エピローグ
第47話 エピローグ
結論から言うと、四人での『キス契約』は成功だった。
一ヵ月が過ぎた今も、なし崩しに俺の家で共同生活を送り、学園に通っている。
通学路でわいわいと、アイリが突っ込んで俺がいなし、彩音ちゃんと紗耶香がにこやかな笑みで締めるという会話の繰り返し。
一件落着のように思えるかもしれないが、問題の先送りに成功したというのが正しい表現だろう。
喉元過ぎれば熱さを忘れるというが、三人を同時に彼女にすることに成功した俺は、その三人のヘンタイ性癖が再びちょっとだけ怖くなっていた。
いや俺自身の事は諦めたんだが、それでもなおこの三人に付き合って、痴女プレイの虐めプレイの近親相姦は精神的難易度が高い。
三人は表面上は親友の様に仲良くなってはいるのだが、その実俺の事を独り占めしようと未だに画策している節があって、紗耶香やアイリに密かに呼び出しを食らったりしている。俺は応じていないが。
三人が互いに牽制し合って、俺に手出しを出来なければいいと思いながら今日も今日とて港南中央公園脇のスロープをゆるゆると進んでいる毎日なのだ。
それと!
クロぼう!
人畜無害そうなまん丸目玉のしゃべる黒ネコ、夢魔だったが、夢魔の人間界侵攻の為の実験として港南市にやってきたという。その実験台に俺がたまたま選ばれたらしい。なんてヤツだ!
今回は俺たちは上手くクロぼうたちの攻撃をいなしたが、次回からはまた趣向を変えてやってくると言っていた!
今度やってきたら必ず三味線にする!
だからあいつらは俺たち四人の所に同時にやってきて、四人が修羅場に陥る事を見越して夢魔契約をしたというわけだ。
あいつらの手の平の上で踊っていた俺たち。悲しいを超えて自分たちを憐れんでしまった。
「最後だからネタバラシ。夢魔契約の実験成功、かな?」
とか何とか言って去っていったあの悪魔猫を俺は許してはいない。
「今度、四人で一緒に男女の初めてをしましょう。清ちゃんと出来るのなら、清ちゃんの最初は紗耶香さんかアイリさんに譲ってもいいわ」
彩音ちゃんの朗らかな声が耳に聞こえて我に返る。
「なに言ってんの、彩音! 今回は仕方なくみんなでキス契約しただけで、あんたが清一郎と付き合うのは法的に違反なのよ! わかってんの、そこんとこ!」
「私は悪法は気にしてないわ」
「紗耶香。あんたも何か言ったらどうなの。私は清一郎の事独り占めにするの、未だに諦めては……げふんげふん」
わざとらしく咳で誤魔化したアイリに紗耶香は穏やかな視線。空を見上げて、
「青いですね」
満足気な微笑みを浮かべる。
俺も丘上の緑とその上の青色を眺める。
まあいいか、と俺も独り言ちるのだった。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。
またの機会によろしくお願いいたしますm(_ _)m。
社会的に破滅しても私たち三人のうち誰かを選んでもらえますか? 月白由紀人 @yukito_tukishiro
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