第24話 歴史の説明と言われましても

「そうですね。7級を超えて歴史を学習しようとすると、分量はそれなりにありますね。国歴7732年と言うのは、サーテ大陸にサーテ国ができた年を起源にしてますから、今の周辺8か国で安定してくる時代までの変遷はいろいろと混乱期がありましたし。それより前の時代も2000年くらいは歴史の記録として学びますしね。もっと言うと、ディバー星の歴史、生物の歴史まで含みますのでたしかに膨大です。」


「ディバー星というのはつまりこの今いる星の歴史ということですか?」

社会だけじゃなくて理科の領分も入ってないか。

まあ、歴史は歴史か。というか、国歴だけど、ハルサーテ国のってわけじゃなかったのか。


「はい。できたのは42億年くらい前なのではと言われてます。まあ、この辺りは歴史の専門家、あるいは地質学者、宇宙研究家などの探求者の領分ですね。ところで選択してない日本史ですが、大まかな流れは話せますか?」


またどのレベルで話せるのか難しいことを。

「日本の歴史ですか。。えーと、旧石器時代の後、土器とかが発掘された縄文時代があって、農耕が発展した弥生時代が確か西暦の前後だったかな。あれ、魏志倭人伝が200年後半だったか。卑弥呼のいた時代は三国志の後半の印象だからそこって弥生時代?うん、記憶があいまいです。そのあたりは日本じゃなくて、大和とか倭の国と言ってたはずです。あと、200年前後が門のところにある関羽のいた時代ですね。そのあと、飛鳥、奈良、平安時代があって、それまで部族レベルの小さい国の印象だったのが、国土が広がって、貴族文化とかができてきた印象です。平安の後半と鎌倉、室町時代という武家が実権を握っていた時代が続いて、戦乱の安土桃山時代と江戸時代があーと、1600年が関ケ原か、まあそのあたりから明治が1868年からだからそこまで。江戸時代の後半から外国の圧力があって、いろいろ混乱期がありましたね。明治大正昭和と近代の歴史があって、昭和の前半までは世界全体の覇権争いの時代でしたね。第二次世界大戦、日本の立場で言えば太平洋戦争というのが西暦1945年で終わって、そこから戦後の歴史です。ああ、周辺では戦争もありましたが、日本はまあ直接的な武力衝突としての戦争はその後はなくなってます。まあ、覇権争いはその後も世界で続きましたかね。経済戦争なんて言葉もありましたし。そのあたりは現在進行形だったかな。時代の区分けとしてはそんな感じですかね。あ、私の生まれた昭和60年とは西暦で1985年です。」


「あ、はい、たしかに昭和60年とおっしゃってましたね。それが1985年、日本としての最後の戦争が終わったのが45年ですか。いつから倭の国からニホンになったのでしょうか。」


「ん?うーん、そのあたりは不勉強というか忘れたというか正確なところを覚えてないですが、時代によっては同じ文字をヒノモトとも言ったりしてましたからね。文字として定着したのは結構昔だと思うのですが、ニホンとかニッポンという発音をするようになったのは明治以降かもしれないです。あ、でも日本書紀があるか。あれ700年代だっけ。でも発音はわからないか。えーと、まあ日本は極東とも表現されることがありますが、最初に日が昇る国というのが日本を称することになった理由と記憶してます。日本の東は太平洋という大きな海が広がっていたので、陸地がなかったからでしょうね。ああ、日本の国旗は白地に赤丸ですよ。ハルサーテ国の緑地と楕円の所以が知りたいところです。」


「そうすると、私の大叔父は明治以降の人という可能性が高そうですね。」

そう言いながら、ラルタさんは自身の身分証を取り出して続けて言う。

「ハルサーテ国のこの印ですが、複数のものを融和させるために丸く治めるという理想を求め過ぎるなという訓示ですね。理想は一方的な都合になってしまう例も多く、どこか歪むのを歴史が証明してたので、せめて楕円で治めましょうというちょっとした妥協の産物とも言われます。ちなみに、周辺8か国は皆同じ形の色違いですよ。まあ、色の識別の弱い方のために券の印には微妙な凹凸をつけるのが通例としてありますが。」

ちょっと顔を近づけて見てるとラルタさんは身分証をしまって言う。

「念のため身分証の取り扱いですが、人に見せる、機器にかざすのはその役割上必要ですが、人の手にとらせるのは防犯上お控えください。」


「あ、はいわかりました。じゃあ、他の人の身分証を手に取ろうとするのはマナー上よろしくないってことですね。」


「はい。親権のある親が管理するとかでなければ、身分証を適切に自身で管理することも義務の一つですかね。」


そんなことを聞きながら、自身の身分証を取り出して触ってみる。確かに凹凸があるようだ。


「その凹凸の位置は印を大陸に見立てて、ハルサーテ国の大まかな位置を示してます。出てるところがその国の場所ということですね。」


「そうなんですか。」

触ってみると、右寄りの真ん中、上のほうだった。

「先ほどサーテ大陸と言ってましたが、星の面積から見て、どれくらいの大きさというか割合なんですかね。」


「ああ、まずこの星の陸地は3割程度と言われてます。そのうちの約3割という話なので、星の1割ちょっとの面積と言われてますね。」


おお、地球も三割くらいじゃなかったっけ。陸地の三割?ユーラシア大陸を思い浮かべればよいのか?でかいな。その面積で8か国だけ?うまく妥協できてるんじゃなかろうか。

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ヴェーレンフューレン ~異世界体験日記~ 川辺 明石 @akashi-kawabe

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