#28 霜降り

 カルヴァが目を覚ましたのは、霜の降りた朝だった。

 ミミィはただただ両目から大粒の涙を零し、カルヴァを困惑させた。

 結局一週間以上も寝込んでいたせいで上手く動かせない身体を懸命に動かし、カルヴァはミミィを恐る恐る抱きしめた。

 ミミィの両腕は力強くカルヴァを抱きしめ返した。


 二人の鼓動が混じり合い、オルゴールがそれに合わせて静かに旋律を奏でた。


 もう悲しそうな旋律ではなかった。

 オルゴールはまだ満足しない様子だったが、喜びを隠すつもりもないようだった。

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