第十三章 王子の秘密
第114話 王宮へ
そして数日後。
エルヴィンとヘンデルの采配で、ユリウス王子との正式な対面が叶うことになった。
先方の都合で、王宮へ赴くことになったフィルメラルナは、初めての回廊をエルヴィンと共に歩いていた。
護衛騎士アルスランはまたも良い顔をしなかったが、王宮への出入りは一介の従騎士では許可が下りず随伴かなわないため、仕方がないとなんとか引き下がってくれた。
神妃を祀り神脈を正すための聖なる神殿と、国王を頂点とした宮殿とを結ぶ回廊は、思わず見入ってしまうほど厳かなものだった。
壁や柱の装飾も金銀を用いた意匠で美しく、雨や風が吹き込まないよう嵌め込まれた硝子にも、宗教的な透かしが巧妙に入れられている。
初めて訪れる王宮への道程に、フィルメラルナの胸はこれ以上ないほどに緊張していた。
宮殿内へ入ると、王宮騎士や宮女などがずらりと並んでおり、フィルメラルナとエルヴィンを前にして恭しく頭を下げた。
宗教色の強い神殿とは異なり、王宮の騎士や侍従の身なりは、かなり煌びやかだと感じた。
学者風の貴族でさえ、黄や緑の艶やかな衣服に身を包み、頭髪にはこんもりとカツラを被っている者もいる。
王宮に集う貴族間の流行なのだろうかと、フィルメラルナは思わずじっと凝視してしまった。
「どうぞ神妃様、こちらのお部屋へ」
ユリウス王子との謁見に用意された小部屋へと、宮女が静かに誘った。
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