デトロイトの危険 4
彷徨える王【心理サスペンス:横溝正史ミステリ&ホラー大賞応募作品】
作者 雨 杜和orアメたぬき
第四章
デトロイトの危険 4
https://kakuyomu.jp/works/16816927863278356267/episodes/16817139555684116082
構文と誤字脱字など
今日は「映像化」という観点からも指摘致します。
> フロントで鍵をもらい部屋に入った。
⇒これでもまあいいんですけど、「映像化」した場合はちょっと腑に落ちないんですよね。
原文だと「フロントで鍵をもらい」→「部屋に入った」となり、まるでフロントと部屋が目の前にあるかのようです。
おそらく何階の何号室と書かれた鍵、アメリカだと複製しづらいカードキーかな、だと思うんですけど、そういうなにげない「鍵」から得られる「映像化」の表現をごっそり落としたのが少しもったいないと感じます。
> からっきし弱い自分が恐怖がいったん去ると、コービィの鮮やかなチンピラ撃退劇に興奮していた。
⇒格助詞「が」が直近で二回出てきますね。わかりづらくなりますので、多少文をいじりますが、あくまでも原文の表現にこだわりたい場合は原文ママでもかまいません。
(1)> からっきし弱い自分が、恐怖がいったん去ると、コービィの鮮やかなチンピラ撃退劇に興奮していた。
(2)> 恐怖がいったん去ると、からっきし弱い自分が、コービィの鮮やかなチンピラ撃退劇に興奮していた。
(3)> 恐怖がいったん去ると、コービィの鮮やかなチンピラ撃退劇に、からっきし弱い自分が興奮していた。
⇒(1)は読点を打って誤読を防いでいます。(2)は主語と述語の距離を少し近づけています。(3)は主語と述語を隣接しています。
私のオススメは(3)なのですが、(2)あたりが妥協点かなと思います。
> ついシャドーボクシングの真似事をして、それが大きなガラス窓にうつり、はっとして恥しくなった。
⇒「恥ずかしくなった。」ですね。「映像」表現なので、文自体はたいへんよいですね。
> 天井まで届く大きなガラス窓から広い川面が見わたせる。
>〜
> 雪が世界を白く隠すように、夜のイルミネーションは、ただ世界を美しく幻想的に隠す。
⇒ここまで「映像化」しやすい表現ですので、このくらいの書き込みが「映像化」を考えた文章ということになります。
> アルコールと、夜と、衝撃的な体験と。世界が湿り気を帯び、黒くなっていく。
⇒ワインは頼んだだけで届いていませんよね? ルームサービスと会わずにワインが届くシステムなのでしょうか。書くと蛇足になりそうですが、「映像化」を考えた場合に唐突に出現したワインには違和感を抱くはずです。
>『シャーランドでございます。マダム』
⇒「マダム」はフランス語で(主に既婚)女性を指します。まあカナダ国境が近いとなるとフランス語に精通したアンバサダーがいても不思議はないので、この違和感がいくらか和らぎます。ただちょっと引っかかるので、変えたければ「ミズ」あたりかなと思います。
>『コービィだが』
>『コーヒーはいらないわ』
>『コービィだ』
⇒こういうアメリカドラマでよくある風景を切り取ったやりとりはいいアクセントになりますね。単なる言葉遊びですが、緊張感がほどけるよい塩梅です。
> 顔を洗い、すばやく化粧をしたが、目の下にできたクマが隠せない。
>〜
> 粘っこい口に歯磨き粉を突っ込んで磨く。それから、ルージュを塗って、ロビーに降りた。
⇒「すばやく化粧をしたが」で「映像化」を端折ったのがもったいないですね。歯磨き後にルージュを塗るわけですから、ここは「ささっと化粧水を肌になじませ、手早くファンデーションをはたいた」くらいの描写が欲しいところです。ブランドものならブランドを書くだけでも物を特定しやすく「映像化」が捗ります。
> 欧州の古い貴族館みたいな巨大な建造物だった。何層も続く三角屋根は、過去の壮大な美しさを教えていたが、今は寂れ、その上に鉄網で囲まれ、壁もガラス窓も壊れ廃墟になっている。
> 実際に運行されている駅は、近くの平屋の小さな建物だという。その場所には列車が停まっていた。
⇒ここは「映像化」がきっちりできていますね。全編このレベルとはいかなくても、要所要所できちんと「映像化」していくのが賞への近道ですね。
※構成と展開について
到着前の荒事でつい血が騒いでみたり、それを鎮めかつ亡き兄を思ってついついワインを深酒したり。
櫻子についてのこういう「可愛らしいところのある女性」につながる描写としては、日産「パオ」をチョイスしてからはあまり見られませんでしたね。
語らずに終わってしまうことも多いのですが、主人公の性格は1話を費やしてでも語っておきたいポイントです。
それがしっかりと書けた、よい1話だと思います。
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