第17話 初めての自由と狩り2

「結構良い感じだな」


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カー=マイン・カラーレス・ジ・ガーランド・ル・カルロ=ジグル・アーレイ

種族  人族・人種

魂位  347

生命力 4,040/15,606

精神力 3,058/17,006

状態:(全ての能力等級値が低下している)

   (全ての能力等級値が上昇しない)

   (個体情報が秘匿された状態にある)


力    5-7(5-7/6-7)

速度   5-7(5-7/6-7)

頑強   6-7(6-7/6-7)

体力   6-7(6-7/6-7)

知力   6-7(6-7/6-7)

魔力   6-7(6-7/6-7)

精神耐性 6-7(6-7/6-7)

魔術耐性 6-7(6-7/6-7)


魔術属性

光    6-7(6-7/6-7)

闇    6-7(6-7/6-7)

火    6-7(6-7/6-7)

風    6-7(6-7/6-7)

金    6-7(6-7/6-7)

土    6-7(6-7/6-7)

水    6-7(6-7/6-7)


技能


攻撃系技能:【剣術4-1】【槍術4-1】【格闘術4-6】【投擲術5-2】【投槍術3-7】

防御系技能:【五色の部屋6-7】【物理障壁4-7】【魔術障壁3-7】

補助系技能:【言霊6-7】【性質硬化6-7】【視力上昇4-4】【魔力視4-7】【外殻上昇6-7】【内殻上昇6-7】

回復系技能:【悪性還元6-7】

属性系技能:【光魔術5-7】【闇魔術5-7】【火魔術5-7】【風魔術6-1】【金魔術6-7】【土魔術6-1】【水魔術5-7】【光よ在れ6-7】【暗闇1-7】【風撃圧5-2】【土柱6-1】【水激流6-2】【風掌握5-1】

特殊系技能:【魔道具作成4-7】【人形体作成6-7】【複製体作成6-7】【変化6-7】【光の部屋6-7】【闇の部屋6-7】【気配感知3-3】【魔術感知3-1】【危機感知3-1】【魔力操作4-1】

固有技能:(【全能力低下】【能力固定化】【個体情報隠蔽】【技能解除】)【僕だけの部屋】【僕だけの宝物箱】【透魂の瞳】【万視の瞳】【還元する万物の素】

種族技能:

血族技能:

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 三時間程走り回って狩りまくった結果の個体情報ヴィジュアル・レコードだ。途中で魔術カラーの創造などもしていたので思ったよりは狩れなかったな。

 動きがすばしっこい奴や、遠距離攻撃をしてくる奴以外は拳で殴り飛ばしていたせいか、格闘術が上昇している。単純に身体の使い方に慣れたと言うことではあるのだろう。

 それ以外にも色々覚えたり上昇しているが気にすることでも無い。


 色々と素材になったり食用になりそうな魔獣も【僕だけの宝物箱カラーレス・ジュエルス】の中にそのまま放り込んでいるので、帰ってからジャルナールに渡すことにしよう。

 せっかくなので、【万視の瞳マナ・リード】を使って薬草類も物色していくことにした。名前を頭に浮かべると、【万視の瞳】圏内に限り自然とその場所が分かるのだ。多分これ、本来は【地形把握マッピング・リード】とかそう言う魔術だったと思う。


 それが終わると、また【僕だけの部屋カラーレス・ルーム】を発動してから都市へと戻る。今度も村や町には寄ること無く通り過ぎる。時間がある時に一度くらいは見てみたいな。

 休み無く走りに走って、到着したのはまだ夕暮れにも遠い時間だった。行きの途中で力と速度の等級を5にしておいたのと、力と速度と頑強を上昇させる【外殻上昇シェル】を使用したのが功を奏したようだった。


「ジャルナール居る?」


 都市に戻ってすぐに、僕はベルナール商会へと向かった。そうして朝と同じように応接間へと案内されてジャルナールと相対する。


「どうした? 早かったが」

「いや終わったから帰って来ただけさ」

「……どこに行ったのだ?」

「カーラックの森と山の間辺りかな。途中から敵が弱すぎて魂位レベルが上昇しづらかったからちょっと奥まで。で、ある程度狩ったから今日はもう良いかなって」

「そうか……」


 表情が消えた様子のジャルナールの顔に不思議に思うも、注意して早々に山に行ったことに思うところでもあるのだろうか。それともそこまで行って狩りをしてこの時間に帰って来たからだろうか。何せ繰り返すが今は夕方よりも前の時間だ。

