第14話 デート2
気づけばずっと手を繋いでいる。少し汗ばんでる常田くんの掌。なんでわたしはずっと握っているのだろう。
「ねぇ、あの高台行こうよ」
「うん……」
もう薄暗くて空が青黒い。そのうち外灯もつくだろう。常田くんのいう高台は高台と言うほど高くないけど一番上まで登れば市街地の夜景が一望できる。わたしの好きな場所だったりする。
てかなぜ手を繋いだまま登る? まだ登る? きついよ。心臓がバクバクする。
常田くんもゼーハー言ってるけど登り道からの階段ってきつい。
「ついたーーー!」
「疲れたぁーーー!」
ようやく高台に登ったところで少しずつ街は灯りを灯しだす。とても美しい。
この景色が好き。夜景でなくても好き。でも夜景ならなおさらいい。
仕事やプライベートで辛いことあったらここに来て眺めているだけの時間が好き。
こうして誰かと来るなんて滅多にない。夏姐さんに連れてかれたことはあったなー。仕事とプライベートでごちゃごちゃが重なって辛い時期あったんだけど愚痴を聞いてもらって最後はここに連れてかれて叫んだなー。でもしばらく夏姐さんとも来てない。
「ここもきれいやー」
ここでも感動するのか。夜景見たことある? まだ手は繋がれている。
「梛さん、きれいやなー夜景」
「そうね……」
わたしは手を見る。常田くんも少し気にしていたがシレーっと繋いだまま。
「からかうのよしなさいよ」
「からかってません、本気ですよ」
とか言うけど本気に感じない。少し風が冷たい。常田くんの手がどんどん温かくなる。
その手がわたしの肩に。……顔近い!ほぼノーメイクなのに。いや薄暗いからいいか。いや、よくない。
しばらくお互い無言になる。ふと横を見たら常田くんもわたしの方を見た。ここでおちゃらけたら本気じゃないよ。
「……梛さん」
「はい?」
ちゅっ
唇キタァァァァア!
でも軽くキス。え?
「好きです」
……。そんな軽いキスで本気だって言うの?
「常田くん……」
「はい……」
わたしは常田くんをがしっと抱きしめてキスをした。彼はびっくりして固まってるけど少しずつわたしを抱きしめてくれた。
舌を入れて絡めて、何度も何度もキスをした。角度を変えて……。体を密着させて。
なにしてんだ自分。もうわけのわからない舞い上がりでついスイッチが入ってしまった自分はもう制御不能。
わたしは仙台さんが好きなのに……なんで常田くんに惹かれてしまったの?
すると常田くん。
「梛さん、2人きりになれるところに行きたい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます