第1話 誰もが孤独を誤解している

「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」応募作

Stray Brain 〜迷走する脳〜

https://kakuyomu.jp/works/16817330659849711175

作者 雨 杜和

第1章

第1話 誰もが孤独を誤解している

https://kakuyomu.jp/works/16817330659849711175/episodes/16817330659849718340





※誤字脱字・構文など

> なんて、二律背反的なことを考えるより、ずっと理に叶っている。

⇒「理に適っている。」ですね。


>  暗闇に引きづりこまれ叫び出したくなると、孤独な少年は無言で自転車を駆る。

⇒「引きずりこまれ」ですね。


> 山沿いの坂道を熱海市内まで猛スピードでくだると、そのまま海岸線を休みなくペダルを踏んだ……。

⇒「海岸線を休みなくペダルを踏んだ……。」はご覧の通り助詞「を」の重複です。

 それだけでなく「海岸線を」が係り受けする用言がありません。これは「海岸線を休みなく」にすると連用修飾になって「ペダルを踏んだ。」に係るわけですが、そもそも「海岸線を」が連用修飾の「休みなく」に係ると用言の「どうしたのか」がわからなくなるのです。

 それで「休みなくペダルを踏んだ。」とだけにすると係り受けは落ち着くのですが、「海岸線を」が係り受けする用言がなく浮いてしまうのです。

 そこで妥当なのが「そのまま海岸線に出て休みなくペダルを踏んだ……。」「そのまま海岸線に入り休みなくペダルを踏んだ……。」のように「海岸線」が係り受けする用言「出て」「入り」を付け加えます。こうすると「海岸線」が示す場所の助詞は「に」に変化して収まりが良くなります。


> 「ああ、わかっとる。それに、あんたがいてくれると、女の子たちに人気の宿になりそうだ」と、永添のジッサマはシワの多い顔をくしゃくしゃにして笑った。

⇒ここでジニが男性なのか? が朧げながら。ここまで性別が確定しないと、読み手はジリジリと焦れてくるので、なるべく始めのうちに男女どちらかを確定しておくと、読み手が離れずに澄みますよ。


> 民宿の亭主である永添十知夫は、警官として長年勤めあげ、引退後は民宿を経営しながら非行少年の社会復帰を助けるボランティア保護士だった。

⇒「永添十知夫は」は「長年勤めあげ、」に係り受けするのですが、「引退後は」は「ボランティア保護士だった。」に係り受けするとちょっとちぐはぐですね。

 解釈を変えて「永添十知夫は」が「ボランティア保護士だった。」に係り受けするとすんなり読めます。

 なぜこういう誤解釈が起こるかというと「引退後は」と助詞「は」が出てくるためです。助詞「は」はその後の文の主体を決めるため、ここでは「引退後は」が「ボランティア保護士だった。」にくっついてしまうのです。

 これを解消するには「引退したのち」とする手がありますね。

> 民宿の亭主である永添十知夫は、警官として長年勤めあげ、引退したのち民宿を経営しながら非行少年の社会復帰を助けるボランティア保護士だった。

⇒助詞「を」が一文に二回出てきますが、係り受けする用言が直後に入っているので、誤読は起こらないと思います。


> 彼のことを、まったく知らない同級生たちと出会う。普通なら不安を感じるだろうが、ジニはそういう感情を持たない。

⇒ここでジニは男性なのが確実になりました。読み手はここまで男女どちらなんだろうと思ってしまいますので、先述しましたが早めに性別を知らせましょう。


> その後、祖母の家に厄介になったのは、実母が行方知れずになったからだ。

⇒助詞「に」が連続しています。ただ「厄介になる」「行方知れずになった」は慣用句なので、場所の助詞「に」の重複とはカウントしません。気になるなら「祖母の家へ厄介になったのは、」とします。





※寸評

 中学生で婦女暴行。なにか訳ありな気もしますね。

 コメント欄を読むと次話で経緯が書かれているようで。

 主人公ジニの奇妙にズレた日常が淡々と描き出されていていいですね。

 オープニング・イメージがジニの周りの景色を描いているので、ラストシーンのファイナル・イメージがどのような形になるのか。

 主人公はどのような「変化の旅」をたどるのか。

 そのあたりを考えつつ第2話へ進みますね。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る