第11話 見習い天使は抗議する

見習い天使はそこにいる!

作者 ゆうすけ

第11話 見習い天使は抗議する


https://kakuyomu.jp/works/1177354054922344013/episodes/1177354054935834166



構文・誤字脱字

> 闇に沈んだリビングに、玄関のシリンダー錠を開ける音が響きます。

⇒気になると思いまして。「闇に沈んだリビングに」は助詞「に」が2回出てきます。本来なら助詞や単語の置き換えが必要ですが、この「闇に沈む」は慣用句なので、助詞「に」にはカウントしません。なので、この文は適正ですのでご安心くださいませ。



>それを聞いて教官は満足そうにうなづきました。

>〜

> 不満顔ながらも画面の向こうのユアはうなづきました。

⇒以前書きましたが現在は「うなずきました。」ですね。

>ユアも「それも知ってますー」と頷きます。

⇒とも書かれているので、「うなずく」は漢字かかなか表記を統一しましょう。




※構成と展開について

 ここでちょっと気になることが。

 ここ、いわゆるインターミッション(幕間狂言)なわけですけど、「三人称視点」になっていますよね。

 プロローグもそうなっていたんですけど、これが少々「曲者」かもしれません。


 というのも、本編が「石塚健次郎の一人称視点」で繰り広げられていて、途中で「三人称視点」に入ってしまう。すると、本来の主人公である健次郎が知らないことを読み手が知ってしまいます。


 ネタバレの程度にもよるのですが、あまり得な書き方ではないんです。

 文量を調整してなるべく短くはしているようではあります。

 物語を読み進めるうえで、この先がどうなっているのかを知ってしまうと、その場面が来たときの驚きがなくなってしまうのです。俗にいう「興醒め」です。


 で、今回の第11話では「サイオンジとアリスが人間界に行く」というかなり大きなネタバレになってしまっています。

 また「悪魔を飼っている人間」の情報も、前触れなく出てきたら確実にユアを含めて健次郎や千紘が驚くと思うのですが、先にバラされていると「ああ、あの人が飼っていたのか」程度の感想しか持たなくなってしまうのです。


 なので、この第11話でどこまで読み手は先の情報を知るべきなのか。

 それをうまくコントロールしないといけないわけです。


 もし私が選考さんなら、ここで思いっきり疑問符を付けてしまいます。

「これだけバラしてもなお面白くなるのか?」

 という。


 今回の小説賞でかすらなかったら、この第11話のせいかもしれません。

 ここでどれくらい残りの展開を限定して読み手に知らせられるのか。

 新鮮な驚きと、「ああ、やっぱり」なお約束。

 天秤にかけてバランスをとらないと、「ああ、これって第11話で言っていたやつか」で終わってしまい、驚いてくれなくなってしまうのです。


 残りの展開を知らない段階で、私が考えるに、

「悪魔に魂を食べられたら黒くなるからすぐわかる」は既出なのでそのまま残します。

 そして「黒くならないのはなぜか」については伝えないままにしておきます。そうすれば実際にそういう人物が出てきたときに、ユアがこの情報を思い出して「そうでしたー! 悪魔を飼っている人は外見ではわからないのですー!」

 という展開になると「おお! これが教官が言っていたわからないパターンのやつか!」と読み手が驚きます。


 そして「サイオンジとアリスが人間界に行く」という情報も秘匿して、その素振りだけ書くにとどめる。「正式な天使が人間界へ行ったので、これでユアもだいじょうぶだろう」と思われたらスリルもサスペンスも感じませんからね。

 ユアたちのピンチに駆けつけてくるから、驚きとやっぱりユアを助けに来てくれた! という安堵感が湧いてきます。


 このふたつの情報をどれだけ秘匿しておくのか。

 第11話が「小説賞」の選考を左右する可能性もあるのです。


 おそらくですが、後半は怒涛の追い上げが始まると思うんですよ。

 で、それが驚きに満ちたスペクタルな印象を与えるかどうかは、ひとえに第11話にかかっているのです。


 なので、プロローグの位置もたいせつですが、第11話でのネタバレをどこまで抑制するかのほうが遥かに大事かもしれません。



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