35 未開の未来

八時の魔法~記憶喪失の僕は、猫になってクール系タラシの女子大生に拾われる~

作者 水涸 木犀

3章 僕と彼女と未開の未来

35 未開の未来


https://kakuyomu.jp/works/16816700429221531909/episodes/16816927860166144551



 最終話おめでとうございます。


 第三章と全体の総括を分けようと思ったのですが、どうしても重複箇所が多くなるため、宣言と異なりここでまとめて行おうと思います。


 まず最終話について。

 人生で初めて「自信を持った八広」が、最大の敵と思っていた父親と正面から向き合って手に入れた現実。そこからのスタートです。

 ですが、というよりだからこそ、昴との距離感が手探りになってしまいますね。

 これからも「ハチ」と呼ばれるだろう関係が未来に向かって開かれていくような、そんな終わり方だったと思います。


 “魔女”の登場した現代ファンタジー作品の割には、終わり方が青春もののようなさらっとした読後感は吉と出るか凶と出るか。

 そこは改稿作業で考えるべきですね。




 では、第三章と全体の総括を行ないます。




 テーマとしては「自分に自信を持てなくなった青年が猫になり、自信のないまま昴の部屋で居候。彼女の強さを感じて少しずつ自信を持てるように努力できる人になった」ということですよね。

 端的に言えば「自信のなかった人が自信を手に入れるまでの話」とも。


 であれば、物語を読むときつねに「ハチの自信の度合い」を見ていかなければなりません。

 第一章は流されただけ、第二章で昴が囮をするときもまだ自信はなく、ウサギに変えられたと知って勇気を出して助けに行く。

 昴に迷惑をかけたから、という理由で一人で名前を探しに昴の部屋を出る。でもすぐに体調不良になって昴に助けられる。

 そして黒服の男に接触するため、猫として匂いを頼りに探し出すことになる。

 このあたりですでに自主性は生まれていますね。

 そこから本名がわかって「結」へなだれ込む。


 十万字を費やした物語としてはじゅうぶんだと思うのですが、やはり「頭でっかち尻つぼみ」なんですよね。


 それを避けるために四部構成に変更して、ショッピングモールからを「承」とし、第十八話あたりからを「転」にすると、バランスが幾分改善されますね。

 「結」の量が足りないと感じたら、魔女のその後とか最終話で電話で連絡をするまでの雑務とかを足してもよいでしょう。

 まああくまで「ハチが自信を持つまでの話」なので、それほど“魔女”を追いかけなくてもよいのかもしれません。

 ハチが自信を持ったさまを描写するだけで、物語が伝えたかったことは伝えきれているはずです。



 物語としては、寄り道や徒労のない「一本道」なので、そのあたりがやや淡白な印象を受けます。

 またとくに第一章の感情表現が薄いので、やはり淡白な味わいとなり、読み手を強く惹きつけられなかった可能性があります。

 いつの間にか猫にされていたのであれば、もっと大きく慌てるとか焦るとか、そういった感情が強く出ていてもよさそうなものです。

 とくに人間としての記憶が奪われているのであれば、何も知らない状態だから、子供が何にでも興味を持つように、もっと派手に動きまわってもいいですし、感情表現がオーバーになったりするのが自然と言えます。


 その点が第一話から読み進めていきつつフォローや★やハートが入って評価される「読者選考」の「カクヨムコン」では不利に働いたように感じます。


 ラストまで読めば良い作品だとわかりますが、序盤でフォロワーさんでない初見さんを惹き込む力が弱かったのは確かでしょう。

 「次世代作家」の小説賞では、読者選考がないぶん全文を読んでくれるので「カクヨムコン」よりは評価されやすくはなるはずです。



 ですが、

 (1) 三部構成「序破急」を四部構成「起承転結」に改めること。

 (2) 感情の起伏を激しくする派手にすること。



 この2点を改善しないと、全文を読んでも印象に残らない可能性もあります。

 ぜひ改稿の際は、この2点を注意して行なってください。


 これで総括を終えますね。



 このたびは添削にご応募いただきまして誠にありがとうございます。

 この作品がこれからさらにブラッシュアップされて、小説賞で勝ち抜けるよう願っております。




カイ.アルザード智水より



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