現代ファンタジーっすよ! こう言うのもやってみたいんですけどね

「なあ、人間てのは自分勝手だって思わねえか?」

 その男は手に銀色の銃を握り、ゆっくりと歩み寄る。漆黒の衣を身につけた男だった。顔もハットのツバに隠れて、目元に影がかかる。分かるのは口元だけ。

 嘲笑するように歪められた口だけが覗く。

「自分の信じたいことだけ信じて、それを真実だと疑いやしねぇ」

「何が……」

「お前にゃ、俺がただの人殺しに見えるか?」

「違うって言うのか!」

「んー、まあ、そうだな。お前にゃ何言っても信じねぇか」

 諦めているのだろう。

 帽子を左手で押さえながら、右手に持つ銃の口を少年に向けた。

「あばよ、罪なき子」

 発射された弾丸は確かに少年の脳を突き破った。

紅蓮ぐれん……」

 それが継承されないことを男は祈っていた。人間を超えた血の力。紅の血。炎の力。燃え上がる炎。

 それは少年を死の淵より再生させる。

「なっ、『覚醒』……ッ!」

 血は目醒めた。

 取り返しのつかない事態に陥った。

 そこは屋敷。紅き血を想起させる絨毯と高級感のあるカーテン。世界が燃え上がる。少年の髪は炎のように紅く染まり、燃え上がるように揺らめく。

 目が開かれた。

 それは黄金色。

 射抜くように黒を見た。

「最悪だな、こりゃあ」

 そう呟いた彼は三発の残弾を一つ残らず撃ち切った。

 それは少年に届くことなく、燃やし溶かされる。この事から、少年は最低でも鉄の融点である、大凡1538度の熱を放つ事が予想できる。

 触れれば火傷では済まないだろう。

「眠れる獅子の何とやら、か……」

 彼は銃を投げ、上から着ていた黒スーツを脱ぎ捨てる。

 ネクタイを緩め、外し、ボタンを一つ外す。ワイシャツとベストの彼は立つ。

「まあ、暴力は嫌いじゃねぇよ。分かりやすいし、こっちのが得意だ。覚醒者相手にゃ、手加減する必要もねぇだろ」

 ファイティングポーズを取る。

 その瞬間、右手を垂直に上げた少年のその掌から圧縮された熱線が放たれた。

 それはさながらレーザー光線。

「バケモンが……!」

 光線が伸びたままの状態で少年は勢いよく右手を横に振るう。それは屋内の壁を切り裂き、炎上させる。

「ははっ、さすがにファンタジーだな!」

 まるで、それはSF映画のビームサーベルを彷彿とさせる。

「けど、足りねぇ!」

 深く、沈み込むように男は切り込む。

 弾幕、全ては球形にして、その数およそ二十。少年の背後に構築されたそれは、絨毯爆撃よろしく、少年が右腕を下ろすのが合図だったのか、限りなく隙間を埋めるように殺到する。

 弾幕シューティングゲームの当たり判定以上にシビアなリアルファイト。その攻撃を難なく避けた、男は少年の懐に入り込み、右の拳を構える。

「お目醒めして直ぐに申し訳ねぇが、眠ってろ、クソガキ!」

 男は何も忘れてなどいない。

 赤髪の少年が1538度を超える熱を放っていることを。その上で、拳をぶつける事を選んだのだ。

 ぶち当たった拳は焼けるような臭いも発さない。

 鉄の剣でも切り裂けない少年の体を襲ったのは純粋な暴力。

「ノーガードで行こうぜェ!」

 それが黒の男が持つ、自称最弱の能力。防御を貫通する究極。

 そこからは執拗に急所を狙う連打。

「コイツで眠ってろ」

 格闘技では悪質とされる、側頭部へのエルボーアタック。赤髪の少年は化け物ではあったが生物であった。

「ふぃー、何とかなったか。まあ、殺してもどうせ蘇るしな……」

 なら、このまま放置でもいいのか。

「あー、マズ……。このままだと、俺が死んじまうな。殺し切る前に俺が死んじまうわ」

 燃え上がる屋敷の中に二人。

 いや、死体を含めればそれ以上の数はあるのだろうが。

「さてと、コイツは放置しても問題なさそうだが……」

 覚醒者を放置する事は許されない。

 逃したとなっては責任の追及が起きそうなものだ。

 気絶した彼では能力は発動できない。途中で目を覚まし、暴れられては敵わないが。

「ここ百年は紅蓮の家系で覚醒はなかったじゃねぇの……」

 そう文句を言いながら、彼は屋敷から少年を連れて、出る。

 燃え崩れていく屋敷を後に少年を軽トラックの助手席に乗せて、エンジンをかけ走行を始める。

「全く、な仕事回すもんだよ、ディーラーはよ」

 紅蓮家の悪事の決定的証拠を掴んだ。有色血カラードの内部情報を別組織に提示してしまったのだから。

 そんなカラードの一員、無白むはく家の彼が駆り出された訳だ。

 初代より続く、カラードとヴァンパイアハンターの戦いの歴史がまた、激しく動き出そうとしていた。

「もう吸血鬼なんていやしねぇってのにな」

 殺しても死なないような者もいるにはいる。それこそ現在、助手席に眠る少年のような覚醒者が、まさにそれだ。

「先のこと考えると嫌だねぇ」

 ただでさえ身内の取締りで忙しいと言うのに、ヴァンパイアハンターとの抗争など肩が凝る話だ。




***



 今回は色々、ぶち込みました。

 吸血鬼がいたと言う世界で、現在にはもう吸血鬼が存在しない世界です。ただ、その血は少し特殊で能力的な物が後世には残った感じです。覚醒者は不死身だとかもあったりするのですが、寿命はまちまちです。ヴァンパイアハンターは特殊能力がある彼らを探し出して、狩ることで生計を立てています。基本、ヴァンパイアハンターだけではどうにもならないので、別の仕事もしております。

 割とカラード側は手を取り合おうと頑張るのですが、一筋縄に行かず、情報ゲロったりする身内も出てきてそれの粛清をおこなっています。

 カラードの弱点は覚醒者以外は基本、人間と同じで普通に殺せば、普通に死にます。能力も結構弱いです。

 覚醒者の方は人間の血を使えば弱くなります。まず、吸血鬼じゃないので。カラードの血が人間の血で薄まるので弱体化します。

 覚醒者には吸血鬼と同じような再生能力が備わっていますが、限界もあります。人間にできる生涯の細胞分裂回数より多い程度しか再生が出来ないので全力で殺し続ければ、いつかは殺せます。殺す度に気絶しっぱなしではなく目を覚ましますので、その度に殺すのは面倒ですね。と言っても、生命力は普通の人間より高いです。

 割とファンタジーだからで説明できそうな気もしますが。



 こんなもんでどうでしょう。

 人間の血の集め方は、ほら、輸血とかの為とか言って集めてる感じで。

 無駄に設定だけは練っていくんですよ!

 今回は以上です!

 これをネタに自主企画でもしてみましょうかね。

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