第6話
森を進む。草を掻き分け枝を掃う。衣服が切れないように。
軍服は防護服であり、ゲリラ戦において支給も期待できない現状、擦り傷ですら致命傷になりえる。
息を潜めオークの野営地へと向かう。作戦はこうだ。背後から野営地を襲う。合図を送り挟撃する。
オークの喧騒が森の中まで響いてくる。俺は慎重にオークの野営地にたどり着いた。遠目からも奴らがキャンプファイアーを囲みながら騒いでいるのがわかる。
奴らは祭りに夢中で俺には気がつく気配すらない。しかし、それでもなお慎重に近づく。足音を立てずに、物陰に隠れながら、合図を送るのに最適な場所へと忍び寄る。
オーク達が囲っているキャンプファイアーへ手榴弾を投げ込んだ。予備の靴下に手榴弾を入れて、勢いをつけて飛距離を稼ぐ。
ズドン!!
炎は飛散しそれを囲んでいたオーク達の何人かは倒れた。これが合図だ。対面で待ち構えていた仲間達が一斉砲撃を始めた。
ガトリング砲による面の制圧。銃弾の雨が降り注ぐ中、オーク達は俺に向かってくる。
バン!
まずはヒップシュート。
バン!バン!バン!バン!バン!
続け様に撃ち続ける。逃げ惑うオーク達は目の前で倒れた同胞に足をとられて転ぶ。その隙に装填。
「どけ!人間が!」
バン!
俺は銃弾で答える。
身体が自然と動く。攻撃を回避する最適な足運び、一撃必中の銃捌き。
オークの振り下ろした拳を避け脳漿をぶちまける。
バン!バン!
倒れてきたオークを壁にし二体のオークを葬る。横からオークが突撃してくる。それを紙一重で交わし照準を合わせる。
バン!バン!バン!
襲いかかって来るオークだけを狙いを定める。リロード。薬莢が転がる。
オークが振り回す棍棒が肩を掠める。照準が狂う。
バン!!!
フェザータッチに調整された引き金にファニングを決める。スポットバーストショット!三発の銃弾はオークの胴体を貫いた。
オークの壁が薄くなり流れ弾がやってくる。
部下に装備させたのはM134ミニガン。毎分3,000発を誇るそれを十挺。弾丸は100万発用意した。これが尽きるまで打ち続けろ、と厳命してある。
遊び過ぎたか。しかし、まだまだ遊び足りない。もはや、オークは逃げ惑うだけで向かってこない。弾丸の豪雨が蹂躙する中、俺は建物の中に入った。
そこにハイオークの部隊長が待ち構えていた。
「人間よ。お前は逃げなくて良いのか?」
「俺はな。銃弾で死ねるのなら本望だ。」
俺達が交わした言葉これだけだ。
銃弾の雨が降り注ぐ中、俺は銃を構えハイオークは大剣を振り上げる。
バン!
リボルバーが火を吹いたのを合図に俺達は踊った。ハイオークは銃弾を物ともせずに大剣を振り下ろす。地面すら切り裂く強烈な一撃。俺は半身になってかわす。そのまま銃を構えてもう一撃。しかし、ハイオークには通じない。
ハイオークもまた剣を構え直す。俺は銃弾の射線上から隠れるためにハイオークと向き合うしかない。
ハイオークは剣を薙いだ。俺は屈んでそれをかわす。銃を密着させてもう一撃。しかし、肉を裂くだけで骨は断てない。
ゴオオオオ!!と、ハイオークが吠えた。だが離れる訳にはいかない。この近距離こそが唯一の勝機。ダダダダダ!というガトリング砲の銃声が木霊する。
ハイオークが掴みかかる。俺は脇へと逃げる。銃弾の雨がそこだけ止んでいた。
バン!!!
スポットバーストショットを決める。それと同時に建物は倒壊した。
本物川を求めて あきかん @Gomibako
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。本物川を求めての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます