#22 遥かな

 ミミィを寝かしつけ、自室に戻る。

 琴は黙り込んだまま、部屋の片隅に佇んでいた。

 母の魔力を感じる琴は、いつだってカルヴァを追い立てた。


 何をしているのだろうと、思う。


 遥かな時を生きて、それでもなお、完璧な存在には程遠い。

 “竜神“などと呼ばれるようなモノに、なれない。

 それでもミミィの前では一人前を気取ってしまいそうになるのが恥ずかしい。


 頼ってもいいのだと、言っていたか。


 腕に残るミミィの温もりが、カルヴァを許してくれるような気が、した。

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