 後で知ったことだが、カーラックの森までは馬車で一日以上かかるらしい。


「でさ。色々素材あるから買い取って欲しいんだけど。どうしたら良い?」

「うむ。どんな物を持って帰って来たのだ?」

「片っ端から。肉も骨も牙も角も薬草も、後は珍しそうな木の実とかも」

「ほう。それはどこにある?」

「ここ」


 そう言って【僕だけの宝物箱】から木の実を手のひらに落とすと、ジャルナールは数度瞬きをした。


「……と言うことは他のも全てその中か?」

「だね。肉とか、跳び蜥蜴とかげとか居たから結構嵩張かさばるよ」


 今日一番の大物は飛び蜥蜴という、体長十メートルもある癖に地面を跳ねるように跳んで襲いかかって来たり、木と木の間を跳び回るという無茶苦茶な蜥蜴だ。その動きと体重で獲物を押し潰すこともあるからし蜥蜴なんて呼び名まである。


 ちなみにこの蜥蜴、骨も頑丈で牙も爪も固く、それでいて肉はそれなりに美味しいらしい。どう考えても筋肉質で硬いと思うんだけど、美味しいらしい。意味が分からない。


「すまない。大変手間だとは思うのだが、肉や素材に武具類、植物類の素材置き場は別のところにあるのだ」

「あれ。それってどこ?」

「最初だから共に行こう」


 そう言って馬車に乗って連れて行かれたのは微妙に血生臭さが漂う一角で、もしかしなくても肉の解体場だろう。素材はともかく、武具類や植物類は違うところと言うのは正しいと思う。


 そこで素材等々の卸し方や手続きなどを教わり、【僕だけの宝物箱】から本日の収穫物をドバっと出す。軽く倉を埋めかけてしまったのでまた後日分割にして卸すことになった。僕の【僕だけの宝物箱】は創造が上手くいっているなら幾らでも物が入る。今後更に増やしてやろう。


 それが終わり、買取料金は通常通りで良いかなどの色々な確認をしてから立ち去る。ジャルナールはそのままちょっとそこに残ると言うので一人で立ち去ることにした。何せ僕は冒険者ジャスパー。送ると言うことは出来ない。

 商品売買取引証明書は持って行ってくれると言うが、折角なので最初は自分で持って行きたいと伝えた。なので明日は朝一番で取りに来る予定だ。証明書は七日以内に持って行けば良いので問題は無い。


