サイラス、ギルドナを首で叩きつける。

一番右の首をしならせエイミとリィカを吹き飛ばした。


「グッ!」


「みなさん!」


コトハがみんなの元へ駆け寄ろうとするが、龍に吹き飛ばされる。


龍の力はアルド達の予想を遥かに上回っていた。たった一撃受けただけなのに体が動かない。


「ア、、アルド、、ギルドナどの大丈夫でござるか」


「う、、、、」


「この、、程度、造作もない」


口ではそういうものの体は正直だ。


「う、、、」


ギルドナは起き上がろうとするがよろけてしまい片膝をつく。


「口ほどにもないとはこういう事だ。滅びよ」


龍はとどめを刺しにかかる。

真ん中の首から放たれた炎は先程の者よりも大きく、そして眩しかった。

アルド達はここまでかと悟った。


アルド達に炎が迫りくる。


「皆さんは、私が絶対にお守りします!私はもうこれ以上大切な人達を失わない!」


コトハからは今まで見たこともないような魔力が溢れている。

禍々しい煙をまとっている龍とは真逆で白く澄んだオーラをまとっている。


「はああああ!」


杖を振ると炎がバアンと周りに散った。

そのことに龍は驚きを繰すことが出来なかった。


「貴様、、、その姿は、、?まさか、、、」


龍にはコトハと初代龍の巫女の姿が重なって見えた。


「みなさん、、受け取ってください!」


そういうとアルド達が白く輝く魔法で包み込まれる。


「う、、体が、、?」


「何でござるか!?」


「ほう?」


「これは、、?」


「力が漲りマス!」


先程まで立つことさえ出来なかったアルド達が立ち上がる。


「ど、どうなっているんだ?」


「力が湧いてくるでござる」


「私の中にある力を、一時的ですが皆さんに託しました」


「それじゃあ、コトハは?その姿は?」


「私なら大丈夫です。これは私にもよくわかりません。ただ、これ以上大切な人を失いたくないと、そう強く思ったんです。そしたら、段々力が溢れてきて」


「とてつもない力でござるな。以前のコトハどのとは比べようがないでござる」


「選ばれし巫女。それがこれほどとはな」


「すごいじゃないコトハ!」


「エネルギーが測りきれマセン!」


「貴様の力、見せてみよ」


龍はすべての口にエネルギーをためている。


「来ます。私が攻撃を抑えるので皆さんは奴に攻撃を!」


コトハに向かい一斉に炎が放たれる。


「はああああ!」


コトハは再び盾を出現させ炎に耐える。


「皆さん!今です!」


「ええい!」


エイミ、リィカはもう一度腹部へ渾身の一撃を放つ。


「グウウウウウウ!?」


龍の攻撃が途切れよろめく。


アルド、サイラス、ギルドナは龍の首元へと攻撃を放ち、斬り付ける。


「ウオオオオオ!」


敵の攻撃が自身に効くことに驚いているようだ。


「うう、、なかなか、、だがこれで終わりではあるまいな?次はこちらの番だ」


龍の首1つ1つがそれぞれアルド達に向かってくる。


「「はああああ!」」


アルド達は龍の首をはじき返す。


グオオオオオ!?


「う、、貴様ら、、、」


グオオオオアア!!


突然、咆哮しだす龍。だが、先程の咆哮とは違い咆哮をし終えると龍の瞳は青から赤へと変わっていた。


「こちらも本気でいこう」


そういうと龍は口か何やらドス黒い煙を吐きだした。

煙が段々とアルド達の周りを滞留し、やがては空をも覆ってしまった。


「終わりだ」


そういい終えると空から赤い稲妻が落ち、それは直接アルド達の方へ向かっていった。

アルド達はそれを躱すが、恐らく口から吐き出された煙の効果だろう。その稲妻は煙全体へと広がりアルド達を包み込む。


ドゴオオオオ!


