記憶を失った女子高生が異世界でどうにかこうにか暮らしていく物語です。
文章が一人称視点で書かれている為、キャラクターの内心に寄り添って読み進めていくことができます。異世界で生き抜く為にはどうすればよいか、やりたいことは何か、主人公が必死に考えを巡らせているのがよくわかります。時には自虐も……(笑)
モンスターや冒険者が存在し、主人公も「異能」と呼ばれる能力を発現させますが、戦闘シーンはあまりなく、基本的にほのぼのしています。その中で、主人公はひらがな・カタカナのみの文章に不満を覚え、異世界に「漢字を広める」という大願(?)を抱くようになります。しょうもない目標と言えばそれまでですが、これまでにない独創的な発想に、思わずクスリと笑ってしまいました。
気になった点を挙げるとすれば、折角「異世界で漢字を広める」という斬新な設定を掲げているのですから、それをもっと全面的に押し出していくと尚良いと思いました。主人公が如何にひらがな・カタカナオンリーの文章に辟易しているか、漢字に対して熱意を持っているのか第一章で詳細に語られると、物語に入り込みやすかったと思います。
第二章の時点では、横道に逸れてアイスクリーム作りに執心したりしていますが、今後主人公がどのようにして「漢字を広めていく」のか見物です!!