孤高の男、彼の声、彼の器

紫龍と姫と、男たち〜魔性の放浪楽士と王女の恋物語〜

作者 雨 杜和orアメたぬき

第一部 出会い

孤高の男、彼の声、彼の器


https://kakuyomu.jp/works/16816700429630458363/episodes/16816927861748279296



 ただ、リュウセイの声しかいない。

⇒ここ、おそらくあえて「いない」を選択しているのではないかとも思われます。

 擬人化というより「リュウセイの声」と書いてあって「リュウセイ」だけを読ませようとしているのかなと。

 通常なら「ただ、リュウセイの声しかしない。」なんですよね。

 ここは言葉遊びも兼ねて、あえて「いない」でもよいかもしれません。

 「瓢箪から駒」な表現かもしれませんね。




※構成としては。

 シーンはまだ宴の最中から、翌日の夕餉に時間が飛ぶ。

 麻莉にとっては続いた時間でもあるので、この構成はある種当然かもしれません。

 14,800字程度なので、そろそろ「起」の終わりが見えてきてもよい頃合いです。

 王寧寧が婿候補として挙がったわけですが、ここから王寧寧がアタックを開始するのかどうか。すぐそうなるのなら、話の流れが変わりますので、本話で「起」は終えたほうがいいですね。そして「承」で王寧寧との偽りの交際と、リュウセイに寄せる想いの「板挟み」感を出して読み手を焦らしたいところですね。そんな中でもリュウセイの話題が出てきてさらに焦らす、なんてことも。


 展開としては。

 「起」でリュウセイと運命の出会い、ひと目惚れを経験した麻莉が、心のなかでもまだリュウセイに惹かれているのが自覚できている。読み手にもその想いが伝われば、ラストの王寧寧を選んだような流れで、「えっ、運命の人はどうするの?」という焦りを呼ぶのには良い展開ですね。

 ですが、せっかくリュウセイの出番なのに、描写が薄いかなとも思えます。読み手にとっては待ちに待ったリュウセイですから、もっと丁寧に、それこそ麻莉がリュウセイを見てなにを感じ、なにを思い、なにを考えるのか。そこをもう少し掘り下げると、麻莉の本心が浮かび上がって、最後の「嘘をついた。」の罪悪感も今以上に増します。

 この話ではある程度リュウセイに対して明確に心を取り乱したような描写がないため、そこが若干弱く感じられるのです。


 本話の添削は以上です。

 推敲お疲れさまでした。



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