もう、最初に言えることは主人公のリディア・クラウンが可愛い、それに尽きるということです。
初めての街、世界に、そして病気から解放されて今まで眠っていた自分の力に戸惑うリディは可愛すぎます。
そして神経質と呼ばれえた彼女がどんどん元気に、開放的になっていくのは見ていてとても気持ちがよく、元気を与えられます。
開放的と言っても淑女としての嗜みの心は失わず、そしてちゃんと礼節も重んじますのでご心配なく。
ジャスミン~政略結婚でも、愛し愛されたい~https://kakuyomu.jp/works/1177354054889513090 の主人公のジャスミンの従妹であるリディア。作中では描かれなかった彼女のフラン神聖帝国での物語が、今、幕を開けます。
当方、「スチームパンク」がどんなものなのか、知らないままこの作品を読み始めました。何せミステリー畑の出身ですから、ファンタジーの世界にも疎い、この作品のいい読者にはなれないんじゃないかと、不安もありました。
結果からまとめましょう。杞憂だった。
作者の笛吹ヒサコさん、きっとこの作品を書くために、世界地図から作ったんじゃないかなぁ。そう思わせるほど、この作品の世界観に飲み込まれました。
この世界の地理、文化、歴史、宗教、社会、全てが新鮮で、けれどどこか知っているような気もして、「身近だけど知らない」世界を僕は味わいました。
登場人物の描写……とても丁寧です。特に行動や態度から心情を察することができる点がいい。
魔法の描写……ミステリー畑で、そういう「魔法の場面」の想像力に欠如している人間でも目の前にありありと浮かぶほど。
世界観……先ほども話した通り。
このレビューを書いている2021/2/4時点でまだ連載中ですが、続きが楽しみ。
これはあなたの知らない世界の話じゃない。きっとどこかで、知っている話。