ドットスクエア=ファンタジー
ドットスクエア=ファンタジー
作者 長宗我部 芳親
ツクール×カクヨム ゲーム原案小説オーディション2022
ドットスクエア=ファンタジー
https://kakuyomu.jp/works/16817139558533512486/episodes/16817139558533550065
構文と誤字脱字など
> そしてなんと、モンスター界の頂点に君臨する魔王はなんと32664×32664ピクセルもの膨大なドットによって表現されているとのこと。
⇒貴族、平民、奴隷が2の乗数にしているので、魔王も2の乗数にしたほうがよいですね。本作は「解像度が異なる」なのか「大きさそのものが異なる」のかがはっきりしないのでなんとも言いにくいのですが。
ちなみに2の乗数なら「32768」ですね。
>「領主様のお通りだー!!」
>
> 村の高台から鐘の乾いた音が村中に知らせる。
⇒もし「鐘の乾いた音が知らせる」のであれば、「領主様のお通りだー!!」は「鐘の音」ということになるのでしょうか? もし鐘とともに叫んでいるのなら、
> その声が、村の高台から鐘の乾いた音とともに村中に響きわたった。
のようにすると、声と鐘の音が分離するので一意性を持ちます。
>ここにいる誰一人として、分かっていた。
⇒「誰一人」の使い方が難しいかなと。
>ここにいる誰しもが、分かっていた。
⇒ならおそらく著者様の意図と合致する表現だと思います。
> 奴隷は格の差を思い知らせ、後ずさる。
⇒「格の違いを思い知らされ、」か「格の差を見せつけられ、」ですね。
> 音を立てて村を去る馬車の後ろ姿を奴隷たち見送ることしかできない。
⇒格助詞「を」が多いので一瞥してわかりづらいですね。
ただ、たいていが直後に係り受けしているので、その点ではまあよいのですが。ただ複文になっているので、その点がわかりにくい原因ですね。
まず足りない助詞「は」を加えます。
> 音を立てて村を去る馬車の後ろ姿を奴隷たちは見送ることしかできない。
⇒並列部分と複文の入れ子部分を二文に切り分けます。
> 音を立てて、馬車は村を去る。奴隷たちはその後ろ姿を見送ることしかできない。
⇒これで助詞「を」の重複をある程度わかりやすくできます。
>理不尽な目に遭いながらも、彼が希望を失わずにいられたのは、家族の暖かさのおかげだ。
⇒「家族の温かさ」ですね。
> 三人こそが唯一の救いであり、そのおかげで昼夜一切の休みを取らず、農作業に身を捧げることさえ、彼にとって何の苦でもなかった。
⇒「彼にとっては苦にもならなかった。」のほうがわかりやすいですね。
>奴隷の立場上、彼らだけで解決できるような問題はない。
⇒「彼らだけで解決できるような問題ではない。」ですね。
> その日から、彼は妹を助けるための策を探し続けた。
> グリッドは15歳になっても奴隷という階級上、学校には通えていなかった。
⇒「彼」と「グリッド」の位置が入れ替わっています。今の形では最初の「彼は」が誰を指すのか明確ではありません。
> その日から、グリッドは妹を助けるための策を探し続けた。
> 彼は15歳になっても奴隷という階級上、学校には通えていなかった。
> ドット透過症は、透明に変化したドットを同じ色のドットピースで取り替えることで、治療できると言われている。この言葉を聞きつけた彼は森でモンスターとの戦闘に明け暮れることとなった。
⇒「この言葉を」が引いているのは「言葉」ではなく「伝聞」ですよね。なので「これを聞きつけた彼は」「それを聞きつけた彼は」のように書いたほうがうまく噛み合います。
> ふと、音のやってきた方にグリッドは目を向ける。
⇒ここは「グリッドは」をとらないほうが、前後とのつながりからはわかりやすい文になります。
> ふと、音のやってきた方に目を向ける。
>風を手繰る彼女の前では、全く歯が立たない。
⇒「彼女の前では、全く歯が立たない。」だと係り受けがおかしいですね。これだと「彼女が見ていると、全く歯が立たない。」ように受け取られます。今回は以下のようにしてみます。
>風を手繰る彼女には、全く歯が立たない。
>「(嘘だろ……こんなにあっけなく死んじゃうのかよ、俺)」
⇒ここはカギカッコが要らないですね。またこのシーンの視点がグリッドを追っているのなら、カッコも要りません。三人称視点でいきたい場合はカッコだけは使いましょう。
>(嘘だろ……こんなにあっけなく死んじゃうのかよ、俺)
> 彼は自身の無力さに絶望し、覚悟を決め込んだ。今に全身を切り刻むはずの斬撃を受け入れようと、彼は全身の力を抜く。
⇒まず「覚悟を決め込んだ」ですが、「決め込む」は勝手にそうだと思い込むことなので、ちょっと噛み合っていないですね。使えなくはないのですが、ちょっと誤解されやすい表現です。ここは「覚悟を決めた。」とシンプルに書くべきです。