「「うわああああああ!」」


直撃しアルド達は地面へと倒れる。


「い、今のは、、きついでござる」


「ふ、、これしき、、」


「損傷レベル、、大デス」


「あ、ああ。今のは、、まずいな」


「で、でも、コトハのおかげで助かったわ」


「いいえ、、完全には、、防ぎきれませんでした」


直撃する寸前でアルド達1人1人を覆うようにバリアで覆っていた。


アルド達は立ち上がる。


「はあ、はあ、次の一撃にすべてを込めるでござるよ。長期戦では勝ち目がないでござる」


「ふん、いいだろう」


「そうね、私も次の一撃に掛けるわ」


「ああ、これで決めよう」


「はい、これで最後です。ここで龍との因果を断ち切ります」


アルド達は一列に並び龍を見据える。


「これを食らうもまだ、立ち上がるか。望み通り終わりにしてやろう」


龍が口を開け頭上に大きな禍々しい炎の塊を作り出し、それをアルド達に向かい放つ。それはまるで今までため込んできた怨念が具現化したかのようだ。


「はああああ!我が盾よ!すべてを弾け!」


今まで見たこともないような大きさの盾が現れエメラルドに輝いている。

盾と炎の塊が激突する。

衝撃波が広がり周り全体が震えだす。


「皆さん!今です!」


「ああ!オーガペイン」


アルドがオーガペインを引き抜くと勢いよく大剣へと変化した。


「行くでござる!」


「グオオオオオ!」


ギルドナは魔獣本来の姿へと変身する。


「リィカ!行くわよ!」


「了解デス!」


「はああああ!」


コトハは龍へと攻撃をはじき返す。


「!?」


龍は目を見開いた。


はじき返された攻撃が自身を直撃し、身動きが取れなくなる。

身動きの取れない龍にアルド達は一気に畳みかける。


「「はああああ!」」


「終わりです!」


コトハは龍の頭上に巨大な魔方陣を作りそれを龍の頭にぶつける。


龍は全員の攻撃を食らい地面へと叩き落された。

落下時の衝撃はまるで隕石が落ちてきたかのような衝撃だった。


風が巻き起こり、地面が揺れる。


アルド達は武器を納め、ギルドナは元の姿に戻っていた。

龍に近づくアルド達。


「グウウ、、、」


龍はアルド達によって瀕死の状態まで追い込まれた。


「龍よ、あなたはこれで終わりです」


「貴様にあの女を上回る力があろうとはな、、」


龍にとどめを刺そうとするアズサ。


「ふ、、我は貴様らに再び殺されるのだな、、、」


龍は不敵に笑いながらも、目は非常に悲しそうにこちらを見つめている。


「それはどういう意味だ?」


「我ははるか昔、我は同胞と貴様ら人間によって殺されたのだ」


「なんだって!?」


アルド達は困惑する。


「はるか昔、この場所は豊かな自然と豊かな農地で囲まれていた。人間は我等、龍を神という神聖なものとして、あがめていた。我らは人間どもが禍や天災に合わぬよう守っていた。だが、そこに我は生まれた。5つの頭を持つ異形の存在として」


「そ、そんなこと聞いたこともないです」


コトハもそんなことは聞いたことがないらしく戸惑っているようだ。


「そうだろうな、、これは巫女と対峙する以前の話だ。生まれた我は他のものと異なる姿をしていた。それと同時に我は他とは異なる膨大な力を持っていた。同胞からは禍をもたらす異形の存在として恐れられ、虐げられた。人間であれば我を受け入れてくれると考えた。だが、その考えは浅はかだった。人間からも呪いと恐れられ我の居場所はどこにもなかった」


「そ、そんなこと、、、」


「そんなある日、龍と人間は徒党を組んで我を討伐しにやってきたのだ。我と敵は正面からぶつかった。だが、多勢に無勢。勝てるわけもない。我は遠のく意識の中、全てを呪った。我が同胞、人間、世界の全てを」


「お、お前、、」


「我は魂となってさまよっていたが積み重なる怨念の末、この世に再臨したのだ。我は、我を殺したすべての者に復讐をした。同胞を根絶やしにし、人間どもを滅ぼしたのだ。そしてその後、貴様らの始祖と対峙し我は封印された。だが、この怨念は消えはしない。今、我を殺そうと再び蘇り貴様らを地獄の底へと送ってやる」


「そ、、そんな、、、あなたは何も悪くないじゃないですか、、」


コトハは涙を流しながら龍に向かい話す。

龍はそれを見て困惑している。


「貴様、なぜ涙を流す」


「あなたはただ、みんなと仲良くしたかっただけなんですね。それなのに、、みんなから虐げられるなんて、そんなのかわいそうです」


「何を言っている?」


「私が、あなたのお友達になってあげます」


龍はコトハにからかわれていると感じる。


「からかっているのか?我は貴様の仲間を滅ぼしたのだぞ?」


「はい、そのことについては許すつもりはありません。絶対に」


コトハは冷静に答える。


「ならば、なぜそのようなことを言う」


「私にも、あなたの辛さはわかります。私はお姉ちゃんや仲間を失いたった1人で何も頼りがなかった。とてもつらかった、あなたを、自分を許せなかった。でも、そんな中アルドさん達に出会ったんです。こんな見ず知らずの私を快く受け入れてくれて、助けてもくれました。なので、今度は私の番なのです。私が力になってあげるんです」


「我は異形の存在。友など」


「そんなことは関係ありません。大切なのは中身です!それに、私は選ばれし龍の巫女ですよ?」


「フ、、、そうか。もっと早くに貴様と出会えていれば違う未来もあったのかもしれないな、、、」


龍の目から一筋の涙がこぼれる。


「せっかく友達になったんですから、名前を教えてください」


龍は少し考えると、悲しい顔をする。


「我に名は無い」


「え?ないんですか?んー、では、龍のリューなんてどうでしょう!かわいくないですか??」


龍は”そのままだろ”とでも言いたそうな顔をしているが、気に入ったのか少し微笑む。


「リュー、か。貴様の名は?」


「コトハです」


「コトハ、いい名だな。我が友よ、、」


そういい終えると龍は瞳を閉じ、覆っていた禍々しい煙は消え龍は、砂が風になびき舞い上がっていくようにキラキラと空へ消えた。

空を見上げると先程の厚い雲はどこかに消え、奇麗な夜空が出ている。


「あいつ、ただ仲間が欲しかっただけだったんだな」


「そうでござるな。拙者なんだか悲しい気持ちでござる」


「あんな怖そうな見た目でも、感じていることはみんなと一緒で1人ぼっちは寂しいのね」


「ふん」


「心は私たちと変わりないのデスね」


「う、、、」


いきなり膝から崩れ落ちるアズサ。

アルド達はコトハのもとへ駆け寄る。


「だ、大丈夫か?」


「は、はい、、少々魔力を使いすぎてしまいました、、、私、少し休みたいです」


「そうね。私も、もうへとへとよ」


「それではいかるがの里の宿で休憩するでござる」


「そうだな、立てるか?」


「はい、大丈夫です」


むくりと立ち上がる。


「では、行きましょう」


―アルド達はいかるがの里の宿へと向かう―


宿へと到着したアルド達はすぐさま寝床へ向かった。

戦いの反動なのだろうか、アルド達は寝床へ着いた瞬間に吸い込まれるようにして眠りについた。

眠っている間、どのような夢を見ていたのだろう。凛々しい顔つきで眠る者から溶けたような顔で眠る者まで様々だった。


チュン!チュン!


鳥の鳴き声が耳に入り目を覚ますアルド。


(んー、よく寝たな。みんなはもう起きているのかな?)


