File28:F-16V

 F-16の最新型。F-22やF-35といった第5世代歩兵戦闘機との相互運用性が優れている。V型の外観上での特徴はやはり人間でいう肩甲骨あたりに追加されたコンフォーマル・フューエル・タンクだろう。これはブロック50/52アドバンスド以降の個体に見られる特徴であり、V型の複座機では更にドーサルスパインが追加され、そこに電子戦機器詰め込まれている。そしてこのV型が他のコンフォーマル・フューエル・タンクを装備するF/E型やブロック50/52アドバンスドと異なる点は既存の機体の改修機だということだ。既存機体の改修によって機体を新規購入するという手間と負担が省ける。コンフォーマル・フューエル・タンク以外にもエンジンの載せ替え、アビオニクス更新、レーダーの載せ替えといった外観以外での改修もなされている。Vの由来はF-16の愛称の1つである「ヴァイパー」からきていると言われているが、真偽は定かではない。

 今回紹介するのは2016年に行われた「日本国首都奪還作戦」の一部始終である。


 数々の戦闘機が空中給油を受けては編隊に戻っている。F-2、F-4、F-15、F-16、F/A-18E/F、F-22、ユーロファイター、ラファール、果てはA-10やハリアーといった攻撃機、Su-27やMiG-29といった共産圏の機体までもが編隊には加わっていた。


「ジェントルマンがこんなにも集まるとは、壮観だな。」


 彼らは奪われた東京を取り戻すために、ヨーロッパ、オーストラリアを経て太平洋を飛んでいる。


「国籍を越え、この空域に集まった者に告ぐ。我々は奪われた東京を取り返すという目的だけで集まった有志連合だ。」


「これより東京を奪還する。」


 戦闘機達がアフターバーナーを全開にし、東京へ向かう。


「各機、作戦開始だ。」


「東京まで一直線だ!」


 戦闘機達は羽田空港へ向かう。空港を制圧し空挺部隊を降ろす。それと同時に、敵航空機の離陸能力を奪う。離陸に助走が必要な航空機は滑走路が無ければ無用の長物だ。

 敵の戦闘機が迎撃に上がる。向こうの機種もバラバラで中国軍機、ロシア軍機、鹵獲されたと思われる自衛隊機、国籍マークが塗り潰されたNATO軍機までもが見られる。


「あちら側も大軍勢だ。負けるなよ。」


「ヴィアスコープ隊、エンゲージ。」


 ヴィアスコープ隊と呼ばれる5機のF-16Vの編隊が敵編隊と交戦を開始する。F-16Vはマシンガンを構え、発砲する。敵機は反応する前に被弾し墜落した。


「ヴィアスコープ隊の任務は航空優勢の確保だ。敵航空戦力を撃破し、友軍の活路を開け。」


 ヴィアスコープ隊は羽田空港の上を飛び回る戦闘機を叩き落としていく。そして南から空挺部隊が到着する。


「戦闘機!よくやってくれた!」


 輸送機から戦車が投下される。対空火器に狙われるが、戦闘機によって鉄くずにされた。戦車部隊は無事着陸する。戦車が進軍を始める。


「爆撃機隊は倉庫の破壊にあたれ。くれぐれも味方には当てるなよ。」


 後方からA-10やF-15Eといった爆装が施された機体が空港の格納庫を爆撃していく。格納庫に戦闘機があったのか、派手な爆発をする。続けてF/A-18Fが地上の敵戦闘車両を爆撃していく。羽田空港に展開する航空戦力と地上戦力を排除した。


「羽田空港を制圧した。」


 空港を制圧した連合軍はさらに東京の奥へと進んでいく。


「これより首都高速湾岸線へ入る。」


 地上部隊から無線が入る。


「次の目標は東京都庁だ。」


 台場方面から敵の攻撃がくる。


「お台場方面から敵の攻撃。艦船からだ。対艦攻撃能力を持った機はお台場へ急行せよ。」


「ヴァイパー・ゼロワン。台場方面へ向かう。」


 自衛隊のF-2が編隊を離れお台場へ向かった。

 ヴィアスコープ隊は品川方面へ向かう。


「レインボーブリッジ上空に展開する敵戦闘機隊を発見した。ヴィアスコープ隊、対応せよ。」


「ラジャー。」


 ヴィアスコープ隊がレインボーブリッジへと針路を取る。敵はSu-37で構成された部隊だった。Su-37とヴィアスコープ隊のF-16Vが交戦を開始する。Su-37からミサイルが発射される。F-16Vはミサイルを回避して反撃する。


