第2話

早朝。目を覚ます。着替えて、シルヴィに書き置きを残して朝の日課の散歩をしようと玄関に向かうと、耳元の通信端末に外出注意の通知が入る。

何事かと確認すると、この近くで死体が発見されたとのこと。管轄区域だと思いながら家を出て、現場にいる捜査員に差し入れでもしようと途中のコンビニで暖かい飲み物を買って現場に向かう。

現場に近づくと、規制線係のアンドロイドが注意をしてきたので所属を

「特殊犯罪対策部特別課一班の御影。」

だと告げると

「休日にお疲れ様です。」

と定型的な返答と共に規制線内部へ入ることを許可される。

発見時間が早朝ということもあり、現場の処理は終わっていて同じ部署の捜査員が数人居たので差し入れを渡して状況を説明してもらう。

「被害者は先日お前が捕まえた対象が殺害した方法と同じで、食い荒らされた跡が残っていた。それにしても、休日の朝なのによく来たな、差し入れありがとう。」

「いえ、家の近くで発見されたのでお役に立てるならと思い来ただけです。差し入れは寒いと思うので現場のみなさんで分けてください。」

「おう、そうするよ。また何かわかり次第報告書にあげるからデータベースから見てくれ。もし必要になったらお前に連絡が行くからよろしく。」

「はい、ではこれで。」

状況の説明を聞き終えて家に帰る。

「それにしても、この周辺でも現れるようになったか。」

独り言を言いながら玄関に入ると、シルヴィが出迎えに来て、

「朝から独り言を言ってどうかしたのですか?」

「いや、事件の話だよ。この近くの公園で事件が起きたんだよ。しかも、」

「しかもなんですか?」

「普通の事件じゃなくて、僕が担当するような事件がだよ。」

「それは、また出勤されるんですか?」

少し心配した顔でシルヴィが質問するので安心させて、朝食を作るように頼む。

待っている間に今回の事件の報告を見る。大体は現場で聞いた話と一致している。何か、不可解な点があるのかと聞かれれば無いとしか答えようがない。疑問点を考えているとシルヴィが出来たての朝食を運んで来てくれる。

「ありがとうシルヴィ。美味しいよ。」

「褒めて頂くほどでもないですよご主人。ところで1つ聞いてもいいですか。」

「どうしたんだい。」

「ご主人が捜査員として働いているのは知っているのですが、どんな犯人を捕まえているのですか。」

「そうか、シルヴィには話したことがなかったね。食事を終わらせてから話そうか。」

「はい。」

食事を済ませて、片付けをしてもらっている間にわかりやすいように頭の中で整理していると、片付けの終わったシルヴィが隣に座ったので説明をする。

「まず、僕は特殊犯罪対策部特別課の捜査員として働いている。次に捕まえる対象は僕達が異常者と呼ぶ人々なんだ。これでいいかな?」

「はい。ありがとうございます。でも通常の犯罪者と異常者では何が違うのですか?」

「異常者は基本的に人を殺すことしかしない。それだけならまだいいけど、殺す理由が全員食べるためなんだ。原因までは判明していないけど特別課の中では10年前に導入された生体システムが影響しているのではないかと言われている。」

「ということは、ご主人はいつも人を食べるために殺す異常者の逮捕をしているということですね。」

「うん。そういうことになる。でも心配はしないで欲しい。事件が落ち着いたら家に帰ってくるから。」

「はい。帰ってくると信じて、ここで待っていますね。」

まだシルヴィには説明していないことが沢山あるのだがその時になれば説明しようと決めて、シルヴィと違う話をする。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無題 ノーチロス @Nautilus_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る