 そうして次の日、僕はジャルナールから昨日の卸した商品分の金銭と商品売買取引証明書を受け取ってから二度目になる斡旋所へと足を運び入れていた。

 受付でそれを提出したが、特に何を聞かれることも無く、手続きは終了となる。


 酷く淡々としているがこんなものか、と思って繋がっている隣の建物に移動する。そこでは昼間は食事が取れるようになっていて、夜は一応酒が出される。

 無論国直営の食事処なので、ある程度の節度は要る。正しく冒険者をやっている人の為の食事処だ。


 朝だからか殆ど空いている席の一つに座り、寄って来た女の給仕人に適当に注文して待っていると、突然対面の椅子に男が座った。

 顔を上げて見ると、薄らと緑がかった茶色の髪と瞳をした、犬系の耳を頭に生やした男がこちらを見ていた。獣人種だ。


「何?」

「いやな、昨日新しく登録したっぽいからよ、挨拶しとこうと思ってな」

「ふぅん?」


 身なりは悪く無い。いかにも慣れた冒険者、と言う風体をした男だ。傭兵ならもうちょっとうらぶれた格好をしている筈だ。


「俺の名前はニール。あんたは?」

「ジャスパー」

「ジャスパーか。良い名前だ。この都市には最近来たのか?」

「そう言うことになるね。良い都市だよ」

「だろう? 俺も気に入ってここに居着いているんだよ」


 言ってから、ニールは手を上げて女の給仕人を呼ぶと、自分も注文した。僕と一緒に食事を取る気満々なのが見えた。


「で、挨拶なら終わりじゃないの?」

「まぁ良いじゃねえか。これも何かの縁だ。冒険者や傭兵は商売敵でもあるが時に助け合いも必要だ。こうやって仲を深めるのもありだろうよ?」

「ふぅん。まぁ良いけどね」


 僕は持って来て貰った果実水を飲みながら適当に相槌を打つ。果たして助け合いとやらが必要なのかが良く分からないが、まぁ冒険者の先達せんだつだ、それが正解なのだろう。


 ニールは色々と聞いてきた。

 冒険者の暗黙の了解なのか能力やそれに類するものには一切触れてこなかったけれど、まぁ出身はどこなのかとか何が好きなのかとか。

 これがただの質問攻めだけなら煩わしいことこの上無いのだが、自分のことも話したり、時に捻った冗談を口にしたりするので中々に憎めない。

 本当に親交を深めようとしているんだな、と言うのが分かる接し方だったので、僕も適当に会話を合わせてやった。

 何せ、僕が言えることなんて殆どは嘘か適当だ。仕方無いだろう。それに悪気なんて一切感じないけど。


「ジャスは今日はどうするんだ?」

「何も予定無いんだよね。まぁ適当なところに行こうかなって」


 気づけば愛称的にジャスなんて呼ばれるようになっていたが、これはこれで悪く無かった。


「昨日はどこに行ってたんだよ」

「北の街道沿いで適当に狩りをしてたよ。何せ駆け出しなんでね。魂位上げないと」

「ほー。依頼とか受けねぇのか?」


 ここで言う依頼とは、都市内での雑用や力仕事、あるいは特定の魔獣を狩るか護衛のことを言っているんだろう。

 魔獣は素材として狩るのと同時に、特定のを駆除することで一定の金額を得ることが出来る。それが冒険者段階アドベルランクの評価対象にもなるので、定期依頼として良く出ている。

 または少し離れたところや村々などから出ることもあり、まぁ多種多様だ。

 護衛は町から町への依頼や、特定の場所の見張りなどを含んだ依頼で、これは信用等級も関係するので出来る人と出来ない人に分かれる。


「興味無いんだよね。素材さえあれば良いし」

「そういやお前、昨日は身元保証人としてベルナール商会の支店長と一緒に居たもんな」

「見てたんだ?」

「誰だって見るさ。ベルナール商会支店長の紹介なんてそうは見れるもんじゃねぇしな」


 言われてみればそうかも知れない。何で知ってるんだとも思ったけれど、ジャルナールが目立つ人なのは違いない。


「ま、そんな訳で興味は無いんだ」

「んじゃ良かったら一緒に魔窟ダンジョンに潜らねぇか? おりゃこう見えて結構戦えるんだぜ?」


 改めてニールの顔を見ると同時に、【透魂の瞳マナ・レイシス】でその個体情報ヴィジュアル・レコードを盗み見してみる。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ニール

種族  亜人族・獣人種・狼犬属

魂位  555

生命力 33,047/33,047

精神力 31,447/31,447

状態:


力    4-4

速度   5-2

頑強   4-5

体力   5-1

知力   3-5

魔力   3-6

精神耐性 5-5

魔術耐性 4-1


魔術属性

光    2-1

闇    4-2

火    3-3

風    4-5

金    1-7

土    3-7

水    3-3


技能


攻撃系技能:【短剣術4-7】【剣術4-5】【槍術3-6】【格闘術4-7】【弓術4-6】【投擲術5-1】【投槍術3-2】

防御系技能:【岩隠れ4-1】【部分強化4-2】

補助系技能:【隠伏5-1】【風流れ4-7】

回復系技能:【高速超回復4-7】

属性系技能:【闇魔術2-7】【火魔術1-7】【風魔術2-7】【金魔術1-7】【土魔術3-5】【水魔術1-7】【発火3-7】【発水3-7】

特殊系技能:【還元する万物の素4-2】【気配感知5-1】【魔術感知4-7】【危機感知5-3】

固有技能:

種族技能:【種族強化】【暗視】【感覚強化】【聴覚強化】【嗅覚強化】

血族技能:

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 なるほど言うだけあってそれなりに強いみたいだ。お試しで普通の冒険者の戦い方を見るのも一興かも知れない。


 ちなみに魂位500台と言うのは冒険者や騎士問わず、戦士としては丁度中の中辺りになるらしい。100台は駆け出しが終わった下の下らしいので、僕よりも遥かに多くの経験を得ている大先輩と言う訳だ。


「良いよ」

「おお、良いのか? ほんじゃあいつ出発するよ」

「別に今すぐでも良いよ」

「よっしゃじゃあ今すぐ出発だ」


 こうして、僕は他者との初めての狩りに向かうことになったのだった。その戦い方を見てしっかりと技能と魔術を手に入れさせて貰うとしよう。


 それにしても、どうして【還元する万物の素】が特殊系技能なんだ? 僕は固有技能なのに。

 確かに魔術名カラー・レイズの読み方は、僕は【還元する万物の素ディ・ジシェン・ジ・マナ】で他の人は【還元する万物の素リターン・オブ・マナ】と言う風に違うけれど中身は一緒の筈なのだ。

 人によって違うのだろうか? 謎だ。

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