行方をくらました娘

ヴィトセルクの男〜血に魅せられた夜のイケメンたち〜【戦うイケメン参加作品】

雨 杜和orアメたぬき

行方をくらました娘


https://kakuyomu.jp/works/16816927860301222497/episodes/16816927860827224897



 俺は無関心な態度を決めて、その場に立つことにした。

 王たる者は無闇に臣下に礼をつくす必要はない。いや、むしろ侮られると、幼い頃から教えられた。だから、俺は頭を下げることができない。

⇒これはひとつの提案なので、従わなくてもかまいません。ほとんど私の美学の問題なので。

 ここで「その場に立つことにした。」と書くと私はちょっとまわりくどいかなと感じます。あと「俺は」は一人称視点ではできるだけ用いないほうが文章はうまくまわります。

⇒無関心を装い、居丈高にその場で立ち止まった。

 あたりの描写なら、主人公の意図「装う」と「居丈高」が一文で表現できるので、経済効率がよいと思います。

 私が気になるのは「ことにする」とか「〜することができない」とか、文に「こと」を使って文意をあやふやにしてしまうことなんです。

 私が提案した一文には「こと」が入っていませんよね。

⇒いや、むしろ侮られると、幼い頃から教えられた。

 「幼い頃から」と「から」を付けると受ける動詞も「教えられてきた。」と進行形で書く必要があります。「教えられた。」で締めたいときは「幼い頃に教えられた。」と完了形にする必要があります。

⇒だから、俺は頭を下げることができない。

 実はこの「することができない。」というのが文法上の曖昧さを演出します。まあ真面目な構文からすると「だから、俺は頭を下げられない。」のように書きます。

 そもそも「下げる」が「できない」わけですから、構文としては「下げる+できない」で「下げられない」でいいんじゃないかと感じるわけです。

 しかし文章の言いまわしの点からすると、19歳でここまで削ぎ落とした言葉遣いをするかと言われるとまずできないでしょう。

 現代日本を鑑みても、なんでも「やばい」で済ませてしまう若者が多数ですからね。

 「することができない。」と話す人がいていいんです。

 ではなぜここで「こと」を省く構文をご指摘したのかというと、「キャラクターによって口調も変わりますよ」と示したいからです。

 若い頃は言葉も多く出てきますが語彙力がないのでなんでも「やばい」。

 身分が高いともったいつけた言葉遣いになるので「そうなるに違いない」や「することができる」のような言いまわしにもなる。

 歳をとると言葉の効率がよくなってくるので「下げられない。」という言い回しになります。

 つまり、キャラクターの書き分けとして、アメ様が普段話す口調や考えつく口調だけでなく、文字の効率という面でも書き分けできることを示しておきたかったわけです。

 年老いたからなんでも語尾に「じゃ」を付ければよいというわけでもないわけですね。

 今後の創作の参考になればと存じます。



 言葉の最後にゲホっと咳をした。老人の声だ。姉弟に気を取られている間に、いつの間にか、階段上に来ていたようだ。

⇒ということは、ヴィトセルクは立っていたわけではなく「歩いていた」のでしょうか?



 俺は一度、聞いた声や顔、文字など、意図しないが記憶してしまう。

⇒ここは、顔を聞くわけにはいかないので、

⇒俺は一度聞いた声、見た顔や文字など、意図しないが記憶してしまう。



「滅相もございません」

「めっそうもございません。年寄りを脅かさないでくださいませ」

⇒「滅相」を漢字表記かかな表記か統一しましょう。



※ここはやんちゃなイケメンぶりを描いていますね。

 さまざまな面が見られて、少なくとも前作までのファンは喜ぶでしょう。

 本作が初、という方にとっても魅力的になるよう、「今までに書いたことのあることだし、書かなくていいや」はなくしましょうね。

 作品内ですべて完結しているのが小説なのです。

 もちろん余白を残すのも大事。ですが、いちおうのオチを付けないと終わった気がしませんからね。




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