File04:A-10

 地上部隊の近接航空支援を目的として開発された歩兵攻撃機。歩く武器庫と呼ばれるほど大量の武装を積載し、その全てを活用して敵を地面の養分にさせる。特に手持ち武器であるGAU-8 30mmガトリング砲は地面を敵ごと「耕す」ことで有名である。A-10はその役割ゆえに他の戦闘機と比べると重装甲である。弾丸、爆風に対しては驚くほどの防御性能を持ち、なおかつ被弾してもパーツ交換が容易であり、継戦能力も非常に高い。


「F-16じゃ話しにならん!A-10を寄越してくれ!」


 F-16は爆装こそ出来るがせいぜい空対地爆弾4発を吊るすのが関の山だ。落とし終わったらすぐ撤退していく。今味方地上部隊の前には戦車大隊が立ちはだかっている。F-16では確実に火力不足だ。そこで味方部隊はA-10を欲している。


「現在、A-10は全て作戦行動中だ。いますぐそちらへ送ることは出来ない。」


「こちらファーミー隊。たった今、F地区を『耕して』きた。次の『畑』はどこだ。」


 突如、ファーミー隊という空軍部隊が無線に割り込んできた。


「ファーミー隊か。丁度いい。次の目標を指示する。敵は戦車大隊1個。頼んだぞ。」


 ファーミー隊はすぐさま次の目標へ向かった。


「来たぞ!農家部隊だ!」


 ファーミー隊のA-10は全てオレンジ色に塗装されている。それが農業器具に似ているとされ、いつしか周りからは「農家部隊」と呼ばれるようになった。

 ファーミー隊は前方の戦車大隊に爆弾を落としていく。爆弾は次々と戦車大隊を木っ端微塵にしていった。次にファーミー隊はガトリング砲を取り出して、前方に掃射する。爆弾で撃破できなかった戦車を耕していく。

 戦車大隊、50両ほどの戦車が数分で消え去った。


「農家部隊、敵は見えるか?」


 地上部隊から無線が飛んでくる。


「いや、見えるのは『肥料』だけだ。」


 それを聞いた地上部隊は歩を進めた。


「耕すべき畑はまだまだあるぞ。」


 そういうとファーミー隊は別の戦域へ飛んでいった。

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