第2話 手紙の差出人は誰?
前回のあらすじ
俺は高校生変態、平時忠。
幼馴染で同級生の藤原領子と学校に行って、
黒ずくめのタイツの怪しげな取引現場を目撃した。
取引を見るのに夢中になっていた俺は、
背後から近づいてくるもう一人の仲間(領子)に気づかなかった。
俺は机の中にあったその謎の女の手紙を読まされ、目が覚めたら・・・
「う~ん。ここは?」のっそりとした声で起きた俺は時計を確認する。
すでに短針は11時を超えてしまっている。
「あら、このまま一生起きないと思ったわ。」
俺に声をかけたのは美人のお姉さん系保険医、一年中黒タイツの美女!
黒木百合先生だ。学校では「このスペックでなんで結婚できないんだ?」
と話されていて学校の七不思議のひとつでもある。(大嘘)
「何ですか?縁起の悪いこといわないでくださいよ。」
「口答えできるってことはもう元気になったのね。一応、心配だから帰ってもいいし、どうする?」
帰りたいの気持ちはやまやまだが、今はあの手紙の真相が気になる。今帰ったら、
マズイ気がする。
「いや、帰りませんよ。しなきゃいけないことがあるので。」
「あら、そうなの。じゃあ頑張ってね。また体調が悪くなったら来るのよ。」
いやぁ~マジ天使っ!ホント学校唯一のオアシスだわ、ここ。
結局、昼休みまで休んだ俺は足早に保健室を後にした。目指すはは領子のいる教室
だってあんないたずらするやつあいつしかいないじゃん。
「おい領子!この手紙はなんだ?いくらお前がタイツはいたらかわいいとはいえ、ゆるさないぞっ!」怒気を含めつつ、周りにばれないようにこそこそと近くで言った。
「何その手紙…身に覚えないんだけど。てか眠いからどっか行ってくんね?マヂ睡眠の邪魔でしかないし…。」と一蹴されてしまった。
こいつじゃないのか?じゃあ一体だれが俺の秘密を知ってるんだ。
謎は深まるばかりである。
午後の授業を終えた俺は校門で領子を待つ。あいつは放課後はいつも教室で
陽キャ勢とだべっているので来るのが遅い。今日は疲れてるし、もう帰っちゃおうかなと歩き出そうとしたときかわいらしい声で話しかけられる。
「あ…あのっすみません。図書館に行きたいんですけど、少し道をおしえてくれませんか?」小学生のような容姿だが同じ制服。ショートヘアでつつましい体ながら、
柄タイツが似合いそうな脚をしている。ちなみに図書館は帰り道の途中にある。
「いいっすよ。帰り道の途中にあるんで、なんなら一緒に…」
「ぜ、ぜひともおねがいしますっ!実はここには引っ越したばかりで困ってたん
です。ホンっとうにありがとうございます!」食い気味かつ早口で彼女が答える。
「俺は一年の平時忠って言います。よろしくね?」
「私は一条真凛、学年は…二年生です。こちらこそよろしくお願いします。」
「おう、よろしくっ…って二年生!?」
おもわずかなりの声量で驚いてしまう。
「そうですよね、やっぱり先輩に見えませんよね…アハハ…」
一条先輩の反応から見て、かなりコンプレックスなのだろう。この手の話題は振らないでおこう。お茶を濁すために図書館に早く案内しよう。
「すみません、デリカシーのないことしちゃって。まあ、とりあえず行きませんか?自己紹介は歩きながらにしましょう。」
「そうですね。じゃあ、案内よろしくお願いします。」
その後、先輩を図書館に連れて行った俺はLINEを交換してから、別れた。
家に帰り着いた時には満身創痍であった。タイツ専用の雑誌で精神を癒しつつスマホをいじる。…百件以上のLINEが来ている。領子からの怒りのメールだった。
交渉は難航したが「明日、領子に駅前のスイーツ店でパフェを奢る」
ことで何とかなった。ただでさえ今月は柄タイツを大量購入したせいで金欠である
ことを知っていながらのこの所業。悪魔である。
一条先輩からは感謝のメールが届いていた。この優しさ、領子に少し分けてもらいたいぐらいである。
結局、俺のタイツの秘密を知る謎の女の正体はしっぽすらつかめていない。
偉大なるタイツ神よ、どうか哀れなる信徒にコナンばりの推理力をお授け下さい。
叶うはずもない願いを口に出しつつ俺は睡魔に負けて深い眠りに入ってしまう。
パフェ代、足りるかな…
タイツを履かずんば人にあらず @uhahahakawauso
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