4日目
ずるりずるり
私の腹を通った蛇が また同じ様に私の腹を通り抜ける
ずるりずるり
いつの間にこんな穴が開いていたのだろう
ずるりずるり
もしかして蛇が食って開けたのだろうか
ずるりずるり
「楽しいのかい 君は」
行き来を繰り返す蛇に問う
ずるりずるり
「いいや 全く」
応えた蛇の口の端は上がっている
ずるりずるり
麻酔をかけられた場所を何度も擦られている様な鈍い痛み
ずるりずるり
きっともっと違う痛みがあった
ずるりずるり
蛇の所為で忘れてしまったけれど
ずるりずるり
「何時までそうしているつもりなんだい」
「うん そうだね」
ずるり
「君が其処に立っている事を忘れるまでかな」
ずるり
ああこの蛇は本当に皮肉しか言わない
ずるり
穴を塞いでやろうと両手で腹を押さえるが
意にも介さずといった涼しい顔で いとも簡単に隙間を見つけて擦り抜けた
ずるり
「君の穴は塞げない」
ずるり
「自分が一番良く 知っている筈だろう?」
ずるり
私では意味がない
蛇は私を私以上によく知っている
ずるりずるり
私はため息を付き 諦めて手元にあった読みかけの本を読む事に再度集中した
ずるりずるり
ずるりずるり
やはり蛇は笑っている様に見えた
平凡な日常 000 @000216
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