第6話 旅路ー2

最後の街を出て、秘書と二世は北に進んでいた。

南大陸の北西部には、活火山が集まっておりそこには巨人と、ドワーフ人種が住んでいた。

巨人は、血気が盛んなため何度も民族同士の争いの禁止を破り、魔王によって粛清されつずけた結果、極端に数を減らしていた。

それを見かねたドワーフが、一緒に共生するということでこの地を与えられたのだった。


火山の近くのため、鉱山資源がよく取れ、またドワーフ族は鍛冶をするときに特別な魔法を使うことができ、魔法道具などは、ドワーフ人種やその血族のみ作れることができたのだった。

しかし、魔王によってその生産数は制限され、また争いもなくなったため需要がなくなっている。



「熱い」

「二世、そんなんでへばってちゃだめだよ」


そういっているが、秘書は闇の衣を展開している。冒険の前、ずっとひんやりしているといっていたから涼むために出したのだろう。うらやましいものだ。


道は、石畳のようにしっかりとしたものではなく溶岩が固まっているもののように感じた。


「歩きにくいですね」

「そうだな」


二世はしっかりとした靴をはいていたつもりだったが、そのでこぼこした道に足の裏を攻撃され続けていた。

秘書は、足が小さいせいかちょっとしたくぼみにはまらないように気を付けながら歩いていた。


道なき道を進んでいくと、谷状の地形に行き当たりあらに底を進んでいくと非常に大きな門があった。

無骨な鉄でできているであろうその扉は、がさつに開けられた跡があちこちについている。その傷というのは、二世の身長ほどあるものであり、普通の人間がつけたものではないことがわかる。

またその扉には、猫が扉が閉まっていても出入りすることができるものと同じように二世たちの大きさにあった扉がついていた。


「さすがにこれを私たちみたいな人のために一回一回開けるのは手間ですもんね」

 その体の大きさにあったドアについているドアに感心し、秘書は言葉を漏らす。


「これたたいて気付いてくれるかな」


この先がドワーフ人種と巨人種がいる村だろう。しかし、扉がこの大きさである。村は広大な大きさを誇っているだろう。門番も特に見当たらないようなので、話せる相手もいない。ドアのすぐ向こうに人がいなければ、気づいてもらえるだろうか


「たたいてみたらどうですか」


至極まっとうなことを返された。それもそうだ。たたかないことには始まらない。

二世の大きさの扉ガンガンガンとたたき、

「すみません、旅のものですが」

と大声で叫ぶ。




しかし、扉に変化はない。冷たい鉄の塊のままだ。



「私がたたいてみましょうか?」

秘書が、闇の衣をこぶしに変化させながら言った。

「代わりにノックしてくれるの?」

「はい」

「やってみてよ」


扉から離れ、秘書と場所を変わる。

特に意味もなく、秘書は手をぽきぽきと鳴らし、闇でできたてもそれと同じように動く。

ついでに首も鳴らしている。


ノックするのに、そんな念入りなストレッチが必要なのだろうか?


呼吸を整え、黒いこぶしを少し後ろの振りかぶる。


「あのてかげ・・・」



轟音。




言いかけている途中、こぶしは扉を吹き飛ばした。

ドスンとおもっ苦しい音を立てて、もう扉とは言えない鉄の塊は地面に落ちた。


「あ、空きました」

「これは空いたんじゃなくて、吹き飛ばしたっていうんだよ?ノックって知らないの?」

「強く殴りつけることって意味じゃないんですか?」


確かにいう意味もある。しかし、扉を吹き飛ばしてはいれるようにするという意味はない。


「まあ空いたからいいじゃないですか」

「あとで直さないと、」

「二世が治すの?ここに住んでる人のものじゃん」

「それを壊したのはあんたなんだよな」


 ぽくぽくぽくちーんと自分がやったことを秘書はやっと理解した。


「あー、確かに、でも文句を言ってくれば倒せばいいしょ」


魔人は強いものこそ正しいという文化が根強く残っている。これでは、部族間ならばともかく、ほかの種族との交流は難しいかもしれない。

「じゃあ、一回勝負に勝った俺の言うことは聞いてくれる?」

「んー、生身の強さはともかく敗者は勝者に従わなきゃだめだから、何でもはもう一回ぐらい勝負に勝ってもらわないと、もう負ける気はしませんが」

「わかった。じゃあ、どんなことをやりたいか一回いって、それに俺が承諾したら行動してもいいってのはどう?」

「多分、十回に一回くらいは言わずに行動しますよ」

「んー、まあそれでもいいか。でもちゃんと報告してほしい」

「起こったことを報告するのは秘書の仕事でよくやってるけど、起こすことを報告するのはあんまりないな」

「じゃあよろしく」

「わかりました」


ぶち抜かれた扉を見る、秘書のこぶしが少し扉よりも大きかったようで、人差し指と小指のへこみが残っている。

奥は霧ががっているようだった。へこんだ扉がかすんで見える。



あいた扉の跡をくぐろうとしたとき、目の前からけたたましい音が聞こえ目の前にあったへこんだ扉が押しつぶされ、また扉が動いた。

扉をくぐる途中だった二世はその衝撃で体が二重になり扉に引っかかった。秘書は、勢いよく向かってくる鉄の塊といえる扉を殴った。


巨人用の扉はあこうとしていた逆方向の岩の壁に当たった。


そのあとに、物が落ちる音がした。鉄の音ではない。もっと柔らかいものだ。


二世は間一髪で、錬金術を使うことで壁を砂状にすることでぺちゃんこにならずに済んだ。

入ろうとしていた扉からはさらさらと砂がこぼれている。


「死ぬところだったんだけど」

「すみません、危険を感じたのでつい」


秘書は悪かったというように、闇のこぶしを下げた。


「いててて、なんで扉が吹っ飛んだんだ」

 吹き飛ばされた物体は大きな声でしゃべり始めた。


 霧が少し晴れ、飛ばされた物体の姿があらわになる。


 それは、ガタイのいい男子だった。体が、二世の十倍ほどあるという点を除けば、普通の人と変わらない姿をしていた。

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かの世界の歴史について~魔王二世の俺が恐怖で支配していた魔王の死後、世界を平和にするまで~ のっとあいす @NotIce

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