「リロードする。」


 F-16Vは腰から予備マガジンを取り出し、リロードした。ヴィアスコープ隊はSu-37をロックオンし、ミサイルを発射する。Su-37はフレアでミサイルを回避する。F-16Vは背部ウェポンラックからブレードを取り出し、Su-37へ接近する。Su-37は機関砲で撃退しようとするが、F-16Vは装甲の厚い部位、それも前線基地ですぐに交換できる部位を盾とし、機関砲の弾を受け止める。F-16Vはブレードを振り、Su-37を撃破する。


「レインボーブリッジ上空の制圧に成功…。AWACS、レインボーブリッジに敵車両がいる。」


 敵車両の情報がモニターに映し出される。SAM(地対空ミサイル)を積んだトラックとレーダーを積んだトラックだ。地対空ミサイルが発射される。F-16Vはフレアでミサイルを回避する。


「ヴィアスコープ隊。レインボーブリッジ上の敵車両は排除しろ。ただし、橋の破壊は禁ずる。」


 ヴィアスコープ隊は、少々危険ではあるが、レインボーブリッジへ着陸する。再びSAMが発射される。パイロットはバルカン砲の発射ボタンを押し、胸の銃口から弾丸を発射させる。弾丸はミサイルを撃ち抜き、空中で爆散させる。F-16Vはマシンガンを構え、トラックを攻撃する。トラックは無力化され、レインボーブリッジは制圧された。それとほぼ同時にお台場に展開していた敵艦隊が排除された。

 これで羽田空港、お台場、レインボーブリッジの3地点が解放されたことになる。


「ヴィアスコープ隊は港区の制圧にあたれ。」


 ヴィアスコープ隊はレインボーブリッジを北西へ進み、港区へ向かった。


「ヴィアスコープ隊。港区には東京タワーがある。奴らは放送施設を用いて東京一帯の部隊に通信を飛ばしている。東京タワーを破壊しろ。」


「刻めばいいのか?倒せばいいのか?爆破すればいいのか?」


「刻んでブッ倒して爆破しろ。手加減は要らん。」


 ヴィアスコープ隊は東京タワーへと飛ぶ。東京タワーの護衛か、前方からMiG-29が飛来する。


「エンゲージ。」


 F-16VとMiG-29が交戦する。MiG-29が機関銃を撃ってくる。F-16Vは弾を回避し反撃する。マシンガンの引き金を引いて105mm弾を発射する。105mm弾は照準から外れ、MiG-29に当たることはなかった。


「ミサイル!回避しろ!」


 地上から地対空ミサイルが飛んでくる。狙われたF-16Vは機体を宙返りしながら高度を上げる。ミサイルは機体を追従出来ず空へ吸われていった。

 空中でマシンガンの撃ち合いになる。互いが互いに有利な位置を取り合い、ドッグファイトになる。常にロックオンのアラートがコクピットに鳴り響く。そして下では地対空ミサイルが狙っている。F-16Vは猛攻の間隙の縫って敵戦闘機にマシンガンを食らわせる。弾は戦闘機のエンジンに当たり、漏れ出た燃料が炎上する。機動力を落ちたところを更に攻撃し、撃墜する。

 戦闘機1機を撃墜するのにかなり時間がかかっている。これでは敵の増援が来るかもしれない。それでは東京タワーの破壊は困難になる。


「こちらウィザード、貴隊を支援する。」


 航空自衛隊のウィザード隊が戦線に参加する。ウィザード隊はF-15Jで構成された制空戦闘を主な任務とする部隊だ。ウィザード隊は散開しMiG-29との交戦を開始する。


