だからといって不幸になるとは限らない。主人公・三之助は決して強い人間では無いと思います。過去に犯した罪によって心の一部を閉ざし、苦しみながら、けれども積極的にそれと向き合おうとはしていない。ただ、周囲の人間の優しさと偶然の成り行きから、そうする機会を得られただけのこと。
それでも決して悪い人間ではないんですよね。過去の罪にしても若さゆえのもので、男なら多少は仕方ない部分もあったと共感してしまうところ。そういう三之助の弱さや、踏ん切りがついたからこその最後の活躍、その他の様々な部分にリアリティが感じられます。
ラストはとても爽やか。ハッピーエンドというより、そこへ向かう過程の部分で終わった感じですが不思議と物足りなさは感じません。むしろ、だからこそ良いと思える結末です。