平安の世、陰陽師と姫君 1

陰陽師の呪縛 〜男を必ず落とす超モテ女の秘密〜

作者 雨 杜和

第一部 平安時代「陰陽師と姫君」

平安の世、陰陽師と姫君 1

https://kakuyomu.jp/works/16816452219750143893/episodes/16817330647878276516



※誤字脱字・構文など

> 几帳の奥にいた姫が白い指で板張りの床を軽く弾いた。

⇒「几帳」はここで先に出てきますので、こちらにルビを振りましょう。



> 姫は、おそらく、あの『後の月の宴』以来、ずっと陰陽師として名高い賀茂光栄を慕っている。

⇒ここは解決がなかなか難しいですね。リズムがよいので、このままのほうが頭に入りやすいのですが、実際入ってからが少し戸惑う形になっています。

 たとえば、

⇒ 姫は、おそらく、あの『後の月の宴』以来ずっと、陰陽師として名高い賀茂光栄を慕っている。

 と読点の位置を変えると、「ずっと」が「慕っている」にかかるのが明確です。

 形は変わりますが、

⇒ 姫は、おそらく、あの『後の月の宴』以来、陰陽師として名高い賀茂光栄をずっと慕っている。

 とすれば係り受けが近づいてわかりやすくなりますし、

⇒ おそらく姫は、あの『後の月の宴』以来、陰陽師として名高い賀茂光栄をずっと慕っている。

 であれば誰が読んでも同じものが思い浮かびます。


 というのが原則。ですが、先に申しましたがリズムがよいので、どこまでそれを維持したいかで決めてください。多少の読みづらさは残りますが、原文ママでもいっこうにかまいません。



> 天候に恵まれ、『後の月の宴』は、つねより盛大なものになった。

⇒ここの「つねより」ですが、上に、

> 姫は時の権力者、藤原兼家を父にもち、常は『兼家の娘』と呼ばれている。

 とありますので、「常より」と漢字で書くか、「つねは」とひらくかしたほうがよいでしょう。用法もあまり異なりませんので、ここは漢字の使い分けでもなさそうです。




※寸評

 まず「色彩」がいいですね。ロウソクの炎だったり月明かりだったり紅葉だったり。

 意識的に色彩が使われていて、読んでいるだけで頭の中がカラフルな映像になります。白黒テレビがカラーテレビになったように、色がつくだけで臨場感が弥増します。


 次に主役級のひとりである姫がひじょうに印象的です。描写の仕方がいいんですね。急ぎすぎず、ゆっくりと描写していくことで「静」の演出が利いています。

 物語を書き始めたら、すぐにでも物語を先に進めようとしがちですが、この作品は「静と動」でうまく「緩急」をつけるべきだと思います。

 ライトノベルにありがちな「冒頭の勢いそのままに突っ走る」よりも、半分文学の「静」を取り入れる。

 「静と動」「緩急」がこの作品の生命線になると思います。

 少なくとも第一章では「静」を中心として悠久の平安時代を描いていきたいですね。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る