次に「彼は」が二回出てきます。先の「彼は自身の無力さに〜」のほうは省けないので、後の「彼は全身の力を抜く」のほうを削りましょう。
> 彼は自身の無力さに絶望し、覚悟を決めた。今に全身を切り刻むはずの斬撃を受け入れようと、全身の力を抜く。
> 彼の目に映ったのは、風の刃が無数の光の球によって防がれる様子だった。
⇒「様子」ではなく「
> 続いて少女が、樹の上から身を任せるようにして着地をする。
⇒助詞「を」が二回出てくるので、後ろを「着地する。」にしましょう。
> 美味しい食材というものに、グリッドは心当たりがあるようだった。
⇒この部分はグリッド側から書かれているので、「心当たりがあるようだった。」だと読み手が「えっ? 自分でも知っているかわからないの?」という疑問が湧いてきます。知っているのなら「グリッドは心当たりがあった。」でよいでしょう。
> グリッドは領主によって栽培を強いられる作物の味は知らなくとも、一概に美味しいと言われる料理の作り方は知っていた。
> 嫌になるほど領主に作らされていたからである。
⇒「一概に」は多く「打ち消し」の語を伴って使います。ここは肯定文なので、普通なら使えません。ここは「一概に」がなくてもいいでしょう。
(1)> 村に戻り、食材をかき集め、慣れた手付きで料理を完成させると、リルに振る舞った。畑のミルクと呼ばれる食材で野菜を煮込んだスープは絶品だ。
(2)> 鼻孔を刺激する湯気に甘い匂い。コクのある、舌をとろけさすうま味。
(3)> のど越しの温かみは言わずもがなだ。まさに頬が落ちるといった様子を体現したリルの手は食事中止まらなかった。
⇒(1)はグリッドから描いています。(2)(3)はリルから描いています。合図もなく視点が切り替わっているので、明確に区切りましょう。
たとえば(1)をリル視点で書くと、残る(2)(3)も自然につながります。
(1)> グリッドとともに村へ戻り、彼が食材をかき集め、慣れた手付きで料理を完成させた。畑のミルクと呼ばれる食材で野菜を煮込んだスープで、絶品とされている。
⇒「畑のミルク」と呼ばれる食材の名前をつけたほうがいいですね。知らないと領主に振る舞えませんよね。
次に表記の問題です。「リルの手は食事中止まらなかった。」は「食事/中止/まらなかった。」と誤読しやすい。きちんと「食事中/止まらなかった。」と切れるように工夫します。
(3)'> のど越しの温かみは言わずもがなだ。まさに頬が落ちるといった様子を体現したリルの手は食事中、止まらなかった。
こうしてもよいのですが、読点が気になるので、さらに手を加えます。
(3)’’> のど越しの温かみは言わずもがなだ。まさに頬が落ちるといった様子で食事中リルの手は止まらなかった。
こうすると読点を打たずに誤読を防げます。「リルの手は」が「止まらなかった」に直接係り受けするため、わかりやすさも向上します。
>ドット透過症は彼女の身体から中心に蝕んでいっている。
⇒よくわからない文です。おそらくですが、以下が正しいのではないでしょうか。
>ドット透過症は彼女の身体を中心から蝕んでいっている。
> もしかしたらドット透過症によって全身が蝕まれるより前に、助けることができるかもしれない。そう希望を抱いたのか、彼はベッドの上のナーシャを見る。
> 彼の瞳には確かに希望が宿っていた。
⇒「彼」「希望」が直近で二回出てくるので説明がくどいですね。
片方を消してみると次のようになります。
> もしかしたらドット透過症によって全身が蝕まれるより前に、助けることができるかもしれない。ベッドの上のナーシャを見る。
> 彼の瞳には確かに希望が宿っていた。
ここまで削っても文意はさほど変わらないはずです。
> 途中で飛び入り参加した両親も協力もあった。
⇒「両親の協力もあった。」ですね。
> 久々の再会に感動し、家族は彼女のもとに飛びついた。
⇒「彼女のもとに飛びついた。」では映像が浮かびません。
「彼女のもとに駆けつけた。」が近いのですが、ここは「彼女に飛びついた。」のほうが映像がよく動くのでこちらが効果的でしょう。
※構成と展開について
ドットである特徴を活かした設定に仕上がっていますね。
「ドット透過症」のアイデアと、ドットをくっつけて中間色を作っていくアイデアが秀逸です。
「ゲーム原作」というお題に適合していると思いますよ。
あとはこれをシミュレーションゲームにするのかロールプレイングゲームにするのかを明確にしましょう。
まあ今のままでもシミュレーションRPGと言えますけどね。
アイデアはよいので、添削箇所だけ直して、このまま提出してしまいましょう。
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