File12:F-35

 F-35はアメリカが開発したマルチロールステルス戦闘機だ。F-35はこれまで複数の機種が担っていた役割を1機種で代用するという統合攻撃戦闘機計画に沿って開発された。これによってF-35はF-4、F-111、F-16、F/A-18およびその派生型、A-10、タイフーン、トルネード、ハリアー、果てはSu-27とMiG-29などの旧ソ連製戦闘機といった多くの戦闘機の後継機となる。

 F-35はその用途に合わせて空軍で運用されるA型、垂直離陸可能な海兵隊仕様のB型、空母上での発着艦が可能な海軍仕様のC型に分けられる。

 アビオニクスではそれまでのコクピットの壁面のディスプレイに映し出されていた外界の情報を、ヘルメットと一体化したヘッドマウントディスプレイ(HMD)に映し出すようになった。従来ではディスプレイが場所によって設置されておらず、死角が出来ていたが、HMDは外界の全周囲を映し出すことが出来るため、死角はない。

 ステルス性能はF-22より高くなく、レーダー波を反射、吸収する能力がある程度でモーターは従来品の改良型が採用しアフターバーナーを隠す構造は採用されていない。

 武装は脚部兵装庫にミサイルを左右で4発または爆弾を左右で2発、右腕部兵装庫に手持ち火器と同等の威力を持つ速射砲、左腕部兵装庫にタクティカルナイフ、胸部にバルカン砲を装備している。これは機体のステルス能力を発揮する場合に搭載される武装であり、ステルス性を犠牲にして武器を装備する場合では肩に空対空ミサイルや空対地爆弾、背部武装プラットフォームには対艦刀や電子戦ユニット、手には重機関銃やマシンガンを装備することによって無類の殲滅力を誇る。


 現在、空には2機のF-35Bが飛んでいる。丁度中東地域の紛争へ介入するところだ。武装は脚部兵装庫に爆弾が格納されている。

 彼らの任務は武装集団組織への攻撃だ。この任務がF-35の初の実戦となる。


「アルファ1、アルファ2、作戦空域に到達した。作戦を開始せよ。」


 F-35の攻撃目標は戦車だ。敵戦車は町の外で隊列を組んで走行していた。F-35は戦車に接近する。戦車はまだこちらには気づいていない。F-35は脚の兵装庫のハッチを開け、爆弾が露出した。HMDにピパーが表示される。ピパーに戦車が重なるように機体を動かす。F-35は1発目の爆弾を投下した。爆弾は戦車の側に着弾し、2両の戦車がそれに巻き込まれた。すぐさま次弾を投下する。爆弾は隊列の最前に着弾した。

 隣を飛行しているF-35も爆弾を落とし、戦車部隊は全滅した。


「目標の破壊に成功した。これより帰還する。」


 新型戦闘機のデビュー戦として地味な絵面である。しかし、国家間戦争が起こらなくなった21世紀ではこういった武装集団組織への攻撃が主な任務になる。

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