情景ばかりが浮かび上がる。盆祭の宵闇に妖しく浮かぶ屋台の灯り、浴衣に帯、硝子細工のような 何か。 『金魚球』は、『禁形魂』の当て字だという。不思議な工程で創られる、その玉とは一体何なのか。歳の瀬の破魔矢のように、古いモノは還すのか、それとも。 妖しく美しい光の中で、人は魅入られてしまうのか。そしてその結末は…。余りに美しく妖しい物語。
ああ、嫌だ、嫌だと思いながらも読みやめることができませんでした。まさにいま、自分がそれをじっと見つめているかのよう。手のひらに重みが感じられるほどでした。一瞬、息が止まります。背筋が震えました。この先一生覚えているであろう作品です。大好きです。