「ヴィアスコープ隊、貴隊は東京タワーを破壊しろ。」


「了解した。」


 ヴィアスコープ隊は東京タワーの破壊に向かう。

 地上から対空ミサイルが飛来するが、東京タワーを盾にして避けた。


「東京タワーの構造をデータリンクで送った。タワーの中心部と『脚』を破壊しろ。それでタワーはぶっ倒れる。」


 F-16Vは東京タワーの「足元」まで降下する。そして「脚」へ向けてミサイルを発射する。ミサイルは東京タワーへ直撃し、脚を破壊する。

 東京タワーが倒壊する。


「東京タワーから電波停止を確認。任務達成だ。」


「こちらウィザード。敵戦闘機の全滅を確認。制空権を確保した。」


 そしてAWACSから状況報告がなされる。


「こちらAWACSエディ。品川区の8割を奪還。」


 地上部隊が進んでいき品川駅付近まで奪還できたようだ。


「ヴィアスコープ隊、新たに羽田空港に補給地点を追加した。適宜使用してくれ。」


 ヴィアスコープ隊のF-16Vはミサイルが尽き、機体も損傷している。友軍の進軍具合を見ると一度帰還したほうがよさそうだ。

 ヴィアスコープ隊は羽田空港へ向かう。


「よく帰ってきてくれた。」


 羽田空港へ着陸すると整備員が総出で機体の補給と修理に取り掛かる。


「君たちは少し休んでおくといい。」


 ヴィアスコープ隊は少々の休息を得た。


「ヴィアスコープ隊。機体の補給が完了した。」


 パイロットがF-16Vに乗り、滑走路へタキシングする。F-16Vには対地兵装が持たされており、肩には無誘導爆弾が、手にはグレネードランチャーが装備されていた。


「こちら管制塔。離陸を許可する。」


 F-16Vは離陸し、戦線へ戻っていった。


「現在、連合軍は劣勢にある。」


 聞くところによれば、旧政府機関へ近づけば近づくほど相手は防御網を何重にも展開しており、地上部隊はその突破に難儀しているという。既に全体の2割程度の損失を被っており、これ以上の損失は厳しいということだった。


「ヴィアスコープ隊は敵地上戦力を可能な限り排除しろ。」


 地上には戦車や対空兵器、戦闘車両がズラリと並んでいる。ヴィアスコープ隊は無誘導爆弾を投下する。無誘導爆弾は高度を落としていき、地面と衝突する。爆弾は爆発し、周りの車両を一網打尽にする。敵車両が地対空ミサイルを発射したが、F-16Vはそれを回避し、グレネードで車両を破壊した。

 前方から戦闘機が飛来する。人民軍のJ-10だ。J-10がミサイルを発射してくる。F-16Vはミサイルを避ける。しかし、F-16Vには反撃手段がない。


「AWACS、こちらヴィアスコープ。敵戦闘機を確認。救援を求める。」


「了解。すぐに向かわせる。」


 J-10はミサイルとマシンガンを織り交ぜながら繰り返し攻撃してくる。ヴィアスコープ隊は敵の攻撃を回避し続け、味方の戦闘機を待つ。その間にも地上の対空兵器がヴィアスコープ隊を狙っており、時折対空機銃や対空ミサイルが飛んでくる。隙を突いてグレネードや爆弾で地上兵器を破壊していく。


「ヴィアスコープ、こちらガーゴイル隊。貴隊を支援する。」


 ガーゴイル隊はアメリカ空軍の部隊だ。彼らは空軍にも関わらず艦上戦闘機のF/A-18E/Fを使用している。F/A-18E/FとJ-10が交戦状態に入る。J-10はF-16Vへの攻撃で弾薬を消費している。状況からはF/A-18E/Fのほうが有利だと言える。そしてその通りF/A-18E/Fは短時間でJ-10を排除した。


「援護に感謝する。」


 空の脅威がなくなったヴィアスコープ隊は地上戦力を排除する。


「敵勢力の排除を確認。次の目標を指定する。」


 ヴィアスコープ隊は次の地点へ向かった。

 次の目標は東京駅の奪還だ。東京駅には敵の戦車部隊が集まっている。それを壊滅させるのがヴィアスコープ隊の任務だ。


「今東京駅に向けて敵爆撃機が飛行している。地上の部隊がやられないためにも爆撃機を撃墜しろ。」


 F-16Vのレーダーが敵爆撃機を捉える。F-16Vは敵爆撃機に接近する。護衛に戦闘機

 が付いており、F-16Vに攻撃を仕掛けてくる。F-16Vは散開し、敵爆撃機を狙う。グレネードを発射し、爆弾ごと敵爆撃機を爆破する。

 敵戦闘機がミサイルを放ってくる。F-16Vはフレアでミサイルを逸らせる。F-16Vが背部武装ラッチからマシンガンを取り出し敵戦闘機と交戦する。敵戦闘機はマシンガンを撃ってくるが、F-16Vはそれを全て回避して反撃する。105mm弾が敵戦闘機の装甲を貫き、高度を落としていく。別のF-16Vはグレネードランチャーで爆撃機を撃墜する。続けてもう1機撃墜する。

 飛来してきた全ての爆撃機を撃墜し、残りは制空戦闘機だけとなった。F-16Vはマシンガンの集中砲火で敵戦闘機を蹴散らした。ヴィアスコープ隊は東京駅上空へ戻る。下では戦車同士が主砲を撃ちあっていた。ヴィアスコープ隊は敵戦車へグレネードを撃ち込む。戦車を数両撃破する。

 駅の影からヘリが飛び立つ。対戦車ヘリコプターだ。ヘリは対戦車ミサイルを発射し、連合軍の戦車を破壊する。ヴィアスコープ隊はマシンガンを構えヘリを攻撃する。ヘリの装甲は厚くないため数発当てればすぐに落ちる。しかし、ヘリは1機だけではない。複数のヘリが姿を見せる。


「ヴィアスコープ1、これは厳しいんじゃないんですか?」


 ヴィアスコープ4が言う。


「だが、ヘリを落とせなければ戦車隊の被害は大きくなる。」


 ヴィアスコープ1は一呼吸おいて隊員に命令する。


「ヴィアスコープ隊。ヘリを全機撃墜しろ。戦車はあとだ。」


 F-16Vはマシンガンでヘリを攻撃する。ヘリには対空兵器が積まれていない。戦闘機の攻撃には手も足も出せないのだ。ヘリは為す術もないままF-16Vに落とされていく。


「上の戦闘機!目の前の戦車を破壊してくれ!」


「ヴィアスコープ1、どうする?」


「命令した通りだ。ヘリを全機撃墜するまでは敵戦車の撃破は許可できない。」


 ヴィアスコープ3が敵戦車へ向けて爆弾を落とす。


「ヘリを攻撃する間を縫って戦車を破壊することは出来るだろう。」


 ヴィアスコープ1はため息を吐く。


「分かった。全機、ヘリへの攻撃と同時に敵戦車を破壊も行え。お前らだったらそのくらいできるな?」


 ヴィアスコープ隊はヘリを攻撃すると同時に戦車の撃破を行う。地上には戦車以外にも歩兵が対戦車兵器を構えている。F-16Vはグレネードランチャーを取り出し、地面に向けて撃つ。爆風で戦車や歩兵が吹き飛んだ。続けて爆弾を投下し、敵陣を一網打尽にする。


「上の戦闘機、あとは俺たちでやりきれる。助かった。」


 AWACSが新たな命令を入る。


「ヴィアスコープ隊。地上部隊の一部は既に国会議事堂への侵攻を始めている。都庁と議事堂を同時に攻めることで敵の防御力を割く算段だ。君たちは都庁の戦力を補うために都庁へ向かってほしい。」


「了解した。」


 都庁では陸戦部隊だけでなく空戦部隊も入り乱れている状況だった。ミサイルアラートが鳴る。


「ミサイル接近!回避せよ!」


 F-16Vはチャフを撒き、ミサイルを回避する。


「アラートが鳴りっぱなしだ!どこから撃たれてるのか分からない!」


 空にはミサイルの軌跡や戦闘機が旋回したときに出来た雲で視界が不明瞭になっている。そのせいかレーダーが効きにくく、ロックオン速度も落ちている。


「ヴィアスコープ隊、下にいる部隊は東京都庁の奪還を目指している。だが、敵もそれに対応して様々な兵器を繰り出して抗戦している。敵戦力を減らし、地上部隊の支援をしてやってくれ。」


