『教団X』で会社の読書レポートを書いたら

ひとりごはん

『教団X』を読んで

⑴選書の理由

私はお客様に信用される存在になりたい。それには丁寧さが必要で、慌てていたり自信なさげではいけないだろう。余裕がいる。

しかし毎月新たな支店目標、個人目標が生まれ、プライベートの悩みも相重なる。様々な問題が我々から余裕を奪っていく、落ち込んだりもする。

下を向いた人間が信用されやしまい、さらに目標が重くのしかかる、悪循環。

それでも自分が生きていることを肯定できる、前を向ける本を選んだ。


⑵気づいたこと

この本はカルト教団や殺人などの犯罪、人権を蔑ろにしたような思想などが出てきて、とても暗い内容だ。しかし何事も対比になるように、光を描くには暗闇も必要になる。途中、脳科学や量子力学などの観点も含んだ考察から、人の生きる意味について迫っている。

この宇宙、そしてそれを構成する粒子たちは人間を生み出す可能性に満ち満ちていた。

その上で我々の存在とは、この意識は何か?

筆者は作中で、別次元の存在が、あらゆる原子を通して脳機構を使いこの世界を、物語として覗いている可能性を示している。少し荒唐無稽だろうか?

しかし実際に我々のこの意識は普段のあらゆる意思決定に影響を及ぼすことはできない、という研究結果も報告されている。自ら選択しているように感じているが、実は見せられているだけ。もしそうなら何のためか、我々の意思とは何か?


⑶気づきをどう活かすか

意識によって自分の行動、選択など何も決めれていないとしたら、すでに何かに決められたものを、まるで自分で思考し選択したかのように錯覚している。

それはなんだか馬鹿馬鹿しくないか。真剣に悩むのが全くの無駄ということ。そして我々が小説や映画を楽しむのもそれと同じではないだろうか。

創作物中の登場人物の一喜一憂を我が事のように味わい、楽しんでいる。まさに物語を見るとはそういうことだ。

人の存在にどのような意義があるかはわからない。しかし物語を見る理由は楽しむためだろう。わざわざ次元を超えてまで私達は自己の一生、一連の物語を覗いている。なら精一杯楽しめば良いのではないか。そういう気持ちで日々の業務を前向きに取り組みたい。


また作中では度々神について問われる。私が思うに、上手くいかなかったり、困難を感じると人は神の存在を思い浮かべる。あらゆるものを超越した存在に見守られていると思うことで、今の辛さに意味や価値を見出したいのだ。

しかし神とは?一体何に我々は期待しているのか?

時にはそれに利用され、道を見失い過ちを犯すことも。戦争などがそうだろう。今一度、本当に自分が望むものなか?と疑問を持ってみるべきだ。私は上記の神を社会のルールや会社に置き換えてみる。

言われるまま、課せられた数字を追いかけていくだけでいいのか?それが続いていくと、仕事へのモチベーションも下降するのではないか。ただ目標を追うのではなく、本当の目的を理解しないままだとそうなってしまう。

我々は今更と思うことでも、何が大事が見定めなければならない。必要があれば切り捨てる、そういう選択もできるだろう。意味を問うことで新しいことの発見につながることもある。集金先等で普段との違いが気になり尋ねると、お孫さんが産まれたとの有効情報を得たこともある。それをさらに広い視野で行うことで今以上に、自分を発展させることもできると思う。


上記でこの本を選定した理由を書いたが、それも私の意思とは無関係に脳が勝手に決めたのかもしれない。しかしそれによって私は新しい知見を得た。この意思が錯覚かどうかは、これからの私の行動次第だ。


⑷将来の自己のあるべき姿は?

私たちが物語を見るために存在しているとしたら、他人と比べる必要はないのかもしれない。なぜなら世の中に多様な物語が溢れているように、人それぞれの人生、物語がある方が面白いに決まっている。

少なくとも私が本を読むのは楽しみたいから、に尽きる。

東洋には諸行無常という、苦しみもいつかは消えるという考えがある。仕事や困難に常に立ち向かうことはとてもしんどい。戦うだけのエネルギーをずっと持ち続けられない時もある。だから、それ以外のところで何か肯定するものがあれば。趣味や家族の存在、一杯のコーヒーでもいい。辛くても、自分にはこれがある、これが好きだと思うだけで少し余裕が出てこないだろうか?

それが仕事のクオリティを上げ、お客様の信用にも繋がる。

しんどいこともいつかは終わると受け流しながら、あくまで私達は楽しみを幸せだけを追い続ければ良いと思うが、いかがだろう?

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『教団X』で会社の読書レポートを書いたら ひとりごはん @hitorigohan

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