第1話 『イケメン……でも……ヘンタイっ』

「俺の余白を、あなたで埋めて~イケメンはSとMの隙間にいる」

作者 シー・ノ

第1話 『イケメン……でも……ヘンタイっ』


https://kakuyomu.jp/works/16816927860821373499/episodes/16816927861107430010


本公開で見つけた添削箇所は三つです。

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年齢は、おれより二歳下の二十六歳。

⇒「年齢」も「二歳下」も「二十六歳」もすべて「とし」のことなので、「馬から落馬」に近いものがあります。

 とくに畳みかけてリズムを作る意図がなければ、

⇒おれより二つ下の二十六歳。

 でよいでしょう。



 いつだって自由にホテル銃を泳ぎまわっている。

⇒「ホテル中」ですね。



年は、おれより五つ上の三十三歳。

⇒上記同様の理由で、

⇒おれより五つ上の三十三歳。

 でよいでしょう。

────────



 バサッッという音とともに、おれの目の前が真っ白になった。

⇒通常促音「っ」はひとつしか書かないものなのですが、まあ今の流行りを考えればこれでもよいかもしれません。意図が明確にあるのなら原文ママです。



 女の子に深夜のファミレスで、ペーパーナフキンをぶちまけられたのは初めてだ。

 にらみつけているのは、館林椿。年齢は、おれより二歳下の二十六歳。

⇒「女の子」でせいぜい高くても大学生、普通は中高生かなと思いますよね。それが二十六歳。しかもホテル勤務の主人公が二十八歳となります。この程度の年の差で「女の子」は配慮が足りないかもしれません。ただ、女性に向かって「女の子」と行っているわけではなく、心の中で認識しているだけなので、主人公から見て「女の子」と呼ばしむる性質があるのかもしれませんね。その意図があるのなら原文ママで。

 下を読んでいると、幼さを感じさせる要素がある女性のようなので、ここは「女の子」という主人公の認識が正しいように感じられますね。



前髪が長すぎるんだ

⇒句点「。」が欠落しています。



「一回でいいんだ。きみに“女王さま”なってもらって、ヤレそうになった理由が“きみ”なのか、“女王さま”なのか、確かめた――」

⇒「きみに“女王さま”になってもらって、」ですね。助詞「に」の重複と、「になる」の重複が気になりますが。

 ただ、ここは「きみに“女王さま”になってもらって、」は「きみ」を省けませんし、「女王さまになる」もこれからそうなります、という意味なので変えられない。なのでこちらは「きみに“女王さま”になってもらって、」くらいでよいでしょう。

 次に「ヤレそうになった理由が“きみ”なのか、“女王さま”なのか、確かめた――」ですが、こちらの「になった」は形容動詞「そうだ」の連用活用なので、厳密にいうと助詞「に」+「なる」の形ではありません。ただ見た目が気になる方もいるでしょうし、単調さを感じる方もいるかも知れません。その場合は「ヤレそうな理由が〜」と語幹を活用させても意味が通りますので、こちらを採用する手もあります。「ヤレそうになった」でも間違いではないので、意に介さなければ原文ママで。



 冒頭から「女の子」「女王さま」「ED」「試しに」と読み手の意表を突く良い展開ですね。これはスラスラと読めます。

 基本の文章力が高いので、そこに意表を突く展開を組み合わせると、惹きが強いですね。



 ぶあつい前髪のあいだから、スッとナイフで切り上げたような目がのぞいていた。  黒目が大きくて吸い込まれそうな目だ。

⇒全角スペース二つが入っていて改行されていません。これはケアレスミスですね。



 ……ちがう。

 違うんだ。

⇒意図的な感じがするのですが、確認で。かな表記と漢字表記が統一されていません。意図的と感じたのは、前に三点リーダーが置いてあるからです。つまり絞り出した心の声なので、明確な漢字として表現できなかった、と判断しました。

 その意図があるなら原文ママで。



 そしてたったいま、おれをファミレスでぶん殴り、立ち去ってしまったひとに。

⇒ここは句点「。」にすると文意が切れてしまうので、「立ち去ってしまったひとに──、」のように読点「、」にすると、続きを読もうとする仕掛けが出来ます。



 手に、○○さんの視線が刺さるみたいだ。

⇒「視線が刺さるみたいだ」は妙に説明口調ですね。

 「視線が刺さっているようだ」のように進行形にしたほうが違和感は薄れます。



 おれの全身がちぢみあがる。

⇒「おれ」であることは一人称視点なのでわかりきっています。「おれの」はなくてもよいでしょう。




※第一話お疲れさまでした。

 物語の展開として主人公とヒロインの場面からスタート。

 これはおそらく物語を締めるときにふたりが出てきて落着する暗示のような意味合いかなと思います。

 後半は前半以前の主人公の日常ですね。しかもこの後に○○さんに△△バーへ連れて行かれる日。

 第一話の前半と後半で時系列を前後させ、まだ埋まっていない時間帯があるので、次話へ期待を持たせるいい構成です。

 前半の突飛な展開から、後半の日常を丁寧に切り取る展開へと切り替えたのも見事です。


 ただ、表現がまだ固いかなと。

 会話文はかなり軽くて力が抜けているのですが、地の文は丁寧に置きにいっているように見受けられます。無駄がないので読みやすいのですが、遊びがなくて急ハンドルで左右に揺さぶられるようなところがあります。

 まあこの出だしなら、そのくらいのほうが面白くはあるのですが。

 後半は遊びを入れてよい場面なので、伏線も考慮して遊びを入れたらキャラがいっそう映えると思います。

 「○○なら原文ママ」は、作者様の裁量で選んでください。 



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