#14 うつろい

 うつろいゆくもの。

 カルヴァにとってそれは、人間の命だった。


 自分が死ぬまでの間、一体何人もの人間を看取る事になるのだろう。

 その、見送る死者の中に、ミミィがいる事を想像するのが辛くなっていた。


 今までは、一人の人間に執着しないようにしていた。

 領主でさえ、すぐに代わるのだと、名前を覚える事もしていない。

 カルヴァにとって人間は、役職で記憶するものであった。


 興味本位に名前など、覚えるのではなかったと。

 そう思うのに、一方ではミミィと出逢って良かったと思う自分がいる。


 カルヴァはもやもやとしたその感情を、結晶にして吐き出した。

 昔、稽古をする為に森に出ていた頃は、よく涙を流しては、結晶化したそれを樹の洞に隠したものだった。

 今はもう、炎で溶かせる。


 成長したのか、していないのか。

 自嘲気味に笑いながら、カルヴァはミミィの気配を探す。


 ミミィの柔らかな魔力の中にうっすらと自分の魔力を感じて、カルヴァは動揺するのだった。


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