11 とら猫とたい焼き

八時の魔法~記憶喪失の僕は、猫になってクール系タラシの女子大生に拾われる~

作者 水涸 木犀

1章 猫と女子大生

11 とら猫とたい焼き


https://kakuyomu.jp/works/16816700429221531909/episodes/16816700429555606757



 展開として気になる出来事がありましたね。

 渉はハチがイケメンだから、と言っていたので見ていたのは女性ということになる。

 だからといってそれがお近づきになろうとしているとはかぎらない。

 実はとある実験の被験体になっていて、その実験に関わっていた人物が探していた、という展開も考えられますね。

 そちらの路線で進むと、今までのほんわか日常系からズレてしまいますけど。

 なので、ここから面白くなりそうだと思う人と、これからもまったり読めるかなと思う人に分かれます。


 ということで、第一章の総括を始めます。

 その前に、



ちなみに、

 ちょっと引っ掛かるが、昴が楽しそうだからまあいいかと思った。

⇒ここの「と思った。」も、地の文はハチの心の中なので、とくに書く必要はありません。

 口癖にしてしまう手もあるのですが、そうするといろいろと面倒なんですよ。

 なので、基本的には「地の文」で「と思う」はできるかぎり削ってみましょう。




 では第一章の総括です。


 まず「猫になった人」「人に戻った猫」という着想から、その時間を20時、8時にすることで「不思議」な雰囲気をまとわせることに成功しています。

 そしてハチには自分のことに関する記憶がない。鳩に襲われて傷ついたところを昴に助けられ、人間に戻っても助けてくれる。まあまた猫に戻るわけですが。

 このあたりの昴の考えは、ショッピングモールで会ったいとこの渉が説明したとおり。

 ですが、この時点でこれを説明してよかったのかどうか。

 長編で序盤の段階に動機がわかってしまうと、そのまま日常生活に戻ると、妙な配慮をしながら読まなければならなくなります。

 動機が気になってしまうんですね。

 まあそれでハチと昴の関係が近づくのであれば、中盤からの展開に含みを持たせられますけど。


 構成は基本的に問題はありません。第三話で指摘した「1話1シーン」にする部分と、「1話2シーン」にしてもよい部分の違いを理解できるようになると、さらに構成もしっかりしてきますね。


 展開は日常系としてよく出来ています。

 肉じゃがシーンが冗長に見える人もいるかもしれませんが、物語が進んでなにかのきっかけでこのシーンを思い出すことになる可能性もありますからね。

 今時点で評価は下せません。

 他は流れるように展開しているので、ほぼ必然的に思えます。

 それだけ無駄が少ないということですね。

 食材の買い出しに出てきた豆苗も、今回出てきましたしね。

 かなり細かなところまで配慮されています。


 あえて難点を挙げると、「まったりしすぎ」かもしれません。

 日常系としてうまく作られているのですが、他の書き手が異世界ファンタジーでド派手なバトルを繰り広げて人気をかっさらっていくのと真逆の展開なので、もし読み手が現代ファンタジーにバトルを求めていたら、確実にブラウザバックされてしまいます。

 反面、最初から日常系の現代ファンタジーとして読んだ方からは高評価を得られるはずです。

 『カクヨム』は二極化といっても、大多数のバトル派と、少数の日常派に分かれますので、少し分が悪かったかもしれません。




 あと作品情報の紹介文がシンプルすぎて、読み手に「読んでみたい」と思わせるにはかなり淡白かと。

 確かに多くの日常系好きが読みたいドタバタコメディというわけでもないし、そこまで激しいバトルがあるわけでもない。

 となると紹介文がシンプルになってしまうのもわかるのですが、多少盛ってもいいので「売り」をもっとたくさん書いて「自作を推す」のもたいせつですよ。

 私自身、紹介文がシンプルになりすぎて他人から注意されていますが、その私から見てもシンプルなので、もう少し自作を信じて「推して」みましょう。

 「次世代の書き手」を募集するコンテストに応募するのなら、多少「盛ってもいい」ので紹介文で「売り」を「猛プッシュ」してください。

 そうすれば、第一章がまったく変わらなくても、読み手の数は増えるし、選考さんへのアピールも強くなって好印象を与えられます。


 選考さんも人間なので、書き手が「面白くないかも」「これで伝わるだろうか」と弱気で書いた紹介文からその弱気を見抜いてしまうんです。

 だから根拠がなくても自作に自信を持って「強気で推す」のです。そうすれば「この作品はきっと面白いに違いない」という先入観を持ってくれますから、まったく同じ第一章であっても、「面白い補正」が加わって実際に面白いと評価してくれるようになります。

 今のところ、まともな人物しか登場していないので、キャラクターの魅力で推せる作品ではありません。ですから「猫になる男性」「人になる猫」という特異性をもっとプッシュするようにしてみましょう。



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