第1話
6月30日。今日は私、
17回目の誕生日は例年通り、学校で友達で祝われ家に帰ればケーキとプレゼントが待っていた。お母さんは私の大好きなオムライスを作ってくれて、お父さんは「最近の子は何が欲しいかわからない」とぶつぶつ良いながら新発売のコスメをプレゼントしてくれた。
友達からもたくさんプレゼントを貰ったし、今年も良い誕生日だった! 明日も学校だ。早めに眠りにつこうと、お風呂場から自分の部屋へ直行しようとした私にお母さんが声をかけてきた。
いつもニコニコしているお母さんは珍しく真面目な表情で、リビングへ行くとお父さんもイスに座って私の着席を待っていた。
「どうしたの? 2人してそんな顔して……」
2人とも、私が声をかけても何も言わない。ただただ時間だけが過ぎていく。
もしかして、お父さんがリストラとか? それとも借金?
不安な妄想だけが頭の中に浮かんでは消える。お母さんに呼び出されて15分後、やっとお母さんが口を開いた。
「もあ。これから言うことは本当のことなの。嘘じゃないわ」
「う、うん……」
ごくり…と生唾を飲み込む。妄想しても仕方ない。お母さんの言うことだけに集中しよう。
「実はね……もあには人魚の血が混ざっているの」
「にん、ぎょ……?」
人魚ってあの? 下半身が魚で、海の中に住んでて……昔絵本でたくさん読んだあの?
「どうしたんだ? そんなに驚いた顔をして」
「いやいやいや、驚くに決まってんじゃん! 人魚なんて……おとぎ話でしょ?」
驚きで若干パニックになっている私にお母さんは淡々と説明を続けた。
私の母方の祖先は人魚。父方は純粋な人間らしい。人魚の血が入っていると言っても、薄すぎて体に人魚としての特徴はあまり出てこないそうだ。
「あれ? でも、私が昔見た人魚姫の絵本は最期海の藻屑になって消えちゃったはずだけど?」
「あんなのただのフィクションよ! 仮に本当だとしても、人魚なんてたくさんいるから~」
「そういうものなんだ……」
「本当はね、もあが高校1年生になったら言おうと思ってたの」
「そうなんだ。でも、そんなのいつでもいいんじゃない?」
「ダメよ。だって……あと1年で運命の相手を探さなきゃいけないもの」
私から出た驚きの絶叫は後近所中に響き渡ったことだろう。
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