21 猫の性、人の性・下

八時の魔法~記憶喪失の僕は、猫になってクール系タラシの女子大生に拾われる~

作者 水涸 木犀

2章 猫と魔女

21 猫の性、人の性・下


https://kakuyomu.jp/works/16816700429221531909/episodes/16816927859490566661



 単独行動したことでいろいろと思い出せましたが、まだ決定打は出てこない。

 というより猫のときの記憶がなくなっているのと、脳の浮遊感ということで、体が猫に定着しつつある可能性もある、という表現かなとも思います。


 まずはちょっとした気になる点を挙げておきます。



 昴の住むアパートから1本曲がると、車二台がすれ違えるくらいの少し太い道路に出る。

⇒基本的に道路など人工的に作られたものは「広い道路」のように「広い」を使います。



出されたピザとジンジャーエールをいただいたのか、僕は何の話をしたのか、どんな契約をしたのか――契約内容は今の僕の状況から想像できるけど、そもそもなんでそんな契約をしたのかがわからない――までは思い出せない。

⇒通して読むとつっかえるので、滑らかに読めるようにダッシュ内を少し削ります。

⇒どんな契約をしたのか――契約内容は今の僕の状況から想像できるけど、そもそもなんでそんな契約をしたのか――までは思い出せない。




 第二章の総括です。


 まず昴が怪しげなサークル「変幻自在」に目をつけた。

 これが唐突ですね。

 彼女がチラシなどを捨てられない性分ということで連絡先を突き止めたわけですが。

 もし第一章のショッピングモールでハチを見ていた女性がこのサークルの関係者だったとすれば、接点としてはあると思います。

 でもそれらしい接点は第二章の中では出てこないので、やはり「変幻自在」が出てきたことに唐突感が否めません。

 いわゆる「ご都合主義」です。

 たとえばですが、第一章のうちで昴が「大学に入ったときサークルの勧誘なんかでもらったチラシもとってあるんだよね。サークルってスポーツ系とか文化系とかあるけど、怪しげなものもあるからあまり興味ないんだけどね」のような発言があると、第二章でサークル「変幻自在」の情報が出てきたときに、「ああ、第一章で昴が言っていた怪しげなサークルか」とつながって伏線が回収されます。

 こういう仕掛けをしておけば、もう少し筋の通っていたはずです。


 そこから昴が自ら囮になって、“魔女”にたどり着く。

 ここまでは自然な流れで進んでいるので、よく練られていると思います。


 ハチが猫のときの記憶をなくすようになって、昴を傷つけたことを知ってひとりで名前を探しに出た。

 その甲斐あって、少しずつ記憶が戻りつつある。でもまだ名前まではたどり着かない。

 そんなところで体調に異変が……。


 となっていますね。

 ハチの体調の異変から、先行きの不安を演出できているので、ここまで読んできたら第三章も読んでみようという気になります。



 途中で書きましたけど、本作は感情があまり強く出ておらず、淡々と物語が進んでいきます。第二章の終わりにかけて感情が出てくるようになっていますが、第一章の始めから、もっと感情が豊かだったら、より多くの人を第三章まで連れてこられたと思います。

 なので、「次世代作家」に出すときは、感情面のテコ入れをしてください。

 昴がサバサバしたタイプなのはタイトルでも書いてあるので、主人公であるハチの感情をもう少し前に出してみましょう。

 そうすれば物語の魅力はもっと増しますよ。



 少し休憩して第三章に手を付けますね。

 ひとまずお疲れさまでした。



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