第11話 修羅場?

「おまたせ」


化粧直しもしたのだろう、

戻ってきた綾沙の涙の影は薄くなっていた。


「あ、あぁ」


座った綾沙は、コーヒーを飲み干し

テーブルに突っ伏した。


「今日は、なんかごめんね?

本当は彩葉とデートするつもりだったんでしょ?」


「まぁ、デートでは……」

「ねぇ」


デートではないと言おうとしたら、言葉を重ねてきた


「彩葉はさ、私と違って良い子だから、仲良くしてあげてね」


「……そうだな」




少し経ち、出ようとした時


「何してんの?」


「「え?」」


綾沙が視線を上げたのに伴い、俺も振り返ると、

そこには芽衣がいた。


「どうしてお前は蓮と一緒にいるの?」


「どうしてって………たまたまだよ」


どういうか迷った後、ふに落ちる台詞を選んだようだ。


「そう、たまたま会って、なんで今一緒にいるの?」


「それは……」


「説明すれば、またやり直せると思ったの?」


「いや、でも……」


俯いた綾沙を尻目に、

芽衣は俺の手を取る


「まあ良いけど、あんなことしたんだから、蓮に近づかないでね」


「おい、そんなことっ」

「わかった、いや、わかってる」


「……そう、ならいいわ。蓮、いこう」


芽衣に手を引かれるまま、俺はじゃあなと別れを告げると、

彼女は小さく手を振って、テーブルにうつ伏せになった。





「さっきのは、ちょっと酷いんじゃないか?」


帰り道、そう切り出したのは俺


「説明されたんでしょ?でもさ、

だからってもう全部スッキリしたって顔してたから。ムカついた」


「そうか」


芽衣は芽衣なりに考えている。

だから、お礼の一つくらいは言っても良いと思った


「何というか、俺のために、ありがとな」


せっかくのお礼に、芽衣は苦笑いした。


「まあちょっと悪いことしたとは思うけどね」


そういうと芽衣は、軽快なステップで少し先に行き振り返る


「まぁ、あんたもこれを機に、私を大事にすることね」


「はぁ?どういうことだよ」


「悩める私に、なんか奢ってやれってことよ」


「ほんと、いい性格してるなぁ」


傲慢な奴め、でも、本当に性格が良いやさしいやつだな

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女にフラれたら出会いに凄く報われた件 烏瓜蜜柑 @tgmajw

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