第257話 実況はアイルがお送りします
ここからの実況はワタクシ、アイルがお送り致します。
4人娘が『
おや、自己紹介を始めたぞ、その間も私の事は一切見ない! 完全無視だ~!!
どうやら食事に誘う様だ、今度はビビアナも邪魔だと思っているのか1人1人個別で誘っている!
困った様にアイコンタクトを取り合う男性陣! 4人娘は勝利を確信してこちらもアイコンタクトを取っている!
「いいんじゃない? 行ってきたら? 久々にビビアナの好きなものだらけの夕食にしよっか」
「あら、それは嬉しい提案ね! そうねぇ、今日は中華が良いかしら、水餃子と…赤鎧を使ったカニ玉とぉ…唐揚げも外せないわねぇ…」
「じゃあ唐揚げを味変えで
エリアスとリカルドには目で後で報告よろしくと訴えてビビアナと夕食の相談を開始!
ビビアナも意図を察してか夕食の話に乗っている!
ニヤリとした笑みが深まる4人娘、しかしよく見ろ、ホセの視線がこちらに向いてるぞ!?
ビビアナが並べたメニューにゴクリと唾を飲んだのはリカルド、エリアス、ホセの3人だ!
エンリケにとっては半分以上知らない料理名なせいか反応は薄いが、3人を見て興味を持っている!
しかしそれでは面白くない!
ここは是非とも4人娘と食事に行ってどんな行動を仕掛けて来たか教えて欲しい!
男性陣が一緒に帰ると言い出さない様に手を打つべきか!?
「2人分だったら色々作ってもそんなに時間が掛からないからね~」
「嬢ちゃん! 何か聞いた事無い料理作るんだって!?」
おっとここで乱入者だ、ギルド酒場のマスター兼料理人が現れたぁ~!
どうやら会話を聞いていたウェイトレスのお姉さんから聞いてやって来た様だ!
「あ、そういえば商業ギルドに登録してないのもあるね。知ってる料理を全部すぐに思い出せなかったからねぇ、それに分量が適当なのもあるし…」
「唐揚げの味変えって言ってらしいじゃねぇか、って事は大して手間はかからねぇんだろ? 2人分の材料はウチの物使って良いからよ、ここで作って行けよ、何なら俺も手伝ってやるから…どうだ?」
「う~ん、じゃあ赤鎧1体提供するから同等の材料提供してくれる?」
「よし、乗った!」
実況ゴッコは楽しかったけど、どうやらここまでの様だ。
「じゃあビビアナは席で飲みながら待っててくれる? どうせならカニ水餃子にカニ玉、唐揚げのカニ餡かけも作って赤鎧
「良いわね、最近赤鎧食べて無かったから楽しみだわ。マスター、エールよろしく」
唐揚げの下味をつけて寝かせてる間に赤鎧を解体、唐揚げを揚げる作業はマスターに丸投げして油淋鶏のタレとカニ餡を説明しつつ作った。
揚げてる間は数分の合間があるからマスターはメモをしつつしっかり覚えた様だ。
3種の唐揚げをビビアナに届けると、周りからの視線が集中する。
「ん~♡ 美味しい! ふぅふぅ、あっ
唐揚げから溢れ出た肉汁が
その様子を見てゴクリと唾を飲み込む冒険者達、唐揚げに対してなのかビビアナに対してなのかはわからないが目は釘付けだ。
その間にも私とマスターはカニ玉とカニ水餃子を作って完成させた。
メモを見れば作れそうだと言うので、作った料理をストレージに一旦収納してビビアナの待つテーブルへ。
器は普段からストレージに入れてある『
「はぁ、お腹空いちゃった、いただきま~す! はむっ、んん~
水餃子のつるりとした喉越し、焼き餃子も良いけど甲乙付け難いよねぇ。
モムモムと咀嚼していると視線が突き刺さるので辺りを見回す。
周りの冒険者かと思ったが、それだけではなく少し離れた席にリカルド達8人がテーブルに着いていた。
どうやら私が作る料理目当てだった様だがここはギルドの酒場である、4人娘が一緒な限り無料で食べられる私が作った分を出してはダメだろう。
私は甘酸っぱいタレがたっぷり染み込んだ油淋鶏を目の高さまで上げ、こちらを見ているリカルド達の方を見ながらひと口で頬張った、うんうん、美味しい。
匂いにつられて冒険者達が次々に注文しているからリカルド達のテーブルの料理が届くのはまだ暫くかかるだろう。
特にホセがイラついている様で殺伐とした雰囲気を
「ふふっ、ホセったら凄い顔してコッチを見てるわよ? 帰ってからお説教されるんじゃないかしら?」
「私は何にも悪い事してないからお説教される筋合いはないも~ん。チュル…んん、水餃子の皮のプリプリ具合も良い感じ」
「あの子達頑張って話し掛けてるけど、皆アイルの料理が気になってまともに聞いて無いんじゃないかしら? ん、この餡ってとろっとしてて喉越しが良いから好きだわぁ」
「でも奥の厨房でも作ってるはずだからすぐに料理は食べられるでしょ。ホセはお腹空くと不機嫌になるから食べれば機嫌も直るんじゃない? どうせこの会話も聞いてるでしょ、ホセのス・ケ・ベ、なんてねっ」
冗談で言った瞬間ガタンッと大きな音を立ててホセが立ち上がり、無表情でズカズカとこちらへ近付いて来た。
「あらやだ、しっかり聞いていたみたいね、うふふ」
「うふふじゃないよ! あわわわわ、どうしよう!!」
「今のホセの機嫌をとれるものはここにあるじゃない」
ビビアナがそう言うと同時にホセが私の真横に立った、そして見なくても無言で私を見下ろしているのがわかる。
私はストレージから油淋鶏の乗ったお皿を取り出し
「どうぞお納め下さい」
しかしお皿を無言で受け取ったもののまだホセは立ち去らない、ビビアナに助けを求めてチラリと見るが、クスクス笑ってるだけで助けてはくれなさそうだ。
カニ餡かけ唐揚げのお皿も取り出し、同じ様に差し出すと今度はお皿を受け取って尻尾を揺らしながら立ち去った。
翌日、『
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