そのためにいる、ああいう男
紫龍と姫と、男たち〜魔性の放浪楽士と王女の恋物語〜
作者 雨 杜和orアメたぬき
第一部 出会い
そのためにいる、ああいう男
https://kakuyomu.jp/works/16816700429630458363/episodes/16816927861777425425
彼女は親とは離れて暮らしており、大きくないが貴族の別宅としての体裁があり、正門には門番が立つ。
⇒この一文、ちょっと引っかかるなと思ったのですが、やはり引っかかりました。
「彼女は〜、大きくないが貴族の別宅としての体裁があり、」になりますので、「彼女には貴族の別宅としての体裁があり」ということになって、彼女は屋敷だったんだ!! という誤解が生じます。
ここは「〜親とは離れて暮らしている。大きくないが〜」または「暮らしており、屋敷も大きくないが〜」とすれば、成立しますね。
わたしが到着したとき、公道に面した二階の窓が開いており、珠花が軒先きに腰かけていた。
⇒ルビが「じゅか」になっております。「じゅふぁ」ですよね。
「男よ」
「あら、安心したわ」
「珠花」
「麻莉」
「お相手は誰?」
⇒「麻莉」 「お相手は誰?」はおそらくどちらも珠花のセリフですよね。ふたりいるので交互で読んでいくとつまずきました。
間に地の文を置くか、二つの会話文を一つにまとめるかしましょう。
※このあたりはまだ元作の印象が強いですね。
構成としては以前のままですが、これまでと比べて会話文の連続が多いですね。このあたりを読みやすいと見るか、若干手抜きと見るか。ここが難しいですね。
これまでの文章があまり会話文の連続が長くなかったので、丁寧な印象を受けるのですが、今話は会話文の連続が長いのでテンポが上がっていきます。
ある種の「切迫感を出したい」という目的であれば、これでもよいのです。
ただ選考さんから見ると、ここだけやけに目立ってしまうんですよね。
会話文の連続が長くなると上記で指摘した「交互に読んでいくとおかしくなる」会話文が出てくるものです。
なので、ここから雰囲気が変わります、というのであればこのままでもかまいません。
展開も元作から劇的に変わっているわけでもないので、なかなか平常で読めないところもあります。元作補正が入ってしまいますからね。
奔放な珠花の屋敷にやってきて、心に秘めたリュウセイの名前を告げた。
それによって珠花がリュウセイを呼び寄せようとする。
慌てる麻莉。
麻莉とリュウセイが接近するのではないか、と読み手の女性がドキドキするわけですよ。ただ珠花が呼び寄せたので一抹の不安も感じつつ、ですが。
もし麻莉の「切迫感」を出したいのであれば、もう少し慌てるさまを読みたいのですが、いかがでしょうか。
ドギマギしているさまを見て、読み手もドギマギする。
今話ではそれを後半に持ってきていますから、少し長くなるかもしれません。もう少し素で慌てるさまが描写してあると、読み手を麻莉にぐっと近づけられるはずです。
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