端的に言ってしまうと様々なマイノリティ性をもった登場人物たちがおりなすヒューマンドラマなのですが、繊細な心理描写にまるで自分がその場にいるような錯覚を覚えます。
アロマンティック(恋愛的に他者に惹かれることがない)の主人公は、自分の特性から恋をしたことがないしこれからも出来ないかもしれないけれど、恋とは何なのかを知りたいと思っている。
そして、恋は分からずとも孤独に恐怖する〝普通〟の女の子です。
そんな彼女が周囲の人々との触れ合い、自身についての理解を深めていく中で、その後の人生を決定づけるある先輩と運命の出会いを果たす。
この物語はフィクションでも、登場するひとつひとつのエピソードは、きっと現実でも起きていることでしょう。
だからこそ、これは決して奇異な物語ではない、当たり前の愛の物語なのです。