#23 ささくれ

 母の目が、こわかった。

 母の力が、こわかった。


 母に失望されることが、一番こわかった。



 母の口から漏れる溜息。

 それは幼いカルヴァの心をささくれ立たせた。


 未熟な自分への戒め。

 己に課した、重い責。


 母の目の奥に、何があったのか。

 母の力の源は、なんであったのか。


 カルヴァは、知らない。

 気付けない。


 見ようと、しない。

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