第2話 3000リワード、ゲットだぜ!!

 ———2年前

 

 僕たちが仲良くなったのは、書く内容のセンスが一緒だったからだけではないと思う。年齢は知らないけれど、見たアニメとかの話をすると同年代、そして、ヨムカクを始めたのもほぼ同時期だったのも要因だったと思う。

 そして、若干であるが小説家として先輩の朔夜さんがあと少しで3000リワードを手に入れた時である。


「朔夜さん、あと少しで…3000円ゲットですね、っと」

 ニヤケ顔を手で隠しながら笑うスタンプを送信。


 ピコンッ


『おうよ♪ようやくここまで来たぜ…』

 勇者がボロボロになりながら立ち上がるスタンプ。

『これも、斉藤さんが励ましてくれたからだぜ。サンキューな』

『斉藤さんの声が、俺を何度も呼び戻す』

 背中にフェニックスをまとった男が両手と片足を上げて、復活の構えをしているスタンプが来た。

『じゃあ、お祝いしましょ。朔夜さん』

『なっ、まさか、貴様…この3000Gを狙っているのか?』

 疑心暗鬼のスタンプ。


「ふふっ。そんなわけ…あるわけ、ないじゃないですか、っと。僕がお祝いに御馳走しますよ、っと」


 ピコンッ


 土下座スタンプが来た。


 ピコンッ


 ラブリーなウサギちゃんが投げキッスを投げまくるスタンプがまた来た。


『嬉しい、ありがとうパパ!!』


「んっ、パパ?」


『?』

 クエスチョンを送る。

『ミス』


「ふーん、なるほど」

『父上をパパと呼ぶなんて、朔夜さんって、もしかしてお坊ちゃま?』

 笑いを堪えるスタンプ。


 ピコンッ


『奢るから…マジでそのイジリは止めてくれ…』

 屈辱に震えながら堪える武士のスタンプ。


『ごめん、ごめん』

 てへっと謝るスタンプ。


『話は変わるが…斉藤さんは社会人か?』

『違うよ、大学生。バイトもしてるから』

『そうか、じゃあ先輩っすね。せーんぱい♪』

『いや、止めてよ。気持ち悪い。さっきの「パパ」より気持ち悪いよ?』

 吐き気を催すスタンプを送ると、顔を真っ赤にしながら地団駄するスタンプを送ってきた。

 僕はてへっと謝るスタンプをまた送る。


『朔夜さんはどこ住んでるんだっけ?』

『名古屋』

 OKのスタンプ。


『僕は横浜ね。じゃあ、今週はバイトはいってるから、来週の土日はどう?』

 喜ぶスタンプが返ってくる。

『じゃ、来週。会いに行く』


『車か?』

『大学生で車なんて持ってるのはボンボンくらいです。夢見すぎ』

 てへっと謝るスタンプがくる。


『うぃっす♪おめかししていく』

『おめかしって…(笑)』

 てへっと謝るスタンプが返ってくる。


『じゃあ、おやすみ』

 グッドナイトのスタンプが返ってきた。


 僕はベットに横たわる。

「朔夜くんか…どんな子だろう。やっぱり、お坊ちゃん…ふふっ」

 僕は楽しみにしながら、想像を膨らませながら目を閉じた。



 しかし、僕らが逢うことは無かった。

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