マシューの夢見御飯(仮題) *グロテスク注意

 木の椀に赤い液体と固形が見える。

 木の椀は木目が美しい、漆塗りのされたものであった。

 固形は筋が見えて、少しばかり楕円に見える、立体的なもの。触れれば崩れてしまいそうなほどに軟らかそうに見える。

 冷製スープなのか、湯気は立っていない。

 赤色の液体からは少しばかりの鉄臭さ。

「うっ……」

 その匂い、臭いは鋭く鼻を突く。

 今にも吐き出してしまいそうなほどの匂いが立ち込める。

 見た目のグロテスクさもインパクトが強い。

 料理名としては豚の脳味噌のスープと言うらしい。

「どうしました?」

「いや、なんでもない」

 それは見ただけでも食欲を減退させる。色覚作用によれば食欲を増進させるのは暖色系の物だと聞いた覚えがあるが、それ以上の気持ち悪さの暴力が視覚と嗅覚から襲ってくる。

「い、いただきます」

 隣に立つ、顔が黒く塗りつぶされた単眼のシェフは白色の衣服を赤く染めて隣に立っている。

 それが酷く不気味に思えてならない。

 導かれるままに、木の椀と同じ木で作られた匙を手にとり、赤い液体を掬い上げる。それは溢れ、サラサラと匙から少しずつこぼれていく。匙の背から滴が垂れる。

 それを口に運んでいくと、まるで出血したのかのような血の味が口内を蹂躙する。鉄臭さが鼻まで上っていき、少しの塩分を感じて口を押さえ込む。

「さあ、脳味噌もどうぞ」

 シェフは和やかにそう薦める。

 匙は柔らかなプリンを割くように脳味噌を取りわける。少しばかり、スープの中に落ちていく。

 手が震える。

 脳味噌を食べるなどという経験をすることはまずないだろう。生涯の中で、脳味噌を食べるのは物好きか、そう言った文化圏か。

 彼はそう言った文化を否定するつもりはないが、まさか自分が食べる事になるとは思ってもいなかった。

 つるんとした食感と歯がなくても食べられるような脆さ。

「うぇ……」

 先ほど以上の不快感。

 テーブルに体が倒れていく。

 その瞬間、嫌な汗が吹き出すと共に目が覚めた。

「は、夢?」

 信じられないほどのリアリティがある夢を彼は見ていた。

 ビッショリとベッドのシーツを濡らし、身体は不快感を示す。シャワーを浴びたいと考えるのは当然だろう。

 豚の脳味噌のスープ。

 しばらくは赤色のものを目に入れたくないと彼、マシューは溜息を吐いた。



***


 経験ないからわからないんで、想像で書きました。食事中の方、申し訳ございません。

 グロテスク注意と書いております。とはいえ、こんな物を書いた私にも責任はありますが。まあ、これが連載できないのはネタがあまり思い浮かばないからですね。

 あと、大変なので。

 夢の中で食べる不思議なご飯の話です。

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続きを書かない作品群 ヘイ @Hei767

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