 ヴィアスコープ隊は散開し、敵戦力の排除へ向かう。


「なお都庁屋上には対空ミサイルを持った歩兵がいる。高度を上げた際は注意しろ。」


 敵対空車両がこちらを狙っている。F-16Vはグレネードランチャーを構え対空車両へ向けて撃つ。対空車両は機銃でグレネード弾を破壊する。F-16Vはすぐさま右手の得物をグレネードランチャーからマシンガンに持ち変え、車両を攻撃する。車両は弾丸に撃ち抜かれて爆発した。続けて肩の爆弾を敵のど真ん中に落とし、敵地上兵器を破壊する。ミサイルアラートが鳴る。間髪を入れずにF-16Vの脚にミサイルが直撃する。


「ヴィアスコープ2が被弾した!」


「ヴィアスコープ2、お前は後退しろ。」


「脚をやられただけです。まだまだいけます。」


「ダメだ。脚への被弾は着陸時にクラッシュする原因になる。まだ動く内に後退しろ。」


「了解。ヴィアスコープ2、後退します。」


 被弾したヴィアスコープ2が後退していく。

 敵の攻撃の勢いは衰えない。下から打ち出される対空機銃の曳航弾がハッキリと確認できる。

 ヴィアスコープ3は敵地上部隊への攻撃を続けていた。後方から戦闘機が迫ってくる。F-16Vは左手にブレードを持ち、格闘戦へ持ち掛ける。反転し、敵戦闘機にバルカン砲を撃つ。敵は咄嗟のことで回避できなかった。バルカン砲の弾を胴体に受ける。敵戦闘機はクルビットでF-16Vの背後を取ろうととしたが、ブレードの一振りで戦闘不能になった。


「敵戦力は4割が健在。」


 通常、戦力が5割も削がれればとっくに撤退している。敵はそこまでして連合軍に東京を取り返されるのを阻止したいということだ。


「これより都庁に侵入する!」


 敵戦力が減ったところで地上部隊が都庁建物内へ入っていく。広場にいた敵は追撃しようとするが、連合軍の地上部隊の攻撃で身動きが取れない。

 東から敵戦闘機が飛来する。機種はMiG-31だ。MiG-31は都庁へ向けてミサイルを発射する。ミサイルは都庁の中程と地面に直撃する。都庁は崩れる。


「地上部隊は退避しろ!瓦礫に押し潰されるぞ!」


 破片が地上へ降ってくる。地上部隊は逃げ遅れ、瓦礫に押し潰された。


「都庁奪還は失敗だ。」


 任務は他にも残っている。1つの任務が失敗したからと言って、別の任務が中断されるわけではない。


「ヴィアスコープ隊、東京湾に敵艦隊が侵入した。排除せよ。」


「一度帰還し、装備を変える。」


 ヴィアスコープ隊へ羽田空港へ戻り、補給と武装の入れ替えを行う。手持ち武装はマシンガンに戻され、肩には対艦ミサイルである「ペンギン」が、肩端には空対空ミサイル「サイドワインダー」が装備された。更に背部武装ラッチにはショットガンとグレネードランチャーが懸架された。

 ヴィアスコープ隊は羽田空港を離れ、東京湾に向かう。

 東京湾では艦隊同士の海上戦、艦載機による対艦戦、空中戦が行われていた。


「ヴィアスコープ隊、敵艦隊及び艦載機を撃破せよ。」


 ヴィアスコープ隊は水面ギリギリを飛行し、敵のミサイルや弾丸を避ける。そして敵艦が迎撃出来ない距離から対艦ミサイルを撃ち込む。ミサイルは敵艦の底へ当たり、艦が沈む。ミサイルアラートが鳴る。艦の対空ミサイルだ。F-16Vはフレアを焚いてミサイルを避ける。そして艦橋にマシンガンを撃ち、撃沈させる。ヴィアスコープ4は高度を上げる。敵艦の対空機銃が飛んでくるが、ヴィアスコープ4がそれに当たることはなかった。機体を反転させ、対艦ミサイルを撃ち込む。


「敵艦の3割が沈んだ。そのまま全て沈めてしまえ。」


 ヴィアスコープ4の後ろに敵戦闘機がつく。Su-33だ。Su-33はヴィアスコープ4に負けて機関銃を放つ。ヴィアスコープ4は急旋回し、Su-33の攻撃を避ける。そしてSu-33にマシンガンを撃つ。弾が当たることはなかったが、追い払うことはできた。ヴィアスコープ隊は敵艦への攻撃を続ける。敵艦は引き続きヴィアスコープ隊へ向けて機銃やバルカン砲を放ってくるが、それらがF-16Vに当たることはなかった。F-16Vは敵艦の武器を攻撃して戦闘能力を削いでいく。時折敵戦闘機が攻撃してくるが、連合軍艦隊の艦載機が排除してくれた。


