第4話 王太子の性事情
さて、明日からが楽しみだと言いつつも、今日は休息日にすることにした。
どうにも目を覚ましてからも頭から気だるさが取れずにいたからだ。
今までそう言った経験が無かったのが災いしたのだろう、
予想では疲労なのだと思う。
動き過ぎたり
いきなり知能を上昇させて、更に近衛兵達の剣術を無理やり理解しようとして僕の頭が限界を超えていたらしい。
こればっかりは体力や精神耐性でもどうしようも無いのかも知れない。
それに不安を覚えた僕は、知力だけでは無く他の能力等級の上昇全てを諦めて今日はまた無能王太子然とした一日を無意に過ごすことにしたのだ。
ただ一つだけ嬉しいことがあった。
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カー=マイン・カラーレス・ジ・ガーランド・ル・カルロ=ジグル・アーレイ
種族 人族・人種
魂位 1
生命力 100/100
精神力 60/500
状態:(全ての能力等級値が低下している)
(全ての能力等級値が上昇しない)
(個体情報が秘匿された状態にある)
力 2-7(2-7/6-7)
速度 2-7(2-7/6-7)
頑強 2-7(2-7/6-7)
体力 2-7(2-7/6-7)
知力 4-7(4-7/6-7)
魔力 1-1(1-1/6-7)
精神耐性 6-7(6-7/6-7)
魔術耐性 6-7(6-7/6-7)
魔術属性
光 0-0(0/6-7)
闇 0-0(0/6-7)
火 0-0(0/6-7)
風 0-0(0/6-7)
金 0-0(0/6-7)
土 0-0(0/6-7)
水 0-0(0/6-7)
技能
攻撃系技能:
防御系技能:
補助系技能:
回復系技能:
属性系技能:
特殊系技能:
固有技能:(【全能力低下】【能力固定化】【個体情報隠蔽】【技能解除】)
種族技能:
血族技能:
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魔術を使うのに必要な精神力が大きく数値を上昇させていた。
生命力と精神力を簡単に上げるには
それ以外にも上昇させる方法があり、生命力なら身体を鍛え、精神力なら精神を鍛えれば上昇すると言う。
僕の場合は昨日、それだけ精神を酷使したということなのだろう。もしかしたら精神耐性を上昇させて無かったら死んでいたかも知れないと背筋が震えたものだ。
全く意識していなかったけれどもしかして昨日の朝も上昇していたのだろうか?
他の人がどれだけの生命力や精神力を持っているのかは知らないので、この数字が高いのか低いのかは全く分からない。
それでも自分にとっては初めて自力で得た進歩だ、嬉しくない訳が無い。
気晴らしにとテラスのテーブルセットで紅茶を飲む。その周囲にはまた普段の倍以上の使用人達が並び、ついには魔術医までが傍に付くようになってしまった。
流石に昨日のはやりすぎたらしく、最初はテラスに出るのすら止められる始末だった。
「お代わりを」
そう言いながらカップに紅茶を注ぐのは、僕と同い年のハウスメイドであるリーサだった。
僕がこの屋敷に来た時、同年代の人が居た方が良いだろうと言う理由で数人の同い年のメイドがぞろっと館で働くようになったのだ。
最初は戸惑っていた僕も、同年代という新鮮さと、彼女達の美しさと新鮮さに惹かれ、一時期は恋と言うものに近い想いすら抱いていた。
そんな気持ちが薄れ、遂には消え去ってしまったのは王太子という僕の立場と、メイドという彼女達の立場が原因だった。
生々しい話になるけれど、王太子である僕は精通を迎えると、性に関しての扱いが完全に管理されるようになる。
先ず変わるのが沐浴の際、これまでメイドだけが僕の身体を洗っていたのに、執事の一人がその姿を監視するようになった。
そして朝の僕の着替えの際、下着は毎回焼却処分される。
これは、万が一にも僕の胤がメイドの手に渡らないようにする為だった。
更にこれが一番の変わったところであり、僕の感情の一つを徹底的にぶち壊したことでもある。
僕は王太子であり、軟禁されているとは言え、直系の血を引き継いでいる。その胤の価値は例え無能であろうとも変わらない。
もし万が一国を継ぐ人が居なくなったり、また後継者問題が起きた際、僕の胤を使って子を成せば、その子を次期国王にすることも可能だからだ。
僕は決して勝手に子を作ることは出来ないけれど、いつでも子を作れるようにはしておかなければならない。
そんな事情から、僕は月に一度、メイドの手によって性処理をされることになっている。
これは生殖能力があるかどうかを確認すると同時に、性欲を失くさない為の手段でもあるのだろう。
この作業、いや儀式だろうか。これが非常に不快極まりない。使用人に裸を見られることに慣れている僕でも未だにしたくない。
先ず、裸になったメイドが僕の左右と背中に張り付く。そして正面には跪いた、これまた裸になったメイドが手を使って処理するのだ。
先程述べたように、僕の胤の扱いは非常に厳しく管理されている為、壁には複数の執事が並んでその作業を監視、というより睨むように見据えている。
万が一にもメイドが胤を持っていかぬように見張っているのだ。
そうして作業を終えると、僕の胤を拭った布は魔術医によって確認され、即座に焼却処分され、作業をしたメイドも執事の監視の元に熱湯で手を洗い、汚れを落とす【
仮にも王族の胤なんだが、掃除で使うような【還元する万物の素】と言う魔術をかけて良いのだろうか。
それでも、ある日同い年のリーサが僕の処理の担当になった時は胸が踊った。そして、その火はすぐに沈下した。
無表情に、ただ世話をしているという態度で淡々と作業するその姿を見て、何故か彼女への情動の一切が抜け落ちてしまった。
それまでは愛らしいと思っていた少女への、いわゆる情愛とも言えるものが僕の中から消えた瞬間でもあった。
そう言ったせいもあり、今こうして僕にとても愛らしい笑顔を向けるリーサの顔も、無機物にしか見えないのだ。
二つ程余談がある。
我が館のメイドは全員が全員美女、美少女であり、その殆どが豊かな胸と均整の取れた体つきをしている。そして年若いメイドの殆どのメイド服は布の面積が少なくなっている。
もう一つの余談は、上の余談が生まれた理由だったりする。
ある日あまりの虚無感と無価値を覚えた僕が反応しないことがあった。
メイドが何をしようがどれだけ僕を誘惑しようが、一切反応しなかったのだ。
あの時は館が大騒ぎをして、魔術医がすっ飛んで来て僕のものを見たり触ったり魔術で治癒したりと、大変なことになった。
一応その時やそれからも何とか、と言う感じで儀式が進むようになったけれど、そんな僕の身体事情を問題視した結果、館の中で若いメイドは僕の情欲を誘うような格好になったと言う訳だ。
それがむしろ僕の性欲を失くしていっていることにそろそろ気づいてくれないだろうか、ともう一度リーサを見ながら、僕は小さく溜め息を吐くのだった。
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