第5話 転校生とヒマリの秘密

「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」応募作

Stray Brain 〜迷走する脳〜

https://kakuyomu.jp/works/16817330659849711175

作者 雨 杜和

第3章

第5話 転校生とヒマリの秘密

https://kakuyomu.jp/works/16817330659849711175/episodes/16817330660560514133





※誤字脱字・構文など

 誤字等はありませんでした。

 推敲お疲れさまでした。





※寸評

 ジニが強引に記憶をこじ開けにかかったような今話ですね。

 これはきっかけになりうるのか。

 思い出したほうがいいのか悪いのか。

 そのあたりの判断に迷うところが本作の「謎」なのかな?

 最終的にヒマリはジニと新たな世界を生きられるのか。

 再度記憶を封じてジニの元を去るのか。

 前者はハッピーエンドですし、校舎はメリーバッドエンドになりますよね。

 ここまでの流れからすれば、もう第1章でジニが転校してくる前の状態には戻れないかな。


 ジニが転校してくる前が『SAVE THE CATの法則』でいう〝オープニング・イメージ〟で、転校してきたのが第一幕と考えられるのかな。となればジニが接触してきたのが〝きっかけ〟となり、〝悩みのとき〟が今の状態。ジニのことを思い出したほうがいいのかどうか。ヒマリが迷っているところですね。

 そして非日常の第二幕へ踏み出す〝第一ターニング・ポイント〟が次話になりそうですね。ヒマリはエイヤとジニに近寄ることになるのか。それで甘い生活が送れるのか。

 配分は物語によって異なるので、一概にそうとは言えないのですが、少なくとも章が改まるということはひとつのエピソードは終わりを迎えることになりますね。


 女性向けのミステリーと認識を改めて、第4章からチェックしたほうがよさそうです。

 『SAVE THE CATの法則』は万能ですが基本的に男性主人公の物語なので、女性向け

となるとちょっと把握しづらいところがあります。

 最初から〝本来は特別な私〟を思い描いていて、誰かがその扉を開けてくれたら、蝶が羽化するように大変身して、本来いるべき場所、あるべき姿を「取り戻す」のが「プリンセス・ストーリー」と言われております。

 シンデレラのように、当初不本意な世界で本来の自分でいられなかった女性が、魔女の魔法をきっかけにして本来いるべき場所、あるべき姿へとステージが上がります。

 女性は男性のような地味なことをコツコツ行なってレベルアップして解決するのではなく、最初から「特別な存在」で今は不本意な環境にいるだけ。魔女が現れて魔法をかけて、女性主人公は本来あるべき「特別な存在」に「戻る」ことで解決する物語です。

 その観点からすれば、ヒマリにとってジニは本来の「特別な存在」へと連れ戻してくれるのではないか、と女性の読み手は期待するわけです。

 でも本作の場合、ヒマリの本来の「特別な存在」だったときは重度の不眠症の状態でしたから、それを取り戻すのは彼女のためなのかどうか。判断が分かれそうですよね。

 そしておそらくは「思い出さずにそれまでの生活を続けてほしい」と多くの人は思っているはずです。「特別な存在」に戻ってしまうと、またつらい日々を送らざるをえませんからね。

 そのあたりの不安定さがサスペンスにつながる今作の魅力ですので、第4章でどこまで不安定な状況が続くのか。思い切ってジニと仲良くして本来の「特別な存在」へと戻ることになるか。せっかく手に入れた「今」だからこそ、手放したくないからジニと距離をとり続けるのか。

 まあ最後の選択肢はまずないかなと思っていますけれども。ヒマリにとって「今」がかちえたものとは思っていないはずなので、おそらくは記憶を取り戻すことになりそうですからね。


 それらを考察しながら、第4章以降の構成をチェック致しますね。




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