「敵強襲揚陸艦からヘリが上がった。注意せよ。」


 ロックオンアラートが鳴る。ヘリからだ。F-16Vはマシンガンでヘリを撃ち落とす。そしてマシンガンでその母艦である強襲揚陸艦も沈ませる。

 ヴィアスコープ4に先ほどのSu-33が接近する。ヴィアスコープ4はSu-33をロックオンしてミサイルを発射する。ミサイルはSu-33に直撃し、大破する。

 ヴィアスコープ1が敵空母へ向けて対艦ミサイルを発射する。空母は機銃でミサイルを迎撃するが、ミサイルを破壊するには至らず、直撃してしまう。


「東京湾にいた敵艦隊は全滅。よくやってくれた。」


「こちら連合陸軍。国会議事堂を制圧した。残りは首相官邸だけだ。」


「ヴィアスコープ隊、首相官邸へ向かい、制圧を支援せよ。」


 F-16Vはアフターバーナーを使い、首相官邸まで向かう。敵の軍団が眼下に展開している。


「我々、地上軍は敵の猛攻で進めずにいる。支援してくれ。」


 地上には戦車や装甲車両、対空兵器が並んでおり、空には戦闘機が飛んでいた。F-16Vの後ろにMiG-29Mが食らいつく。MiG-29はF-16Vをロックオンして、ミサイルを発射する。F-16Vはフレアを撒いてミサイルを避ける。ブレードを引き抜いて機体を反転させる。突っ込んできたミグを斬り裂いた。地上から対空ミサイルが飛んでくる。インメルマンターンでミサイルを避ける。左手でグレネードランチャーを握り地上へ放つ。グレネードは地上にいた敵車両を巻き込み爆発する。F-16Vはグレネードとブレードを格納し、マシンガンを取り出す。真上にいた敵のF/A-18Fを撃ち抜く。機体を上に傾け、他のF/A-18E/Fを葬り去る。真下から敵の弾丸が飛んでくる。機体を反転させ、バルカン砲とマシンガンを乱射する。敵戦闘機を蜂の巣にする。


「敵編隊が東から接近中!かなり速いぞ!」


 敵を捕捉する。Su-30SMが1機とSu-30M2が4機の5機編隊だ。Su-30SMがミサイルと機関銃で6機の味方戦闘機を葬った。周りにいたSu-30M2も味方戦闘機を撃墜する。ヴィアスコープ1へSu-30SMが接近する。ヴィアスコープ1は手にショットガンを持ち、Su-30SMを迎撃する。散弾はSu-30SMに当たることはなかった。Su-30SMはクルビットでヴィアスコープ1の背後を取る。ヴィアスコープ1は機体を急上昇させる。機体を反転させる。ヴィアスコープ1はショットガンを撃とうとするが、弾は出ない。


「弾切れか。」


 ヴィアスコープ1はショットガンを投げ捨て、マシンガンを取り出す。ヴィアスコープ1はマシンガンとバルカン砲を放つ。Su-30SMはヴィアスコープ1へ接近する。

 Su-30SMの後方からミサイルが飛んでくる。Su-30SMはハイGターンでミサイルを避けた。更にマシンガンの弾が飛んでくる。Su-30SMは弾を避ける。Su-30SMは攻撃してきたF-15を追いかけていった。

 F-16Vはグレネードランチャーを地上に向けて撃ち、地上戦力を減らしていく。


「こちら地上部隊!これより官邸へ突入する!」


地上の歩兵達が続々と官邸へ入っていく。敵部隊の攻撃の勢いは衰えてきており、このままいけば東京は奪還出来るだろう。


「各機、気を抜くな。いつ敵がどんでん返しを仕掛けてくるかは分からんぞ。」


敵軍は抵抗続ける。しかしそれも虚しく、連合軍に蹂躙された。


「こちら地上部隊。官邸を制圧。首謀者を確保した。」


「了解。」


東京の奪還に成功した。

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