File20:YFX-24

 製造国不明、開発メーカー不明、製造数不明、所属国不明と全てが謎に包まれた第5世代歩兵戦闘機。初めて目撃されたのは2005年である。撮影された写真を見ると機体構造はカナード翼、デルタ翼の主翼、水平尾翼、垂直尾翼で構成されており、垂直尾翼は外側に傾斜させて取り付けられている。武装は両手の下部にブレードを装備したレールガン、両腕部兵装庫には2本のダガー、脚部兵装庫にミサイルを2発、左右腰部兵装庫には爆弾やミサイルを搭載可、追加で肩部ウェポンボックスには空対空ミサイルや空対地ミサイルを装備でき、胴体にはシャッター付バルカン砲が2門内蔵されている。特殊装備として肩端にレールガンの弾薬とバッテリーを再充填するサプライユニットが装備されている。またサプライユニットには予備のレールガンが装備されており、機体には合計で6丁のレールガンが搭載されていることになる。過去に何度も紛争に介入する姿が確認されており、東西の陣営関係なくYFX-24の部隊が「敵」とみなしたものは問答無用で撃破されている。NATOコードネームはフェルト。


 上空に戦闘機が飛んでいる。YFX-24が1機だ。


「上空に戦闘機を発見した!スクランブル発進せよ!」


 自衛隊の戦闘機が空に上がる。F-2が6機だ。F-2たちの手にはNATO規格の汎用マシンガンが握られていた。YFX-24はレールガンのセーフティを解除し、F-2をロックオンする。ロックオンされていることに気づいたF-2は回避行動をとる。YFX-24は右手のレールガンを構えた。YFX-24は回避行動をとっているF-2に向けてレールガンを放った。超高速で飛翔した弾頭はF-2の胴体を貫いた。YFX-24はすぐさま左手のレールガンを構え、2機目のF-2を捉える。トリガーを引き弾頭を発射する。敵は反応する間もなく、機体に弾頭を受けた。


「所属不明機への攻撃を許可する。」


 YFX-24がF-2にロックオンされる。F-2はミサイルを発射した。YFX-24はマニューバでF-2のミサイルを回避した。YFX-24は3機のF-2をロックオンした。肩部ウェポンボックスからミサイルを放つ。F-2はフレアを焚き、ミサイルを無効化した。YFX-24は兵装を切り替え、腰部のミサイルを発射する。近接信管ミサイルだ。F-2は回避行動をとったが、機体のすぐそばでミサイルが爆発し、機体の体勢を崩す。そこにレールガンの弾頭が飛んでくる。F-2は弾頭を回避することができず、撃破されてしまった。YFX-24は最後のF-2に狙いを定める。F-2は背部に格納されていたブレードを取り出し、YFX-24に格闘戦を挑む。YFX-24はレールガンに装備されたブレードで迎え撃つ。F-2はバルカン砲で牽制しながらYFX-24へ接近する。一方でYFX-24はバルカン砲を回避しながらF-2が接近してくるのを待っている。F-2が格闘の圏内に入った。F-2はブレードを振りかぶり、YFX-24を斬りつけようとする。しかし、その一瞬でYFX-24はF-2の攻撃を左手のブレードで受け止め、右手のブレードをF-2に突き刺した。胴体を貫かれたF-2は機能を停止した。

 東から新たな機影が見えた。在日米軍のF/A-18Eだ。おそらく自衛隊への攻撃を受けて派遣されたのだろう。F/A-18Eはミサイルを発射する。YFX-24はフレアでミサイルを無力化した。YFX-24は敵をロックオンし、肩部ウェポンボックスからミサイルを発射する。ミサイルは敵に直撃した。F/A-18EはYFX-24にアサルトライフルの銃口を向けた。YFX-24は機体を機動させ、F/A-18Eを翻弄した。YFX-24は敵の背後をとり、レールガンを撃った。弾頭は敵の左半身を吹き飛ばした。F/A-18Eの1機がブレードを抜いてYFX-24へ迫ってくる。F/A-18Eは左腕でコクピットをガードする体勢をとっている。YFX-24はレールガンを構え、接近してくるF/A-18Eへ向けて撃った。弾頭はF/A-18Eの左腕を貫通し、機体のコクピットをも貫いた。YFX-24のOSがレールガンの弾切れを知らせる。YFX-24はレールガンを交換する。サプライユニットに取り付けられているサブアームが弾切れしたレールガンを保持し、YFX-24の両腕はサプライユニットに懸架されている予備のレールガンに手をかけた。リロードしているのを好機と見たのか、F/A-18Eは一斉に攻撃を仕掛けて来た。F/A-18EはYFX-24を取り囲み、集中砲火を始めた。これに対し、YFX-24は予備のレールガンを取り出すことをやめ、腕部兵装庫に格納されていたダガーを抜いた。

 ダガーを手に持ったYFX-24はF/A-18Eを次々の仕留めていった。1機、また1機と。YFX-24の振るダガーには殺意がこもっていた。刃が全てコクピットへと向かっていたのだ。コクピットをダガーで切り裂き、突き刺し、薙ぎ払っていった。

 それが終わると、YFX-24は後方で待機していたF/A-18F数機へと目をやった。YFX-24はダガーを格納し、予備のレールガンを取り出した。

 敵戦闘機からミサイルが発射される。YFX-24はそれを全て避け、レールガンを叩き込む。敵は跡形もなく消し去った。

 レーダーに敵がいないことを確認したYFX-24は空域を離脱した。


 この所属不明の戦闘機が日本の領域を侵犯し、自衛隊と在日米軍の戦闘機を撃破した事件は即日ニュースで報道された。国連では緊急で安保理が開かれ、YFX-24の動向を注視することに決めた。

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