第459話 検証結果報告
「エンリケ、さっきの実験結果なんだけど…わかった事があるの」
「え!? 何々!?」
ふふふ、エンリケもエルフと同じで新しい知識に対する好奇心は強いよね。
これならば治癒魔法の検証結果と引き換えにホセを抑えてくれそうだ、私は内心ニヤリと笑う。
「だけどさぁ、次の休憩場所でホセがお説教するって言ってたんだよね。騒がせたのは悪かったけど、しっかり発見もした私がお説教されるのって可哀想だと思わない?」
「ははっ、わかったよ。ホセ、聴こえてるでしょ? お説教は勘弁してあげてくれる?」
エンリケが振り返って言うと、御者席の小窓がガラッと音を立てて
「チッ、ちゃんと有益な事がわかったんだろうな?」
さっき怒らせたから腹いせついでに説教しようとしてただろうし、かなり不機嫌な声だ。
「もちろんだよぅ、きっと治癒魔法が使える人は当たり前だと思ってる事だろうから今まで解明されてなかったんじゃないかな。今は御者してるから詳しくは後からね」
手綱を握っているので前を向いたまま答えた、決して勝利を確信してニヤけている顔を見られない為では無い。
「じゃあエンリケが聞いて納得出来る内容だったら説教は勘弁してやる」
「うん、わかった」
あまり喜び過ぎると怒るだろうから平常心を保つ、今実感した事と女神様から貰った知識、これまでに
手綱を握ったままウンウン
そして到着した次の休憩場所、時間的に昼食も摂るので検証結果が食事中の話題となった。
「それで他の魔法との違いはわかったのかい?」
私がその場
ところがどっこい、バッチリ説明できちゃうもんね。
「もちろんよ、まず治癒魔法の適性はかなり厳密な魔力操作が必要って事がひとつ。それこそ針の穴を通す様な…ね、他の魔法って魔力量が多くても少なくても威力が変わるだけで発動するんだけど、治癒魔法はそれなりの魔力量が必要な上、キッチリ『これだけの魔力』って決まってるみたい。使う魔力量がズレると擦り傷程度しか治せないってワケ」
「うんうん、確かに普段魔法を使う時に同じ呪文だからってキッチリ同じ魔力量を使ってはいないね」
カマエルとタミエルはエンリケが竜人だと知らないので今はエンリケも積極的に話す気は無いらしく、代わりにガブリエルが興奮気味に話している。
カマエルとタミエルも普段魔法を使う時を思い出しているのか、何やらブツブツ言いながら手を動かしていた。
「続きは食後にしようか、食事が
「そうだな、ジャガイモとチーズの相性が良いのは知っていたが、下に入ってる
どうやらリカルドはこのグラタンが気に入った様だ、塩胡椒と大蒜で炒めたほうれん草とミンチにホワイソースを掛け、その上に塩茹でしたマッシュポテトを乗せてホワイトソース、仕上げにチーズを乗せたらオーブンで焼き色付けて出来上がりの結構シンプルなものだがおかずにもおツマミにもなる。
「ほうれん草無しで肉だけで良いのによ」
「野菜も食べなきゃダメだよ」
「ジャガイモも野菜だろ?」
ホセは基本的に肉があれば満足する、積極的に食べる野菜は
「ジャガイモは栄養もあるけど炭水化物も多いから色の鮮やかな野菜を食べようね」
そう言ってヒョイヒョイとプチトマトをホセのグラタン皿に乗せる。
「あっ、オイ! トマトは熱くなると気持ち
「え~? トマトの栄養は熱で壊れにくいからお味噌汁とか野菜スープにも刻んで入れてるのに食べてるじゃない」
「入って…たか?」
「うん、旨味がアップするから少しだけど入れてるよ、赤いの入ってたでしょ?」
「そういやあった様な…」
「隠し味程度だから気にならなかったんじゃない?」
「アイルの作る飯は何でも美味いからな、美味けりゃ細かい事は気にならねぇ」
よしよし、食べ物の話でお説教の事は忘れてくれたみたいだね、治癒魔法の話も説明するの結構面倒だから忘れてくれないかなぁ。
そう思ったが世の中そんなに甘く無い、私とホセが話してる間にエルフ三人は食事を済ませて待機していた。
「さ、アイルも早く食べて話の続きを聞かせてよ」
にこやかに催促するガブリエル。
「………うん、そうだね」
早くしろと物語っているホセの視線も刺さり、諦めて食事を済まて続きを話す。
「え~と、どこまで話したっけ、使う魔力量だったかな。コレは魔力操作が大事だけど、女神様の加護が大きいと思うんだよね、だから女神様を信仰している教会の人達に治癒魔法を使える人が多いんじゃないかな。エルフに治癒魔法が使える人が少ないのは女神様より精霊を信仰してるからだと思う、その証拠にウリエルは治癒魔法使えるでしょ? 欠損を再生するレベルの治癒魔法は人体構造の知識が必要みたいだけど」
話し終わったらシンとしてしまった、頑張って説明したからお説教は回避だよね!?
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