薄目を開けて起き上がる。


「やっと起きたわね?アルドはいっつも起きるのが遅いんだから!」


「起きたでござるか。アルドは相変わらずでござるな」


「ふん、、」


「どこか、痛むところはありマセンか?」


「ああ、大丈夫だよ。ありがとう」


「みなさん、みなさんに言いたいことがあります」


改まり、話始めるコトハ。

一体何を話すのだろうとアルド達は注目する。


「改めてお礼を言わせてください。みなさん、本当にありがとうございました」


丁寧に正座をしながらお辞儀をした。


「そ、そんなに改まらなくてもいいよ」


「それと、みなさんに最後のお願いが。一緒にお墓参りに来て切れませんか?」


「ん?いいぞ?」


「お安い御用でござる」


「もちろん!行きましょ?」


「ふん、いいだろう」


「もちろんデス!」


「ありがとうございます!紅葵という珍しいお花が欲しいのですが、摘みに行ってもいいですか?」


「ああ、おれたちもついて行くよ」


「クンロン山脈の頂きに生息しているのでそこへ行きましょう」


アルド達はクンロン山脈の頂きへと向かい紅葵を見つける。

その花は一輪だけ周りの花とは違い一目でそれだと分かった。

見方によって花の色は赤から青へと変わり、1つ1つの花弁にはラメが塗ってあるかのように輝いている。


「きれいな花ね」


「なんとも妖美な花でござるか」


「ああ、凄くきれいだ」


「このお花はお姉ちゃんの大好きなお花なんです」


「そうだったのね」


「喜んでくれるでしょうか?」


「ええ!きっと喜んでくれるわ」


「ありがとうございます。では、お墓参りに向かいましょう」


―アルド達はお墓へと向かう―


お墓の前にたどり着くとそこは以前とは異なる場所のように感じる。


アルド達はコトハを中心に一列に並んでいたがコトハが前へ出る。

コトハはお墓の前に立つとお花を供え、お墓のみんなに語り掛ける。


「お姉ちゃん、みんな、私達、龍を倒したよ。それとね?新しい仲間が出来たんだ。ここにいるみんな、とても頼もしい人達なの。だからね、心配しなくていいよ?」


笑顔で話しかけた後少し顔を曇らせる。


「みんなの前でこんな事言うのはなんだけど私ね?あの龍とも友達になったんだ。きっと怒るよね。でも、リューはただ一人で寂しくて仲間が欲しいだけだったの。きっと、本当はいい龍なんだ」


そういうとコトハは下を向く。

だが、その直後コトハの右肩をトン、と何かがそっと触れる。

振り向くとそこにはコトハの姉と巫女のみんなが微笑んでいた。


(少しの間でこんなに大きくなったんだね、、)


そうささやいた。

だが、瞬きをし、再び目を開けるとそこには誰もいなかった。

幻だったのだろうか。いや、そんな事はない。


緩やかに風が吹き、左腕のブレスレットが優しく揺れる。


「みなさん、ついてきてくださりありがとうございます」


「ああ、コトハはこれからどうするんだ?」


「私は、少し旅に出ようかと。あの龍のような寂しい思いをしている子がこの世界にはまだたくさん、いらっしゃると思うんです」


「なら、おれたちと一緒に来るか?おれたちも旅をしているんだ」


「え?そうなんですか?なぜ旅をされているんですか?」


「おれたちは、ある人を助けるために旅をしているんだ。時空を超えたり色々大変だけど、コトハもくるか?」


「来るなら歓迎するわよ?」


「新しい旅の友が増えるでござる!」


「遠慮なさラズ!」


「ふん!」


微笑むアルド達。


時空を超える?とキョトンとしているコトハ。

コトハはアルド達に嬉しくも悲しそうに返事をする。


「ありがとうございます。お気持ちはうれしいですが一緒にはいけません」


悲しい顔をするアルド達。


「どうしてだ?」


「これは私の身勝手なのですが、今回、この困難を乗り越えることが出来たのはみなさんのおかげによるものが大きいと思います。なので、もっとみなさんのお役に立てるよう、もっと強くなってからご一緒したいんです。だめ、、ですか?」


「ははは、そんなこと気にしなくてもいいのに。わかったよ。ならその時はよしくな?」


「絶対よ?」


「嘘をついたら針千本飲ましますノデ!」


「約束でござる」


「ふん、、」


「はい!」


嬉しそうに喜ぶコトハ。


「コトハ。なんか雰囲気変ったよな?前より堂々としているっていうか、、」


「そ!?そうですか??気のせいですよ??」


「そうか?」


ははは、と笑うアルド達。


「じゃあ、ここでお別れか?」


「そうですね、みなさん、またいつか必ず会いましょう!」


「ああ、約束だ!」


そう言って別れるアルド達。


互いに別の方向を進み出す。

一歩一歩、歩みを進め遠のいてゆく。今は離れたが進み続ければいずれ、互いに交わる時が来る。そう信じて進み続ける。


―数日後 コトハの旅路ー


コトハは人の立ち入らぬ山奥にいた。


「んー、ここにいるはずなんだけどなー」


何かを探してる。

すると木の根元付近に開いている穴から何かが顔を出す。


「あ!見つけた!」


そこには5つの頭を持つ小さく、奇麗な赤い色をした龍がいた。


「リュー!やっと見つけた。反応が小さくてわからなかったけど、ここにいたんだ」


龍は首をかしげる。


「探しましたよ?一緒に行こう?」


キョトンとしていたが嬉しそうに高い声で頷いた。


「ガウ!」


スルスルとコトハに寄って来るリュー。

2人は共に旅に出た。


「おなか減ったね!何か食べる?」


「ガウウウウ!」


第4話 完














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異形の龍 まさまさ @masaemon

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