#19 カクテル

 炎神は、カルヴァとミミィの夢を覗きながら口の端を持ち上げた。


 上手い具合に、カルヴァの殻が割れるといい。

 あの頭の硬い男に、わがままを言わせてやればいい。


 炎神の手には、アルコールと、リキュール。

 ふわりと手から離れて宙に浮く色とりどりの瓶が、正確な分量とテクニックによって何種類ものカクテルを作っていく。


 炎神はそれら一つ一つを手に取り、香りを楽しみ、見た目を楽しみ、そして味を楽しんだ。



「今夜は、これだな」



 ウォッカにライム、そして砂糖。

 砕いた氷で冷えたカイピロスカを、竜神の元へ持っていってやる事に、した。

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