手紙
ライター仲間の池淵から『今夜は明け方まで飲むから付き合え』とメールが来たのは、取材を終えて家路に着いていた時のことだった。
「実はよ、面白いネタだってんでサツから流されたんだが……しくったみたいだ。首突っ込んだの、後悔してんだよ」
指定された居酒屋の暖簾をくぐってみれば、彼は酷く肩を落としていた。既に生ビールをジョッキ一杯分空けていて、大きく溜め息を吐き出している。
「おいおい、珍しいな」
池淵はネタならなんでも記事に起こす男だと知っている自分は、驚いて目を見開く。彼は鞄からクリアファイルを投げ出すと、そのまま机に突っ伏してしまった。
「こんなもん、どうしろってんだよ。お蔵入りだ、お蔵入り」
「そんなに酷いのか」
今はお堅い社会派記事を書くことが定着している自分ではあるが、昔は池淵と変わらず節操なく記事を書いていた。そういう身であるから、あの池淵が匙を投げているものに少しだけ興味が湧いてしまう。
「見てもいいか」
投げ出されたファイルに手を掛けて尋ねれば、突っ伏したまま池淵はこっくりと頷いた。ゆっくりと手元に引き寄せ、中身を引き抜いてみる。それは一枚の手紙と封筒のコピーであった。
以下は自分が読んだ手紙の内容である。
【サンプルここまで】
【文学フリマ東京11/22 本文サンプル】ホラー短編集『彼岸から』 @kawawatari
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